三角筋を自重トレーニングで鍛える4つの方法

メロンのように丸く盛り上がった肩は、鍛えられた上半身をよりたくましく見せてくれる大切な要素です。しかし、肩は鍛えるのが少々難しいうえにケガをしやすく、ケガをすると日常生活に影響が大きい部位です。

肩を痛めずに自宅で好きなときにトレーニングをしたい!そう願う方のために、ここでは肩の筋肉・三角筋をしっかりと鍛える自重トレーニング方法、鍛えにくい三角筋後部を鍛えるネガティブ動作練習方法を紹介していきます。

まずは筋肉部位についての理解を深め、その後に具体的なトレーニング方法を確認してください。

1. 自重トレーニングで肩周辺を鍛えるメリット・デメリット

筋トレには自分の体重を負荷として使う方法、ダンベルやバーベルなどのウエイトアイテムを使う方法、そしてマシンを使う方法があります。その中で、いつでも好きなときにトレーニングを始められるのが、自重トレーニング。特別な道具が不要ですので、ジムに行く必要もなく自分の都合でトレーニングができます。

では、時間や場所にとらわれないという以外に、自重トレーニングで肩を鍛えるメリットやデメリットは何があるでしょうか?トレーニング方法を紹介する前に、メリットとデメリットから確認していきましょう。

1-1. メリット

自重トレーニングでは、手幅や足の位置などをちょっと変えるだけで、負荷を与える筋肉部

位を変更できます。肩周辺は小さな筋肉も多く、複雑にできています。そのため自重トレーニングで鍛えると、細かい負荷やターゲットの調節がしやすいというメリットがあります。

また、社会人になってあまり腕や肩を使わなくなってくると、血流が悪くなって老廃物がたまるため肩こりが起きます。酷い肩凝りになると頭痛がしたり吐き気がしたりするようになりますが、肩周辺を鍛えることでそれが改善可能です。

1-2. デメリット

肩周辺の筋肉を自重トレーニングで鍛えるデメリットは、適切な負荷が判断しにくいという点があります。肩は常に使っていますが、トレーニングに慣れるまでは動きを意識しにくい部分です。目で見てもよくわからないインナーマッスルもあり、トレーニング中に不安になることもあるでしょう。

自重トレーニングで肩を鍛える場合には、鏡の前でトレーニングを行ったり写真や動画を撮ったりなどをして、正しいフォームで行えているかを確認しましょう。

2. 肩の筋肉・三角筋とは?

肩の筋肉は三角筋(さんかくきん)です。肩関節を覆うようについている筋肉で、単体ではなく、前部・中部・後部の3つのパートにわかれています。それぞれに個別の作用があるため、鍛えるときには万遍なく刺激を与えることが望ましいです。

  • 三角筋前部・・・肩の前についていて、腕を前へ上げるときに使う
  • 三角筋中部・・・肩の側面についていて、腕を横へ上げるときに使う
  • 三角筋後部・・・肩の背中側へついていて、腕を後ろへ上げるときに使う

ここを鍛えれば、肩をメロンのように丸く盛り上がった形にすること、肩幅を広くすることができます。

3. 肩周辺の筋肉部位紹介

肩の筋肉は三角筋と細かいインナーマッスルですが、その肩を支える周辺の筋肉についても紹介しておきましょう。筋トレではターゲット部位を意識することで、より効果が得られると言われています。周辺の筋肉についても知っておき、サブターゲットで鍛えるときには意識するようにしてください。

  • 僧帽筋
  • 広背筋
  • 上腕三頭筋

3-1. 僧帽筋

僧帽筋は背中の上の部分、首から肩、肩甲骨にかけて十字にのびる筋肉です。肩甲骨を動かすときに使い、重いものを持ち上げるときに必要です。

筋肉部位の中では比較的筋トレ効果がでやすい部位で、ここを鍛えると背中に厚みをだすことができます。姿勢改善にも役立つでしょう。

3-2. 広背筋

背中の左右側面についているのが、広背筋。ここを鍛えることで男らしい逆三角形の体形になれます。かなり大きな筋肉で、正しく美しい姿勢を保つために必要な部位です。

肩とは直接関係がないように思えますが、実際には三角筋を下から支えています。広背筋を鍛え、三角筋をサポートしていきましょう。

3-3. 上腕三頭筋

上腕三頭筋は二の腕の部分。腕の筋肉の約60%を占める大きな筋肉です。腕を伸ばす・重いものを押すといったときに使います。腕に厚みを出すためにも刺激が必要な場所です。

肩を鍛えるときにはサブターゲットになりやすい部位でもありますので、知っておいてください。

4. 肩を鍛える自重トレーニング方法5選

では、肩を鍛える自重トレーニングの方法を具体的に紹介していきましょう。おすすめするトレーニング方法は、以下の5つです。

  • ナロープッシュアップ
  • ワイルドプルアップ
  • パイクプレス
  • 逆立ちプッシュアップ
  • バックエクステンション

4-1. ナロープッシュアップ

ナロー(狭い)プッシュアップ(腕立て伏せ)です。通常バージョンの腕立て伏せより、手幅を狭くして行います。

三角筋前部・上腕三頭筋・大胸筋がターゲットです。

  1. 床にうつ伏せで寝転がる
  2. 肩幅よりも狭い手幅で両手を地面につく
  3. 両足のつま先を立てて体を支える
  4. 頭から足先までが一直線になるようにする
  5. 肘を曲げ、床にできるだけ胸を近づけていく
  6. 肘をゆっくりと伸ばし、元の体勢に戻る
  7. 5~6までを10回繰り返す
  8. インターバルで30秒休憩を取る
  9. 残り2セットを行う

息を吸いながら体を下ろし、息を吐きながら体を上げます。手幅を狭くするために負荷が強すぎて難しいという方は、両足を広げたり膝を床につけたりして行ってみてください。正しいフォームで10回できるようになれば、1セット数を12回まで増やしてトレーニングしましょう。

4-2. ワイドプルアップ

プルアップとは、順手(手の甲が自分を向く)で行う懸垂のことです。懸垂は本来背中の広背筋を鍛えるメニューですが、手幅を広くとることで三角筋にも刺激を送れます。

順手で行うため、鉄棒や懸垂バーがなくても大丈夫。ドアや背の高い家具などがあれば、自宅でもトレーニング可能です。

  1. 肩幅よりも広い手幅にし、家具の上辺などに指をひっかける
  2. 両足は膝で後ろへ曲げ、軽く交差させる
  3. 肩の筋肉を意識しながら体を引き上げていく
  4. あごが指と同じ高さを超えたら、その場で2秒キープ
  5. ゆっくりと肘を伸ばして元の体勢に戻る
  6. 3から5までを10回繰り返す
  7. インターバルで30秒休憩を取る
  8. 残り2セットを行う

家具などを使う場合には、倒れてこないように確認をしてから行いましょう。体を引き上げるときに息を吐き、下ろすときに息を吸います。

4-3. パイクプレス

自分の体で三角形を作り、その状態で腕立て伏せをするのがパイクプレス。肩周辺を鍛えるには必須のトレーニングメニューです。三角筋の前部と中部がメインターゲット。ゆっくりと動くことで、しっかりと負荷をかけましょう。

  1. 床の上に四つん這いになる
  2. お尻を天井に向かって突き上げ、体をくの字に折って頭を下へ向ける
  3. 両手は肩幅よりも広めにとって床を押すイメージで手のひらをつける
  4. 肘を外側へ曲げていき、頭が床に触れる直前まで下げていく
  5. ゆっくりと肘を伸ばして元の体勢に戻る
  6. 4から5までを10回繰り返す
  7. 残り2セットを行う

肘を曲げるとき、外側へ曲げることで三角筋に刺激を与えます。トレーニング中はあごを引いておきましょう。その方が肩へ負荷がかかりやすいです。

通常の腕立て伏せよりも難易度は上がります。初心者であれば、まずは腕立て伏せができるようになってからトライしてください。

4-4. 逆立ちプッシュアップ

逆立ちをしながら行う腕立て伏せです。難易度は上がりますが、三角筋だけでなく体幹などのさまざまな筋肉を鍛えられ、全身のバランスをアップさせられる筋トレメニューです。

ケガを予防するため、自信がない方は人についてもらって行ってください。

  1. 壁の前に立ち、手幅を肩幅より広めにとって床に両手をつく
  2. 壁を使って倒立する
  3. バランスをとって体を安定させる
  4. 肘を曲げ、体を下ろしていく
  5. 限界までおろしたら、ゆっくりと肘を伸ばして体を上げていく
  6. 4から5までを10回繰り返す
  7. インターバルで30秒休憩を取る
  8. 残り2セットを行う

転倒を恐れてバランスを取ることばかりを気にしてしまうと、三角筋にしっかりと負荷をかけることができません。まずは安定して倒立ができるようになってから、トレーニングを行ってください。

できるだけゆっくりと動くことで、筋肉に刺激をあたえていきます。もし痛みを感じるようなら、すぐにやめて休みましょう。

4-5. バックエクステンション

バックエクステンションは主に背中の脊柱起立筋を鍛える筋トレメニューですが、三角筋にも刺激は送れます。シンプルな動きでケガもしにくいため、継続して行ってください。

  1. うつ伏せになって寝ころぶ
  2. 両手は頭の後におき、ゆっくりと上半身を反らして床から起こす
  3. 両足も浮かせ、お腹だけが床につくようにする
  4. 胸が床から離れたところで2秒キープ
  5. ゆっくりとうつぶせ寝に戻る
  6. 2から5までを20回繰り返す
  7. インターバルで30秒休憩を取る
  8. 残り2セットを行う

上半身を持ち上げる際には、反らしすぎに注意しましょう。腰に負担がかからないように、上半身と脚が浮き上がればよしと考えてください。

5. 三角筋後部を鍛えるネガティブ動作トレーニング

三角筋には前・中・後の3つのパートがあると説明しました。しかし実は、自重トレーニングでは三角筋後部をしっかり鍛えるポジティブ動作(力を入れて筋肉を収縮させる動き)はありません。ネガティブ動作(力をゆるめて筋肉を伸ばす動作)ならば少々ありますので、個別にそれを行います。

三角筋は3つのパート全てをバランスよく鍛えることが理想です。後部に刺激を送るため、ネガティブ動作だけをトレーニングしていきましょう。

5-1. プルアップのネガティブ動作

懸垂(チンニング)は、腕を使って全身を上げ下げする筋トレメニューで、自重トレーニングでは最強といわれています。難易度が高いため、筋トレ初心者では1回もできないということは珍しくありません。

そんな筋トレ初心者が懸垂をするためにする練習で、上から体を下ろすネガティブ動作を繰り返し行うというものがあります。これが、三角筋後部へ刺激を与えます。

プルアップは順手(手の甲が自分を向く)で行う懸垂ですので、自宅のドアや高い家具などを使ってトレーニング可能です。プルアップのネガティブ動作で三角筋後部を鍛えましょう。

  1. 台などを用意して、背の高い家具などの上辺に指をひっかけるようにして立つ
  2. 台から足を下ろして懸垂で体を持ち上げたときの状態を作る
  3. ゆっくりと肘を伸ばし、体を下ろしていく
  4. 肘が伸びきる直前まで体をおろしたら、そのまま2秒キープ
  5. また台に上り、1の状態に戻る
  6. 以上を10回繰り返す

これができるようになると、懸垂も正しいフォームでトレーニングしやすくなります。

5-2. 斜め懸垂のネガティブ動作

同じく懸垂のバリエーションである、斜め懸垂を使ったネガティブ動作です。背の高い家具がなかったりドアの頑丈さに不安があったりする場合、テーブルなどを使って斜め懸垂ができます。

斜め懸垂のネガティブ動作で三角筋後部を鍛えていきましょう。

  1. テーブルの下に腰から下を滑り込ませ、両手をテーブルの淵にひっかけるイメージで持つ
  2. かかとと両手で体を支え、頭からかかとまでが一直線になるように保つ
  3. 肘を曲げて体を持ち上げ、テーブルに胸を近づける
  4. その状態から、ゆっくりと肘を伸ばして体を下ろしていく
  5. 肘が伸びきる直前まで下ろしたら、2秒キープ
  6. 再び3の状態に戻り、4から5までを10回繰り返す

動作はできるだけゆっくりと行ってください。重力に従って勢いよく下ろしてしまうと、ケガの原因になります。

まとめ:自重トレーニングで三角筋を鍛えて肩幅を広く!

自重トレーニングは、自分の都合で好きなときに筋トレができるという大きなメリットがあります。また、手幅などを変えることでメインターゲットを変更できるなど、細かい調節がききやすいのも嬉しいメリットでしょう。

ここでは肩の筋肉・三角筋を鍛える自重トレーニングと、なかなか鍛えにくい三角筋後部を鍛える方法を紹介しました。男らしい丸くて厚みのある肩と上半身になるため、継続して取り組んでいきましょう。

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