「腸内環境」という言葉をCMやテレビ番組で聞く機会が増え、多くの方が「腸が元気なら健康になる」と認識するようになりました。
便秘や下痢、ガスが多いときには体が重く肌荒れなども頻発しますが、これは腸内環境が悪い状態で起こります。では腸内環境が良いとは、具体的にどういうことでしょうか。
ここでは腸内環境についての詳細や、その影響、また腸内環境を良くするための方法を紹介していきます。自分でできることから始め、体を内部から健康にしていきましょう。
1. 腸内環境が健康には大切!
腸が健康にとって大切な理由は、腸が栄養を吸収する場所であること、そして病原菌から体を守る免疫機能を司るところだからです。
免疫力が強い人は風邪なども滅多に引きませんし、お腹のトラブルもありません。それは免疫力によって外敵である細菌類から自分を守れているから。腸内環境が良い状態を保てると、内臓がしっかりと働けるので体が丈夫になるのです。
1-1. バランスを理想的に維持することが大切
腸内環境が良い状態とは、腸内にある常在菌のバランスが取れている状態を指します。
人間の腸、主に大腸には100種類以上の腸内細菌が100兆個以上という莫大な数で存在しています。この腸内菌のバランスがとれているとき、腸管免疫力が発達します。
腸内細菌は3つに分けられ、「善玉菌」と「悪玉菌」、そして「日和見菌」と呼ばれています。理想的なバランスは善玉菌が15%、悪玉菌が10%、日和見菌が75%で、これが崩れると便秘や下痢といったお腹のトラブルに襲われます。
悪玉菌が優勢になったとき、それが「腸内環境の悪化」です。
1-2. どんなときに腸内環境の改善が必要?
「腸内環境の悪化」のときには、以下のようなことが症状として現れます。
- 太ってきた
- 体がやたらと重い
- 肌荒れが酷い
- 便秘が長く続いている
どれか1つでも思い当るようなことがあれば、腸内環境が悪くなっている可能性があります。いずれもうまく老廃物を排出できないことで、体内に老廃物がたまって毒素が回り引き起こされる症状です。
特に病気をしたわけでもないのに最近調子が悪いなと思うときには、しっかり排便できているか確認してください。便秘が続いているようであれば、下腹がぽっこりと出たり肌荒れが酷くなったりしているはずです。
2. 絨毛(じゅうもう)が弱ると起こること3つ
絨毛(じゅうもう)とは、小腸の粘膜の表面にある無数の突起。健康的な腸の粘膜には絨毛が無限にあり、ふかふかのじゅうたんのようになっています。
この絨毛が多ければそれだけ腸内粘膜の表面積は増加し、栄養素の吸収量が多くなります。また粘膜の面積に比例して外敵からのバリア機能が高まり、細菌・ウイルスの侵入を防ぐうえにストレス耐性も強くなります。
この絨毛がさまざまな理由で弱まったり薄まったり少なくなったりしてしまうと、以下3つの「困ったこと」が起きます。
- 栄養状態が悪くなる
- バリア機能が低下する
- 免疫力が低下する
2-1. 栄養状態が悪くなる
栄養分を吸収する働きのある絨毛がしっかりと働けないと、胃で消化したあと小腸に運ばれた栄養素の吸収ができなくなります。
ちゃんと食べているのに体が痩せてしまうというような方は、小腸に負担が多くかかっていないかどうか気を付けてみてください。
2-2. バリア機能が低下する
絨毛が減ったり弱ったりすれば、バリア機能が低下します。その結果、さまざまな有害物質が体の中へ入りやすくなり、病気にかかりやすくなります。
2-3. 免疫力が低下する
一般的な風邪症状を引き起こしやすくなるだけでなく、悪化すれば自己免疫疾患になってしまうことも。病原菌に対する抵抗が少なくなり、アレルギーを発症する場合もあります。また、この状態が進行すれば、腸管そのものの炎症や潰瘍にもつながってしまいます。
3. 悪玉菌が優位になると起こること4つ
悪玉菌とは、人の健康維持に害をなす菌を指します。この悪玉菌が優位になってしまうと、以下のような不快症状が起き始めます。
- 便秘や下痢
- 肌荒れ
- 口臭や体臭
- 自律神経の不調
3-1.便秘や下痢
腸内で悪玉菌が増えてしまうと、腸の動きが鈍くなります。排便のためのぜん動運動がうまくいかなくなり、便秘になったり反対に下痢になったりします。
便秘になれば腸内に老廃物が居座り続け、さらに有害物質を生むといった悪循環になるでしょう。
3-2. 肌荒れ
悪玉菌が作り出す有害物質の中に、フェノールがあります。フェノールは発生すると、腸から再吸収され血液に入り込んで全身に運ばれます。そして、肌表皮を作る働きの邪魔をします。
肌にはターンオーバーといって生まれ変わり機能があり、いわゆる「脱皮」を繰り返すことで老廃物を輩出し、吹き出物やシミなどから肌を守っています。そのターンオーバーがフェノールによって邪魔されるので、老廃物の排出がうまくいかずに肌荒れが引き起こされます。
3-3.口臭や体臭
腸内菌のバランスが崩れると、腹部にガスがたまりやすくなります。悪玉菌の影響で分解しきれない老廃物が腸内で腐敗し、アンモニア・スカトールといった臭いの原因が発生するのです。
このガスの成分が血液に吸収され、体臭や口臭として現れます。また、この状態のときにおならをすると、臭いが非常に臭く感じるでしょう。
3-4.自律神経の不調
ガスが発生し、お腹が張ったり胃もたれや便秘などが起きたりすることで、自律神経にも影響を及ぼします。イライラしたりストレスを感じたりして、気力の低下につながります。
結果、体を動かすことが面倒くさく感じ、運動不足になりがちです。悪循環にはまってしまい、なかなか腸内環境を戻すことができません。
4. 運動で腸内環境改善・おすすめの運動
悪玉菌を減らして腸内環境を改善するためには、腸へ刺激を与えることが大切。腸に刺激を与えればぜん動運動が行われ、老廃物を滞ることなく排出できます。
そのために日頃からできるのは、運動です。
アスリートが行うような本気で長時間の運動は不要ですので、以下に紹介するおすすめの運動を毎日短時間でも行ってみましょう。
- ウォーキング
- ラジオ体操
- スクワット
4-1. ウォーキング
ウォーキングとは、姿勢を正して歩くこと。ハードな運動は無理という方でも、歩くことならできるという方も多いでしょう。
ただし、いつものように歩くだけでは効果は少なくなってしまいます。正しいやり方を知り、ウォーキングのための時間をとったり、通勤のときに試してみたりしてください。
- つま先で地面を踏み出し、歩幅を広くとってかかとから着地する
- 胸を軽く張って背筋を伸ばし、視線は前を見る
- 肘は軽くまげ、リズミカルに脇から後ろへと振り上げるようにする
- 骨盤を立たせるイメージでお腹を凹ませる
- 20分を目安に歩く
腕は前後に大きくふるのではなく、体の横から後ろへと振り上げるようにします。こうすることで肩甲骨が寄せられ、背中の筋肉にも刺激が送れて肩こりの改善が期待できます。
猫背になったり腰を反らしすぎたりしていないか注意しましょう。自宅で鏡をみて「まっすぐな姿勢」を確認し、それを保ちながら歩けているかを意識します。
大股で素早く歩くことがコツ。話せても歌えない程度のスピードと言われていますので、実際に歩きながら話したり少し歌ったりしてみましょう。速さの程度がわかります。
4-2. ラジオ体操
日本人なら誰でも1度は行ったことがある、ラジオ体操。全身の約400の筋肉や関節を動かすことができる、優秀な有酸素運動です。
ただし、子供のときのように何となく行うのではなく、真剣に行うことが大切。しっかり行えば汗ばむくらいの運動量ですので、正しいやり方で毎日実行していきましょう。
ここではラジオ体操第一の動きの注意点やポイントを紹介します。
- 背伸びの運動:かかとは床につけたままで体をまっすぐに伸ばします
- 腕を振って膝を曲げ伸ばす運動:かかとが床につくのは一瞬だけ。基本的には常にかかとを浮かして行いましょう
- 腕を回す運動:肩甲骨をしっかり動かせば、肩こり改善に効果があります
- 胸を反らす運動:斜め上に大きく開くとき、手のひらは上にして小指を伸ばしましょう。二の腕・バストアップ効果があり、猫背改善にも良い動きです
- 体を横に曲げる運動:脇腹を伸ばす動きでウエストを引き締めます
- 体を前後に曲げる運動:呼吸を止めずに行ってください
- 体をねじる運動:かかとは上げず、下半身は固定して行いましょう
- 腕を上下に伸ばす運動:肩に手をのせるときには、手も肘も耳のラインまでもっていきます
- 体を斜め下へ曲げ、胸を反らす運動:太ももの後ろをしっかり伸ばすことで、太もものセルライトを減らす効果があります
- 体を回す運動:両手の幅は均一に保って、腰を中心に大きく体を回しましょう。手の幅を均一にするために、タオルを持つことがおすすめです
- 両足跳び運動:ポイントは、つま先まで伸ばして飛ぶことです
- 腕を振って膝を曲げ伸ばす運動:2回目です。かかとをしっかり上げましょう。
- 深呼吸:お腹とお尻に力を入れながら、呼吸を整えていきます
ラジオ体操は動画もたくさん出ていますので、1度は確認のために見てみましょう。リズムにのって行ってください。
4-3. スクワット
スクワットは下半身の筋トレで非常に有名なメニュー。下半身の大きな筋肉をバランスよく鍛えるため、脂肪燃焼効果によって痩せることもできます。
スクワットで行う「しゃがむ」という動作が、腸へ良い刺激を与えます。ただし、闇雲に行えば膝関節や腰などを痛めてしまう場合も。正しいやり方を覚えてください。
- 両足は肩幅よりも少々広くし、つま先を外へ向けて立つ
- 背筋を伸ばし、軽く胸を開く
- 両手は前へまっすぐに伸ばすか、胸の前で組む
- 息を吐きながらゆっくりと、太ももが床と平行になる程度まで腰をおろしていく
- 息を吸いながら膝を伸ばして元の体勢に戻る
- 4から5までを10回繰り返す
- インターバルで30秒休憩を取る
- 残り2セットを行う
膝を曲げたときに膝がつま先より前に出ないようにしましょう。膝がつま先よりも前へ出ると、膝関節を傷める原因になります。足の裏全体で地面を踏むようにします。
5. 食事で腸内環境改善・おすすめの栄養成分
人間の体は食べたものでできています。そのため、悪玉菌を減らすことを考えつつ、食物内容を選んで善玉菌を増やすことも考えていきましょう。
善玉菌を多く含む食品、善玉菌を増やす食品を選び、毎日摂取すれば腸内環境も徐々によくなります。以下におすすめの摂取内容を4つ紹介します。
- 食物繊維
- オリゴ糖
- 乳酸菌
- グルタミン
5-1. 食物繊維
便秘をしたら食物繊維を摂れ、という言葉はよく聞きます。食物繊維は腸の掃除をする働きがあり、腸内環境を整えてくれます。特に日本人は昔から穀物を主食とする民族で、他の人種に比べて腸が長いそうです。食物繊維をしっかりとらなければ途端に便秘になってしまう人種ですので、優先的に食べていきましょう。
野菜、果物、大豆製品や海藻です。種や皮ごと食べるものや、歯ごたえがあるものに食物繊維は多く含まれています。ブロッコリー、枝豆、牛蒡、シソ、グリーンピース、レモンやアボカドなどがおすすめです。
5-2. オリゴ糖
オリゴ糖は、乳酸菌やビフィズス菌といった善玉菌の餌となるもの。フラクトオリゴ糖や乳果オリゴ糖などいろいろと種類がありますので、お好みのものを料理に使うなどして摂取しましょう。
5-3. 乳酸菌
便秘にはヨーグルト!と毎日食べている女性は多いです。ヨーグルトやチーズ、漬物などの発酵食品には善玉菌である乳酸菌が多く含まれています。特に乳酸菌を多く入れている商品もありますので、購入するときに見比べてみてください。
朝食時やおやつとして食べ、腸内環境を改善しましょう。
5-4. グルタミン
グルタミンは腸内の重要なエネルギー源。グルタミンが不足することで、腸内に入った細菌やウイルスが内側へと侵入してしまいます。
グルタミンは肉や魚、卵、大豆などのたんぱく質が多いものに含まれています。
まとめ:腸内環境を改善して内側から健康に!
腸内環境が良いとは、腸内菌のバランスが取れていて栄養がしっかり吸収され、排せつがスムーズにいく状態です。そのためには腸内菌のバランスを保ち、善玉菌を優勢にしなければなりません。
食事内容の見直しや運動など、腸の状態を改善するためにできることは多々あります。普段の生活習慣を少し見直せば、体の内側から健康になることはさほど難しくないはずです。
おすすめの運動は正しいやり方で行いましょう。負荷が少ないものが多いので、毎日継続して健康を取り戻してください。
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