腓腹筋をターゲットに、ふくらはぎを強化・魅力的なラインに仕上げたい人は必見!ふくらはぎの基本的な知識から、効果的なトレーニング方法、腓腹筋に効かせるポイント、併せて行いたいストレッチ&マッサージ方法まで網羅してご紹介します。
皆さんは、ふくらはぎが「第二の心臓」と呼ばれるのをご存知ですか? ふくらはぎの筋肉が担う役割として「筋ポンプ作用」というものがあります。ふくらはぎを鍛えることは、脚のラインを魅力的に仕上げるだけでなく、血流の改善や冷え性の改善、基礎代謝の向上といった健康増進の効果も大きいのが特徴です。今回は、ふくらはぎの筋肉の1つである「腓腹筋」の効果的な鍛え方やストレッチについて詳しく解説していきます。
1. ふくらはぎの筋肉、下腿三頭筋
1-1. ヒラメ筋と腓腹筋
ふくらはぎは大きな2つの筋肉から成り、下腿三頭筋と呼ばれています。下腿三頭筋の内、1つは深層に位置する「ヒラメ筋」です。その名の通り、魚のヒラメに似た形をしています。ヒラメ筋は日常生活では立ち姿勢でバランスを保つ場合や、前方に姿勢が崩れないように働く筋肉です。ヒラメ筋を鍛えることで、ふくらはぎ中央部から足首にかけての部分を太く大きくすることができます。
下腿三頭筋の内、もうひとつはヒラメ筋を覆う形で位置する「腓腹(ひふく)筋」です。腓腹筋はアキレス腱から足首までを覆う筋肉で、ふくらはぎの内側の内側頭と、外側の外側頭の2つに分かれる形をしています。表面に位置するため、形の分かりやすい筋肉で、ふくらはぎの1番膨らんでいる部分が腓腹筋です。ジャンプの際や、ランニングする際に時に働く筋肉です。腓腹筋を鍛えると、比較的膝に近い位置のボリュームが大きくなります。
ヒラメ筋と腓腹筋の大きな違いは、筋肉の始まる部分が異なる点です。ヒラメ筋は膝の下から始まり、下方向に伸びてアキレス腱を通り、かかとの骨で終わります。一方、腓腹筋は膝の上(大腿骨)から始まり、下方向に伸びてかかとの骨で終わります。
どちらの筋肉もかかとで停止しますが、その起始部(筋肉の始まる場所)がそれぞれ膝下、膝上というように異なります。このため、ヒラメ筋は足関節の底屈(足首を下に下げる動き)でのみ働き、腓腹筋はヒラメ筋と同様に足関節の底屈に加え、膝関節の曲げ伸ばしの時にも働きます。
1-2. ふくらはぎの「筋ポンプ作用」とは?
前述の通り、ふくらはぎには「第二の心臓」と呼ばれるほど、主に下半身の血流に大きな影響を持つ「筋ポンプ作用」があります。筋ポンプ作用とは、筋肉の収縮・弛緩の動きによって、筋肉内部に走行する血管に圧をかけて血流を推し進め、流れやすくすることです。
血液を送るポンプ役を担うのは主に心臓ですが、心臓から離れた下肢、特に足先では血流は滞りやすく、浮腫みや冷え、循環不全に陥りやすくなります。
そこで、ふくらはぎの筋肉をしっかりと鍛え、日常的に使うことができれば、末端で滞留していた血液を身体の中心に戻す作用が働いて、血流の改善に繋がるのです。ふくらはぎはまさに、「第二の心臓」ですね。
2. 腓腹筋を鍛える効果・メリット
ここでは、腓腹筋を鍛える効果・メリットを4つご紹介します。鍛えることでさまざまな効果が期待できるため、ボディメイクをしたい人、ダイエッター、冷え・浮腫みの改善をしたい人、スポーツをする人には特におすすめです。
2-1. 脚のラインが魅力的になり、全身のバランスが取れる
腓腹筋を鍛えることで、ふくらはぎのボリュームアップや脚の引き締めが叶います。下腿三頭筋はスタイルアップに欠かせない筋肉と言えます。
上半身のトレーニングにのみ力を入れ、身体を大きく鍛え上げていても、脚だけが細いという人は意外と多いものです。ふくらはぎはヴィジュアル的に弱点になりやすい部分でもあるので、しっかりトレーニングに組み込んでいきたいですね。ふくらはぎのトレーニングは、メリハリのあるボディラインには欠かせません。
脚を太くしたくない女性も、浮腫みや水太りでシシャモ脚になっている場合は、ふくらはぎの筋肉量を増やして血流を改善することが必要な場合もあります。パンプアップを目指す目的でなくても、腓腹筋のトレーニングはボディメイクに有効です。
2-2. 冷え・浮腫み・疲労感を改善させる
第二の心臓であるふくらはぎの筋肉を刺激することで、停滞している血液、リンパの流れを促進し、下半身の冷えや浮腫みを改善する効果があります。
下半身の血液を上半身に戻すことができるため、「足が重たい・だるい」「疲労を感じる」という場合も改善を感じられることが多いようです。
筋肉量の少ない女性や加齢とともに腓腹筋が衰えたり、弱くなってしまうと、足先など末端に老廃物が溜まり、浮腫みやすくなったり冷え性となることがあります。腓腹筋のトレーニングは、巡りの良い身体を手に入れるためにも重要です。
2-3. 代謝をアップさせ、太りにくく痩せやすい体質を作る
腓腹筋を鍛えることで筋肉量が増えて血流の改善が見込めるため、下半身の代謝アップが期待できます。代謝が上がると、脂肪を燃焼しやすくなり、痩せやすい体質を作れると同時に、太りにくくなるというメリットがあります。
効率の良いダイエットはまず、代謝を向上・正常化させることがベースになります。基本的な筋肉量を増やすこともとても大切な要素なので、体質改善もしたいダイエッターにはおすすめのトレーニングです。
2-4. スポーツでのパフォーマンスが向上する
腓腹筋は日常生活での動作よりも、走る時や跳ぶ・跳ねる動きをする際に活躍する筋肉です。運動範囲の拡大や俊敏さ、足の速さにも関わってくる筋肉のため、あらゆる競技を行う人にとって、腓腹筋を鍛えておいて損はないでしょう。
特に、走る事が重要となる種目では、ヒラメ筋よりも腓腹筋に重点を絞って鍛えることをおすすめします。「ヒラメ筋はふくらはぎの最も外側に位置するため、ヒラメ筋を鍛えると脚の外側が重くなり、走りにくくなる」可能性があるからです。
3. 腓腹筋を鍛えるトレーニング
下腿三頭筋の中でも腓腹筋をターゲットとしてトレーニングを行う場合は、膝を伸ばした状態で行うのが有効とされています。特に腓腹筋内側を鍛えたい場合は、膝を曲げずに行うトレーニングを選びましょう。
3-1. スタンディング・カーフレイズ
スタンディングカーフレイズは代表的なふくらはぎのトレーニングです。腓腹筋の内外側頭とヒラメ筋を同時に鍛えることができます。
【正しいやり方】
- 階段など、やや段差のある台につま先を乗せ、かかとは浮いた状態で立ちます。
- つま先は、正面もしくは外側を向けます。
- 背筋を伸ばし、つま先立ちをする要領でかかとを持ち上げます。
- 高くかかとを上げたら、そこで1~2秒キープします。
- 筋肉に効かせるように、ゆっくりとかかとを下ろします。
- 1~5を40~50回ほど繰り返して行います。
- 30秒~1分のインターバルを置いて、3セット行います。
【効果的に行うポイント】
- ふくらはぎを意識して行いましょう。
- かかとは、できるだけ高く上げ、ゆっくりと下げるようにしましょう。
- 足幅はやりやすい幅で良いですが、狭くすると腓腹筋内側に効きやすくなります。
- 平地で行うこともできますが、段差を利用することで足関節(足首の関節)の運動範囲が広がり、より効果的に行うことができます。
3-2. ドンキー・カーフレイズ
続いて、椅子やベンチを用いて行うドンキー・カーフレイズです。カーフレイズの中では最も負荷がかかりやすいとされるトレーニングですが、血流促進効果があり、強度も高いため、効果が出やすいという特徴があります。下腿三頭筋をより鍛え上げたい場合は、ぜひ行ってみて下さい。
【正しいやり方】
- 椅子またはフラットベンチの前に立ちます。
- 両手を椅子の上に置いて、身体がコの字になるような姿勢を取ります。
- 手は肩幅程度、脚は腰幅に開きます。
- 背骨が丸まらないよう、背筋を伸ばした状態がセットポジションです。
- お尻を真上に持ち上げるイメージで、かかとを可能な限り高く上げます。
- 1番高い位置で1~2秒キープします。
- 筋肉に効かせるように、ゆっくりとかかとを床に付かない程度に下ろします。
- 1~5を30~40回ほど繰り返して行います。
- 30秒~1分のインターバルを置いて、3セット行います。
【効果的に行うポイント】
- 背筋が丸まってしまうと負荷が逃げるため、背筋を伸ばして行うようにしましょう。
- トレーニング中は負荷を逃がさないように、かかとが床に付いてしまわないよう注意しましょう。
3-3. カーフプレス
レッグプレスマシンを使って行う腓腹筋トレーニングのひとつがカーフプレスです。角度や姿勢も気にせずに行え、初心者でも簡単に行うことができます。ヒラメ筋よりも腓腹筋を優位に鍛えることができるため、腓腹筋をターゲットとする場合には積極的に取り入れていきたいトレーニングです。
【正しいやり方】
- レッグプレスマシンに背中と腰をぴったりとつけて座ります。
- マシンの足場につま先のみを置きます。
- 3)そのまま、つま先で押すようにして脚を最大限に伸ばします。
- 最大に伸ばしたところから、腓腹筋の収縮を感じながら元に戻していきます。
- 1~5を30~40回ほど繰り返して行います。
- 30秒~1分のインターバルを置いて、3セット行います。
【効果的に行うポイント】
- 「つま先の力だけで押す」ことを意識して行うことで、効果的に腓腹筋に刺激を入れることができます。
- ふくらはぎは血管走行も多く、疲労に強く回復しやすい筋肉と言えます。週2回など、頻回なトレーニングで負荷をかけていくことで効果的に強化することができます。もちろん、脚を細く引き締めたい(パンプアップはしたくない)場合は、やり過ぎは禁物です。
4. トレーニングよりも重要!ストレッチとマッサージでケアをしよう
ここまで、腓腹筋を効果的に鍛えるトレーニングをご紹介しました。しかし、効率よく脚を痛めずに鍛えるためには、とても重要なポイントがあります。
それは、「足の筋肉が張っていない・凝り固まっていない状態で鍛えること」です。
前述の通り、ふくらはぎの筋肉である下腿三頭筋(ヒラメ筋・腓腹筋)は、日常生活やスポーツで酷使する筋肉のひとつであり、とても疲労がたまりやすい部位です。多くの人のふくらはぎは固く凝っている状態や張っている状態となっている場合が多いです。
筋肉が懲り固まった状態で鍛えると、脚を痛めてしまうリスクがあり、筋肉を上手く使うことができないため、フォームが崩れ効率の悪いトレーニングとなってしまいます。必ず、ストレッチやマッサージを取り入れながら鍛えるようにしましょう。
4-1. 腓腹筋のストレッチ
【正しいやり方】
- トレーニングマットなどの上に四つん這いになります。
- 膝を伸ばし、身体がくの字になる姿勢を取ります。
- かかとは床に付けた状態です。
- 右の足を浮かせ、左の足に重ねて乗せます。
- 左のかかとを床に近付けるように押し、左の腓腹筋をストレッチします。
- そのまま30秒キープします。
- 右側も同じように行います。
【効果的に行うポイント】
- ストレッチする脚は、しっかりと膝を伸ばし、かかとを床に付けておきましょう。
- 応用編として、ストレッチする脚(下側の足)のかかとをやや外側に向けてひねるように押すことで、腓腹筋内側頭を伸ばすことができます。また、内側に向けてひねるように押すことで、腓腹筋外側頭を伸ばすことができます。部位を狙って伸ばしたい時に利用して下さいね。
4-2. 腓腹筋のマッサージ
【正しいやり方】
- 膝を立てて座ります。
- 両手で右のふくらはぎを包むように掴みます。
- 両手親指をふくらはぎに置き、腓腹筋の内側頭と外側頭を左右に割り開くようにマッサージします。
- 膝の裏から足首の高さまで、上から下に向かって何往復か行います。
- 左のふくらはぎも同様にマッサージします。
- 最後に、座ったまま、両膝を交互に曲げたり伸ばしたりします。
- )ふくらはぎの凝りが取れ、柔らかくなるまで行いましょう。
【効果的に行うポイント】
- 腓腹筋が内側頭と外側頭の2つに分かれている構造であることを意識して行いましょう。
- 立ち仕事をする人や、ランニングをする人は特にこまめに行うことをおすすめします。
6. 洗練されたラインのふくらはぎを目指そう
いかがでしたか?今回は、ふくらはぎの筋肉である腓腹筋についてトレーニングや、ストレッチを合わせてご紹介しました。
日々の生活でも酷使しがちで、疲労が溜まりやすい部分だからこそ、効果的に鍛えるためには同時にケア(ストレッチやマッサージ)を行っていくことが大切です。ストレッチは浮腫みの解消や、血流改善の効果も大きいので、ふくらはぎの強化を目指す人も、ほっそりとした美脚を手に入れたい人も、ぜひトライしてみてくださいね。
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