魅力的な前腕を作るリストカールについて徹底解説!バラエティ豊かなリストカールの種類やターゲット、手首を痛めず効果的に鍛えるには?という疑問にお答えします。自分にあった重量・回数・頻度をチェックして、怪我なく効率よく鍛えていきましょう。
引き締まった細い手首や、鍛え上げられたたくましいラインの前腕は魅力的ですよね。半袖から覗く腕を、今年こそ仕上げておきたいという人も多いのではないでしょうか。しかし、前腕(肘から手首まで)のトレーニングには「手首を痛めやすい」「腱鞘炎になりやすい」というリスクもあります。手首や腕を痛めてしまうと、前腕のトレーニングはもちろん、その他のトレーニングや日常生活にも影響が出てしまうのは避けられません。
今回は、前腕を鍛えるのに欠かせないトレーニングである「リストカール」の正しいやり方や、効果的に行うポイント、行うべき回数や頻度について徹底的に解説していきます。安全なトレーニング方法をマスターして、腕の筋肉を効果的に育てていきましょう。
1. リストカールとは
リストカールは前腕筋群に刺激を入れて鍛え上げる、最も基本的なトレーニングのひとつです。ウェイトを持ち、手首を上下させてトレーニングを行います。手首を強くし、前腕を鍛える効果があるので、他のトレーニングや運動においてのパフォーマンス向上も期待できます。また、使用するトレーニングアイテムや手首をカールする方向によって、さまざまなバリエーションがあり、同じ前腕でもターゲットとなる筋肉が変わってきます。
ウェイトとして使用するアイテムは、ダンベル、バーベル、トレーニングチューブ、ケーブルマシーン等があります。ダンベルやバーベルがあれば、自宅でも行うことができますし、ジムのマシーンで行えば、より自分に合った負荷を選んで、さらに鍛え上げていくことができる点も魅力的ですね。
リストカールは大きく分けて2種類あり、手首を屈曲する方向に巻き上げて「前腕屈筋群」を鍛える方法(リストカール)と、手首を伸展する方向に持ち上げて「前腕伸筋群」を鍛える方法(リバース・リストカール)があります。これらのトレーニングでは、ポイントを押さえることによって、副次的に握力を鍛えることも可能です。その方法も併せてお伝えしていきますね。
2. リストカールで鍛えられる「前腕筋群」
リストカールで鍛えられる筋肉は「前腕筋群」と呼ばれ、大小含めて20近いの筋肉の集まりから成っています。「前腕筋群」はさらに、手首や指を曲げる(握る)作用を担う「前腕屈筋群」と、手首の関節を手の甲側に折り曲げて背屈させる作用を担う「前腕伸筋群」に分けられます。「前腕屈筋群」は8つの筋肉から、「前腕伸筋群」は11の筋肉からそれぞれ構成されています。
「前腕屈筋群」は肘の内側から始まり、手のひら側を通って手の内側から指先まで走行している前腕内側の筋肉です。このため、「前腕屈筋群」に過度に負担がかかると、起始部である肘の内側に痛みを感じる事があります。
一方で「前腕伸筋群」は肘の外側から始まり、前腕の背側(外側)から手の甲を通って指先まで走行しています。このため、負担がかかりすぎると起始部である肘の外側に痛みが出やすくなります。
前腕筋群は日常生活でも多く使う筋肉です。あまり、追い込んで鍛える必要はありません。むしろ、オーバートレーニングにならないように、痛みをチェックしながら取り組んでいくことが大切になります。
3. リストカールの種類と正しいやり方
バリエーション豊かなリストカールですが、以下に基本的なリストカールやリバース・リストカール、手首に痛みを感じる時におすすめのバーベル・ビハインド・リストカールをお伝えしていきます。
3.1 ダンベル・リストカール
まずは、「ダンベル・リストカール」です。主に手首をスナップさせる、「前腕屈筋群」をターゲットとして鍛えることができます。また、以下のポイントを押さえることで同時に握力も鍛えることができます。
【正しいやり方】
- 前腕をベンチ台や膝の上に置いて、手首だけ出した状態で開始します。
- 手のひらを天井に向けてダンベルを握ります。
- 手首の力だけで、ゆっくりと上まで手首を巻き上げていきます。
- 限界まで上げきったら、再びゆっくりと手首を反らせてダンベルを戻します。
- 戻す際、指先にダンベルをひっかけるところまで下ろしきります(ボトムポジション)。
- 手首を下ろしきった位置から、再び手首を巻き上げ、3から5を繰り返します。
- 15~20回×3セットを目安に行いましょう。
【効果的に行うポイント】
- ダンベルは握りこまない:ダンベルはしっかりと握りこむのではなく、4本の指で引っ掛けるように持ちます。 握りこみ過ぎると、手首の負荷が抜けてしまいます。
- 肘は固定する:肘を固定して、前腕が浮かないように行いましょう。手首の動きのみに集中して動かすのがポイントです。
- ゆっくりと効かせる:動作することで、筋肉の緊張状態の時間を長くし、効果的に行いましょう。
- 手首を下げきることで、握力も鍛える:手首がボトムポジションにある時、指先にダンベルを引っ掛けるような位置までしっかり下げると、指を握るための握力に関わる筋肉も鍛えることができます。
- 刺激する筋肉を意識する:前腕の収縮をしっかりと感じながら行うことで、さらに効果的に行うことができます。
3.2 ダンベル・リバース・リストカール
続いて、「前腕伸筋群」を鍛えるリバース・リストカールです。先ほどとは逆に、手のひらを下側にすることで、前腕の外側に効かせていきます。ここでも抑えるポイントはリストカールと共通で、肘を固定すること、ゆっくり上げ下げをすることを意識しましょう。
【正しいやり方】
- 前腕をベンチ台や膝の上に置いて、手首だけ出した状態で開始します。
- 手のひらを下にし、手の甲が上側になる向きでダンベルを握ります。
- ゆっくりと限界の高さ(トップポジション)まで手首の関節を手の甲の方向に持ち上げて反らせます。
- 上まで上げきったら、再びゆっくりと手首を曲げてダンベルを戻します。
- 下ろせる限界(ボトムポジション)まで手首を下げます。
- 手首を下ろしきった位置から、再び手首を落ち上げ、3から5を繰り返します。
- 15~20回×3セットを目安に行いましょう。
【効果的に行うポイント】
- ポイントは前述のリストカールと同様:スタートポジションでは肘を固定し、空いている手で前腕を押さえながら片手ずつ行うと良いでしょう。
- リストカールより軽い重量から:手首を曲げる動作よりも、手首を反らす動作の方が力が弱いため、リストカールよりは軽い重量から始めましょう。あまり重量を重くし過ぎると、手首を傷める原因となります。また、肘関節が関与しやすくなり、手首にかかる負荷が小さくなってしまうため注意しましょう。
3.3 バーベル・リストカール
ダンベルでのトレーニングでは物足りない場合は、よりウェイトを調整しやすいバーベルでリストカールを行ってみましょう。
【正しいやり方】
- 椅子やベンチに座り、大腿の上に前腕を置いて固定します。
- 手のひらを天井に向けて、バーベルを握ります。膝から手首だけ出した状態で開始します。
- ダンベルの場合と同じく、しっかりと上まで手首を巻き上げていきます。
- 上まで上げきったら、再びゆっくりと手首を反らせてダンベルを戻します。
- 戻す際、指先にダンベルを引っ掛けるところまで下ろしきるようにします。
- 手首を下ろしきった位置から、再び手首を巻き上げ、3から5を繰り返します。
- 15~20回×3セットを目安に行いましょう。
【効果的に行うポイント】
- 重すぎないウェイトで行うこと:あまりに高いウェイトで行うと、手首のストレッチ範囲が広くなり、痛みが出やすくなってしまいます。余裕の持てる重さで、回数を多くこなすようにしましょう。
3.4 バーベル・リバース・リストカール
バーベルで行うリバース・リストカールです。前腕屈筋群よりも、前腕伸筋群を鍛えるトレーニングの方が手首に負担がかかりやすいため、ウェイトが重すぎないよう、注意しましょう。
【正しいやり方】
- 椅子やベンチに座り、大腿の上に前腕を置いて固定します。
- 手の甲を天井に向け、バーベルを握ります。膝から手首だけ出した状態で開始します。
- ゆっくりと限界の高さ(トップポジション)まで手首の関節を手の甲の方向に持ち上げて反らせます。
- 上まで上げきったら、再びゆっくりと手首を曲げてバーベルを戻します。
- 下ろせる限界(ボトムポジション)まで手首を下げます。
- 手首を下ろしきった位置から、再び手首を落ち上げ、3から5を繰り返します。
- 15~20回×3セットを目安に行いましょう。
【効果的に行うポイント】
バーベル・リストカールよりも軽い負荷で行う:最初は、バーベル・リストカールよりも低負荷から始めるようにしましょう。
3.5 バーベル・ビハインド・リストカール
リストカールで手首の痛みがある人におすすめなのが、バーベル・ビハインド・リストカールです。スタンダードなリストカールは座って行いますが、バーベル・ビハインド・カールは立った状態で手首をカールします。座って行う場合よりも手首のストレッチの範囲は狭くなりますが、手首が反りかえらないため、高いウェイトにも挑戦できるトレーニングです。
【正しいやり方】
- 肩幅ほどに脚を開いて立ちます。
- 身体の後ろに手をまわしてバーベルを持ち、スタートポジションを取ります。
- 両肘は伸ばしたまま、手のひらは後方を向いた状態でバーベルを握ります。
- ゆっくりと、手首の関節のみでバーベルを上下に上げたり、下げたりを繰り返します。
- 15~20回×3セットを目安に行いましょう。
【効果的に行うポイント】
軽めの負荷でゆっくり高回数行う:素早い動きでバーベルを動かすと、手首を痛める原因になります。少し余裕を持てる軽めのウェイトを選び、回数を多めに行うと、手首を守りながら効率よく鍛えることができます。
4. 手首を傷めないためのウェイトの設定とトレーニング頻度は?
4-1. 余裕のある重さで高回数行えることが重要
一般的には、男性で6~10kg、女性で3~5㎏から始めるのがおすすめですが、適切なウェイトは手首の力だけで上げられるか否かが目安です。肘が浮いてしまう場合や、手首で持ち上げられない場合は重すぎるウェイトということです。
また、前腕筋群の特性から、次のように適切なウェイトを決める方法もあります。
前腕筋群は普段の日常生活でも特に使用頻度の高い筋肉であることから、血流も良く回復が早いという特性があります。実際に前腕筋群は他の部位の筋肉と少し筋繊維の構成が異なり、主に持久筋から成っています。これまでご紹介してきたトレーニングのポイントでも述べたように、「低めの負荷で、回数を多く行う」というやり方が効果的な筋肉であると言われます。
具体的には「30回以上の回数を行ったところで限界が来るウェイト」が、現時点の最も効果的な重量設定という考え方です。実際にリストカールを行いながら、上記の基準を目安に、現時点での自分に1番合った重さを見つけていきましょう。適切なウェイトでトレーニングを行うことが、手首を痛めないで鍛えるためには最も重要です。
4-2. トレーニング頻度は週1~2回がよい
前述の前腕筋群の特性から、「持久筋である前腕筋群は超回復が早く、24時間程度で済む」という誤解が広がっているようです。毎日リストカールを行ってしまう人がいますが、それは間違いです。確かに前腕筋群は、日常生活でも使用頻度の高く血流も良い部分ですが、回復して筋合成が落ち着くまでには48~72時間かかるという点は、他の筋肉と大差ありません。
トレーニング上級者であれば、毎日行っても良いケースもありますが、大抵の人はオーバートレーニングになってしまう可能性が高いです。トレーニングの間隔は3~4日空けて、週1~2回の頻度で行うのが望ましいでしょう。
5.手首を傷めないようにトレーニングしよう
いかがでしたか?今回は手首や前腕を鍛え上げるためのトレーニング、「リストカール」についてお伝えしました。腕は日常生活においても、トレーニングやスポーツ競技においても多用する部位です。ポイントを押さえて鍛えることで、前腕のラインが魅力的になるだけでなく、全体的なパフォーマンスの向上にも繋がっていきます。ぜひメニューに取り入れてみてくださいね。
【合わせて読みたい筋トレ方法】