効果的なヒップアップトレーニング、ヒップアブダクションのポイントと注意点を徹底解説。臀筋群(大臀筋、中臀筋、小臀筋)の概要、併せて行うべきお尻のストレッチ、おすすめ筋トレアイテムもご紹介します。引き締まったヒップ・美尻を目指す人は必見です。
1. お尻の筋肉「臀筋群」とは?
お尻は「臀筋群」と呼ばれる3つの筋肉、「大臀筋」、「中臀筋」、「小臀筋」で構成されています。トレーニングでは、筋肉の動きや作用を理解し、鍛える箇所を意識しながら動かすことで、より高い効果が得られます。まずはこの3つの筋肉について解説していきます。
1-1. お尻そのものの筋肉、大臀筋
臀筋群の中で最も大きい筋肉が「大臀筋」です。大臀筋が引き締まっていると、丸みを帯びたキレイな形のヒップとなり、反対に大臀筋が萎縮する(筋肉が痩せ細る)と、垂れ下がった形のヒップとなってしまいます。ご存知の方も多いと思いますが、大臀筋はお尻の見栄えを大きく左右する筋肉です。
大臀筋が担う作用は、ハムストリングス(太腿裏の筋肉)と連動して、股関節の伸展(伸ばすこと)と、股関節の外旋(外側に回す動き)があります。具体的には、ウォーキングやランニングの際、足を後ろに蹴り出す動きや、前方へ踏み込んだ時に、下半身の安定性を高める働きをしています。このため、大臀筋を上手く使えないと、腰に負担がかかり、腰痛の原因となることもあります。
スポーツ競技においても、走る速度がカギとなる陸上やサッカー、高いジャンプ力が求められるバスケットボールやバレーボールの選手、強い踏み込みが重要となる相撲の力士や野球の投手は、集中的に鍛えている筋肉です。
1-2. バランスと安定性を保つ中臀筋と小臀筋
「中臀筋」は大臀筋の内側に位置する、臀筋群で2番目に大きい筋肉です。「小臀筋」は中臀筋のさらに内部に存在するインナーマッスルです。この2つの筋肉は、股関節を外側に開いたり、内側に回す動きをします。具体的には、片足立ちや歩行の安定性を高める時に働きます。また、中臀筋と小臀筋を鍛えることで、ヒップラインをより美しくすることができます。
1-3. 臀筋群はストレッチが重要
臀筋群のトレーニングに取り組んでいる人は多いですが、ストレッチにも同じくらい力を入れているでしょうか?
実は、臀筋群は鍛えることと同じくらい、柔軟性を高めることが重要となります。なぜなら、臀筋の柔軟性によって、股関節の可動域(動かせる範囲)が決まるからです。股関節は、屈曲(曲げ折ること)、伸展(伸ばすこと)の他にも、捻る、回すなど複雑な動きをする部分です。臀筋が硬い状態では、十分に股関節を動かすことが難しくなってしまいます。
股関節の可動域の制限で、しゃがみ込んだり、中腰の姿勢になり辛くなると、動作全体のパフォーマンスが低下してしまいます。身体が硬くなりやすい人は特に、トレーニングと一緒にストレッチも取り入れるようにしましょう。
2. 臀筋群を鍛えて得られるメリット
① 代謝が上がりやすくなり、痩せやすくなる
大きな筋肉を鍛えると、基礎代謝を向上させることができます。「大臀筋」は、単一の筋肉としては全身の中で1番大きい筋肉です。大臀筋を鍛えることで、全身の基礎代謝が上がり、脂肪燃焼の効果が高まるというメリットがあります。加齢とともにあまり使われなくなっていく筋肉とも言われるため、意識的に鍛えていきたいですね。
② 美尻・ヒップアップが叶う
臀筋群を鍛えることで、ヒップアップ効果が得られます。お尻の筋肉が衰えて筋力低下が進むと、お尻が垂れ、老けて見えるスタイルになってしまいます。また、脚そのものが短く見えるようになるため、ボディラインやシルエットが崩れてしまう原因にもなります。お尻を鍛えれば、ヒップアップすると同時に、長い脚も一緒に手に入れられるわけですから、鍛えて損なことはありません。
③ ウエストにくびれを作ることができる
臀筋群を刺激することで、骨盤にも刺激が入り、ウエストも引き締まっていきます。また、基礎代謝が上がるため、腹部の脂肪燃焼効果も期待することができます。
3. 中臀筋・小臀筋を鍛えるトレーニング「ヒップアブダクション」
ここまで、臀筋群を鍛えるメリットについてお話しました。続いて、具体的なトレーニング方法をご紹介します。今回解説する「ヒップアブダクション」は、「脚を開く」動作を行い、中臀筋と小臀筋をメインターゲットとして鍛えるトレーニングです。
スクワットなど、大臀筋を鍛えるトレーニングは有名で数も多いため、取り組んでいる人は多いと思います。そこに、中臀筋と小臀筋を狙ったトレーニングも併せて行うことで、よりヒップラインを美しく仕上げることができます。
とは言え、トレーニングでは大きな筋肉から鍛え、順に小さな筋肉を鍛えていくのがセオリーです。ヒップアップを目指す人はぜひ、大臀筋のトレーニングにも励んでくださいね。
3-1. ライイング・ヒップアブダクション
まずは、自宅で気軽に取り組める自重トレーニング、「ライイング・ヒップアブダクション」です。正しいフォームさえきちんと覚えれば、リビングでテレビを見ながらでも行えます。初心者にもおすすめのトレーニングです。
【やり方】
- トレーニングマット等の上に、横向きに寝ます。下側の腕は頭の下に置きます。
- 下側の足は少し曲げ、後方に置きます。
- 上側の足は膝を伸ばし、床から少し離します。この時、つま先は前方へ向けておきます。
- 伸ばした脚をゆっくりと上に持ち上げ、1番高いところで3秒キープします。
- またゆっくりと元の高さへ戻します。
- 脚は下に付かないようにし、上げたり下ろしたりを15回繰り返します。
- 終わったら、反対側の足も同様に、1)~5)の手順で行います。
- 左右15回×3セットが目安です。
【注意点とポイント】
- 「骨盤が天井に対して真横を向いている姿勢」が、正しいセットポジションになります。
- 最大の注意点は「上げた脚を後方へ動かさないこと」です。後方へ動かす働きは大臀筋の作用であるため、脚を後ろへ動かしてしまうと大臀筋に効きやすくなってしまいます。真上に脚を上げるよう行いましょう。
- 動作をできる限りゆっくりと行うことで、じっくりと筋肉に効かせていきましょう。反動で脚を動かすと、お尻以外の他の筋肉が働きやすくなるため注意です。
- 脚が床に付く直前で止めるようにしましょう。
- つま先が常に正面を向くように意識しましょう。外側や上を向くと、負荷が逃げてしまいます。
3-2. チューブ・ライイング・ヒップアブダクション
続いて、もう少し負荷の高いヒップアブダクションをご紹介します。トレーニングチューブを使用し、ライイング・ヒップアブダクションの負荷を高めたトレーニングが、この「チューブ・ライイング・ヒップアブダクション」です。両脚をチューブバンドに通して行います。
使用するチューブは、「臀筋トレーニングでおすすめのアイテム2選」の章でご紹介いたしますので、チェックしてみてくださいね。
【やり方】
- トレーニングマット等の上に、横向きに寝ます。下側の腕は頭の下に置きます。
- 両足をチューブバンドに通します。下側の足は少し曲げ、後方に置きます。
- 上側の足は膝を伸ばし、床から少し離します。この時、つま先は前方へ向けておきます。
- チューブを伸ばすようにゆっくりと脚を上に持ち上げ、1番高いところで3秒キープします。
- ゆっくりと元の高さへ戻します。
- 脚を戻す際、下ろし切らないように注意し、上げたり下ろしたりを15回繰り返します。
- 終わったら、反対側の足も同様に、1~5の手順で行います。
- 左右15回×3セットが目安です。
【注意点とポイント】
- 押さえるべきポイントはライイング・ヒップアブダクションと同じく、骨盤が天井に対して真横になる姿勢で行うこと、脚をまっすぐ上げること、つま先が正面を向くように行うことです。
- 正しいフォームで行うことが難しい場合は、ライイング・ヒップアブダクションから始めましょう。
3-3. チューブ・スタンディング・ヒップアブダクション
今度は、立って行うヒップアブダクションです。チューブを括り付けられる場所があれば、立ったままトレーニングすることができます。
【やり方】
- チューブを柱などに括り付けます。柱の横に立ち、柱とは反対側にある脚にチューブを巻き、固定します。
- 腰幅に脚を開いて、まっすぐに立ちます(セットポジション)。
- チューブを巻き付けた脚を、真横にゆっくり開き、3秒キープします。
- ゆっくりとセットポジションに戻ります。
- 15回×3セットが目安です。
- 反対側も同様に、1~4の順番で行います。
【注意点とポイント】
- 脚を真横に上げることを徹底しましょう。中臀筋と小臀筋にしっかり刺激を入れるためには、前後にぶれないことが大切です。
- 上半身を動かさないことがポイントとなります。腰を反らせたり、前のめりにならないよう、常に背骨をまっすぐ伸ばした姿勢をキープして行いましょう。上半身が不安定だと、反動が付きやすくなってしまいます。
- お尻も固定し、脚と一緒に上がらないよう注意しましょう。脚と一緒にお尻が上がると、中臀筋や小臀筋よりも脚に効いてしまいます。
4. 臀筋をほぐすストレッチ2選
前の章で述べた通り、臀筋は鍛えるだけでなく、その柔軟性を保つことも重要な筋肉です。凝り固まってしまうと、股関節の可動域(動ける範囲)が狭くなってしまうため、トレーニングとセットでストレッチも取り入れて行いましょう。
4-1. 寝ながら行うストレッチ(初心者向け)
布団の上でも簡単に行えるストレッチです。血流アップも見込めるため、朝晩起床・就寝前に習慣にするのもおすすめですよ。
【やり方】
- マットなどの上に仰向けに横になります。両足は力を抜いて伸ばしておきます。
- 左足を曲げ、右の太腿を跨ぐ形でクロスさせます。この時、右足が浮かないように注意します。
- 左膝の内側を床に近付けるように倒します。
- 左足の付け根の伸びを感じるところで、呼吸をしながら20秒キープします。
- ゆっくりと元の位置に戻ります。
- 右脚も1~5の手順で同じように行います。
【注意点とポイント】
- 膝の内側を床まで付けるとウエストが伸びてしまい、お尻のストレッチになりません。膝が床に付く手前で止めるように行いましょう。
- また、背中が浮かないようにしましょう。
4-2. 4の字ストレッチ(中級者向け)
初心者向けでは物足りない!という場合には、こちらのストレッチを行ってみてください。同様に寝ながら行えるストレッチですが、先ほどご紹介したものよりも強力に臀筋を伸ばすことができます。
- トレーニングマットに仰向けに横になります。手足は伸ばしておきましょう。
- 両膝を曲げて、床から足を離します。
- 右の太腿の上に、左の足首を乗せます。そのまま、左膝を外側に開いていきます。
- 両脚の間から左手を通し、右膝裏で両手を組んで脚を抱えます。
- 右膝をゆっくりと胸に近付け、無理のない範囲で伸ばします。
- そのまま20秒キープします。
- ゆっくりと元に戻します。
- 反対側も同様に1~7の手順で行います。
【注意点とポイント】
- 腰が浮いてしまうとお尻が伸びなくなってしまうため、注意しましょう。
- 痛いほど伸ばすと、逆に筋緊張を高めてしまうため、心地よいところでキープしましょう。
5. 臀筋トレーニングでおすすめのアイテム2選
最後は、臀筋トレーニングに使えるコスパ抜群のアイテムを2つ紹介します。この2つがあると、自宅でのトレーニングがさらに効果的になり、快適に行えること間違いなしです。
5-1. トレーニングマット
臀筋トレーニングに限らず、トレーニングマットが1枚あると自宅での筋トレは快適です。身体が痛くなるのを防げるのはもちろんのこと、滑り止めにもなり、フォームの安定に繋がります。1枚1,000円前後など、安価で入手できるため、トレーニング初心者はマットから用意するのがおすすめです。
5-2. トレーニングチューブ
「チューブ・ライイング・アブダクション」で使いやすい、輪になっているバンドタイプのチューブや、「チューブ・スタンディング・アブダクション」でおすすめの、紐状のトレーニングチューブがあると、手軽に負荷を高めたり、トレーニングの幅を広げることができます。1,000円~2,000円と、入手しやすい価格帯も嬉しいですね。ヒップアブダクションだけでなく、他のトレーニングでも使用できる点も魅力的です。
自宅で魅力的なヒップ作りをするための初期投資としては、どちらもコスパの良いアイテムです。初心者はもちろん、モチベーションアップのためにも、利用してはいかがでしょうか。
6. 魅力的なヒップを目指しましょう!
今回は、お尻の筋肉「臀筋群」とヒップアップに効果的な「ヒップアブダクション」、そのポイントについて解説しました。いかがでしたか?今回ご紹介した中でも、「ライイング・ヒップアブダクション」は、自宅ですぐに始められる手軽なトレーニングです。格好よくジーンズを履ける魅力的なヒップを目指し、ぜひ今日からトライしていきましょう。
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