筋トレの効果をより効率よくUPする拮抗筋について徹底解説

拮抗筋はどこにある?筋トレ・ストレッチに役立つ拮抗筋をご紹介!

デスクワークが多くて姿勢が悪くなったり、スポーツで体がかたく感じたり、筋トレでバランス良く筋肉がつかなかったりと、体に関する悩みは人それぞれ。原因の多くは、普段から同じ筋肉を使いすぎている事かもしれません。この時に役立つ筋肉が「拮抗筋」です。あまり馴染みのない言葉かもしれませんが、「拮抗筋」がどんな筋肉で、理解することで得られるメリットなどを紹介していきます。体の具合が気になる方は、ぜひ参考にしてみて下さい。

1. 拮抗筋とは

「拮抗筋」とは拮抗する筋肉の事で、「相反する働きを持つ筋肉」の事を指します。例えば関節を曲げる時に、筋肉は二つの働きをします。それは収縮と伸展です。

目的となる働きをする筋肉を「主動作筋」と呼び、反対側の筋肉を「拮抗筋」と呼びます。

例えばコップを握る時、手のひら側はコップを握るために「収縮」します。反対に手の甲側は、「伸展」します。この二つの作用によって、コップを握ることができます。

この場合、コップを握ることが目的となるので、手のひらの筋肉が「主動作筋」になり、手の甲の筋肉が「拮抗筋」です。

筋肉が収縮と伸展し、力のバランスを取り合いながら体を動かしています。

2. 拮抗筋を知っているとどうなる?

肉体の仕組みに精通したボディビルダーやフィジカー以外のほとんどの人は、拮抗筋の事を知らないでしょう。拮抗筋を知る事により、体の不調や筋トレの悩みなどが解決できるかもしれません。

2-1. 猫背などの姿勢矯正やO脚などの改善に役立つ

パソコンやスマートフォンを使いすぎると前かがみの状態が続き、猫背になりやすくなります。この時身体は、体の前面である、胸・お腹などの筋肉が収縮して凝り固まっています。反対に背中側の筋肉は伸び切った状態です。前と後ろの筋肉のバランスが取れていない為に、骨盤が前傾し、背骨も曲がり姿勢が悪くなります。

O脚になる理由は様々ですが、加齢と共に脚力が低下する事により、足の外側に体重が掛かりやすくなる為に起こるケースもあります。この場合は、足の外側と、内側の筋力のバランスが取れていません。

体の前と後ろや外と内などのお互いに相反する筋肉を理解し、筋トレやストレッチで「主動作筋」と「拮抗筋」の筋力を整えると、バランスの取れた身体に近づくことができます。

2-2. スポーツのパフォーマンスUPに繋がる

スポーツをしている時に体がかたくなると、思うような動作がスムーズにできません。この様な場合は、「主導作筋」だけでなく、「拮抗筋」にもわずかに力がかかっています。両方の筋肉に力が入ってしまうと、お互いが引き合うので関節が曲がりません。

普段より動作がスムーズに行えないのは、拮抗筋が力んでいる事も考えられます。体がかたく感じた場合は、フォームを何度か繰り返して、拮抗筋に力が入っていないか確認してみて下さい。

また、拮抗筋をストレッチで緩ませて上げる事も効果的です。

2-3. ストレッチにも役立つ

主導作筋と拮抗筋の関係はストレッチにも役立てます。通常ストレッチをする時は伸ばす側の筋肉に意識が向いてしまいます。ストレッチを感じる為に意識を向ける必要はありますが、筋肉は意識を向けすぎると余計な力が入ってしまいます。しっかりと筋肉をストレッチで緩めたい時には、ゆっくりと反対側の筋肉に意識を向けてみると、いつもよりも心地の良いストレッチが出来るでしょう。

2-4. 筋トレに役立つ

「拮抗筋」と「主動作筋」の関係は筋トレにも生かされます。ボディビルダーが行うトレーニング方法に「スーパーセット」があります。

スーパーセットとは2つの異なるトレーニングを連続して行うトレーニング方法で、基本的に対になる筋肉をそれぞれ鍛えます。体の両サイドの筋肉を鍛える為に効率のいいトレーニング方法として知られています。

片側の筋肉を鍛える時には、反対側の筋肉は休んでいる状態になります。ですので、長時間休憩を取らなくても、短い休息で対側の筋肉を鍛えることができます。これを繰り返すことにより、運動と休息を取りながら効率よく筋肉全体をトレーニング出来ます。

3. 各部位の主動作筋・拮抗筋と簡単なスーパーセットの紹介

身体にあるそれぞれの主動作筋と拮抗筋は以下の通りになります。筋トレでスーパーセットを行う時は、これらの筋肉を目的としてメニューを組み立てます。ここでは、ダンベルと自重で行える簡単なメニューもご紹介致します。回数やセット数はあくまでも目安ですのでコンディションに合わせて調整してみて下さい。

3-1. 上腕二頭筋と上腕三頭筋:(腕)

「上腕二頭筋」とは、腕を曲げたときに出来る「力こぶ」にあたります。上腕二頭筋は、腕の内側に位置しますが、反対側にあり「二の腕」と呼ばれる部分が「上腕三頭筋」です。

腕を曲げると上腕二頭筋が縮まり、反対に上腕三頭筋が伸びた状態になります。逆に肘をギュッと伸ばした時には、上腕三頭筋が縮まり、上腕二頭筋が伸びます。

スーパーセット例:(腕)

  1. ダンベルカール(上腕二頭筋)を10回行う。
  2. ダンベルキックバック(上腕三頭筋)を10回行う。
  3. 休憩を1~2分とる。
  4. 1~3を1セットとし3セット行う。

3-2. 大胸筋と広背筋:(胸・背中)

「大胸筋」は胸の筋肉の事で、反対に背中側の筋肉が「広背筋」です。広背筋は、腰から脇の下を翼の様に覆っている筋肉です。

肘を伸ばし、腕を前に押し出した時には大胸筋が収縮し、広背筋は伸びた状態になります。反対に肘を後ろに引くと広背筋が縮んで大胸筋が伸びます。

スーパーセット例:(胸・背中)

  1. ダンベルプレス(大胸筋)を10回行う。
  2. ダンベルベントオーバーローイング(広背筋)を10回行う。
  3. 休憩を1~2分とる。
  4. 1~3を1セットとし3セット行う。

3-3. 三角筋前部と三角筋後部:(肩)

「三角筋」は肩の関節を覆っている筋肉で、主に腕を動かすときに機能します。三角筋は前部・中部・後部の三部に分けられそれぞれの部位によって働きが異なります。

腕を下から前方に上げる時には体の前側にある前部が収縮し、反対に背中側の後部は進展します。逆に、腕を下から後方に引き上げる様にする時には、後部が収縮して前部が伸びます。

スーパーセット例:(肩)

  1. フロントレイズ(三角筋前部)を10回行う。
  2. リアレイズ(三角筋後部)を10回行う。
  3. 休憩を1~2分とる。
  4. 1~3を1セットとし3セット行う。

3-4. 腹直筋と脊柱起立筋:(腹部と背中)

腹直筋とは、「腹筋」の事で、シックスパックと呼ばれる場所の事でもあります。反対の背中の筋肉を「脊柱起立筋」と言い、背骨に沿って首から腰にかけてあります。

お腹を丸めると、腹直筋が収縮して、脊柱起立筋がストレッチされます。反対に背中を反る時には、脊柱起立筋が縮まり、腹直筋が伸びていきます。

スーパーセット例:(腹部と背中)

  1. クランチ(腹直筋)を10回行う。
  2. バックエクステンション(脊柱起立筋)10回行う。
  3. 休憩を1~2分とる。
  4. 1~3を1セットとし3セット行う。

3-5. 大腿四頭筋とハムストリングス:(太腿)

「大腿四頭筋」は太腿の前面と側面にある大きな筋肉で、大腿直筋・内側広筋・中間広筋・外側広筋と呼ばれる4つの筋肉で構成されています。反対に後ろ側の筋肉が「ハムストリングス」と言い、半腱様筋・大腿二頭筋・半膜様筋で構成された筋肉群です。

大腿四頭筋は、主に足を前に出したり、膝を前に上げたり伸ばしたりする時に収縮して働き、反対側にハムストリングは伸展します。足を後ろ側に引くときにはハムストリングスが縮まり、大腿四頭筋が伸びた状態になります。

スーパーセット例:(太腿)

  1. ダンベルスクワット(大腿四頭筋)を10回行う。
  2. ダンベルフロントランジ(ハムストリングス)を10回行う。
  3. 休憩を1~2分とる。
  4. 1~3を1セットとし3セット行う。

4. 拮抗筋の筋トレ・ストレッチをしてバランスの取れたボディーを作っていきましょう!

普段の生活では、拮抗筋を意識することが少ないかもしれません。しかし、ここで説明した様に、拮抗筋を少しでも意識してみることによって、体の不具合や、運動がうまくできない原因が見えてきます。体の表と裏の筋肉を理解して、バランスの取れた作りに生かして行きましょう!

【関連記事】