肩を覆っている筋肉の三角筋。三角筋などの肩まわりの筋肉が凝り固まると、身体にさまざまな不調が出てしまう可能性があります。ここでは、オフィスや自宅で簡単にできる、三角筋を始めとする肩まわりの筋肉を徹底的にほぐすためのストレッチをご紹介します。
1. 徹底的にほぐしたい肩関節まわりの筋肉
肩まわりにある筋肉は、「三角筋」「大円筋」「棘上筋」「棘下筋」「肩甲下筋」の5種類。筋肉を意識しながらストレッチをするためにも、それぞれの筋肉の位置や働きを理解しておきましょう。
1-1. 三角筋の位置や働き
三角筋は、肩を覆う表層部にある大きな筋肉。肩関節を保護するのが主な働きです。肩関節を回転させるなどの運動や、腕を真横に持ち上げる動作にも関わっています。
1-2. 大円筋の位置や働き
大円筋は、肩甲骨上腕の骨から脇の下に繋がっている、肩甲骨の下あたりに位置する筋肉。広背筋をサポートする役割が大きく、肩関節の伸展や内転、内旋の動作に関わっています。
1-3. 棘上筋の位置や働き
棘上筋は、肩の上の部分の、肩甲骨の上のくぼみから上腕骨に位置している筋肉。腕を上げる全ての動きに関わっています。
1-4. 棘下筋の位置や働き
棘下筋は、肩甲骨の突起の下から上腕骨の外側、棘上筋の下に位置している筋肉。上腕を背中側に動かしたり外へひねる動きに関わっています。
1-5. 肩甲下筋の位置や働き
肩甲下筋は、肩甲骨の前側から上腕骨の前側に位置している筋肉。腕を胸側に動かしたり内へひねる動きに関わっています。
2. ストレッチの効果を高めるポイント
ストレッチの効果を高めるためには、ポイントをしっかりと押さえておく必要があります。
ストレッチを行う時には、ターゲットとなる筋肉の位置を意識しながら行いましょう。筋肉の位置を理解したストレッチは、正しいフォームの維持に繋がります。また、呼吸を続けながら行うことも大切です。継続的に呼吸をすれば、体内の細胞へ十分な酸素が行き渡るため、細胞が活性化されて代謝が促進されます。
身体の柔軟性というのは、左右に差があります。身体の歪みを調節するためにも、できない方を重点的に行うなど、できない方に合わせて取り組みましょう。
3. オフィスでもできる!簡単肩まわりストレッチ
椅子に座ったままでも行えるストレッチは、休憩時間など、オフィスでもすぐに取り組めます。
3-1. クロスボディ・アームストレッチ(三角筋)
腕をゆっくりと伸ばしていく、三角筋をほぐすのに効果的なストレッチ。
- 立った体勢又は椅子に座った体勢で、背筋を伸ばす
- 右腕を肩の高さまで上げて左へ伸ばす
- 右ヒジあたりを左腕で掴み、身体の方にゆっくりと引き寄せる
- 10〜20秒キープしたら、ゆっくりと元の位置に戻す
この動作を、左右交互に1回を1セットとして、5セットを目安に行います。腕を身体に引き寄せる時には、上体を動かさないのがポイントです。上体も動いてしまうと、三角筋が十分に伸ばせません。 気持ちいいと感じる強さで行いましょう。
3-2. スタティックスストレッチ(三角筋・大円筋)
腕を高く持ち上げる、三角筋と大円筋をほぐすのに効果的なストレッチ。
- 両足を腰幅くらいに開いで立ち、頭の上で両腕を伸ばして組む
- 両手を天井に向かって高く持ち上げる
- 20〜30秒キープしたら、ゆっくりと元の位置に戻す
この動作を、3〜5回を目安に行います。腕を上げる時には、天井に吊るされているようなイメージで行うのがポイントです。三角筋と大円筋が十分に伸びて効果的にほぐされます。少し背面側に腕を引き上げるようにすると、さらに効果が高められます。
3-3. アップクロスストレッチ(大円筋)
ヒジを曲げた体勢で腕を上げる、大円筋をほぐすのに効果的なストレッチ。
- 立った体勢又は椅子に座った体勢で、背筋を伸ばす
- 右腕を天井に向かって上げてヒジを曲げる
- 右ヒジを左手で掴み、左側にゆっくりと引き寄せる
- 20〜30秒キープしたら、ゆっくりと元の位置に戻す
この動作を、左右交互に1回を1セットとして、3〜5セットを目安に行います。柔軟性に左右差がある場合は、苦手な方を重点的に行うのがポイントです。歪みが調整されて、バランスよくほぐされるでしょう。
3-4. バッククロスストレッチ(棘上筋)
背中側に腕を伸ばしていく、棘上筋をほぐすのに効果的なストレッチ。
- 椅子に座った体勢で、背筋を伸ばす
- 右腕を背中側に伸ばして、左手で右ヒジを掴む
- 左手で右腕を左側にゆっくりと引き寄せる
- 20〜30秒キープしたら、ゆっくりと元の位置に戻す
この動作を、左右交互に1回を1セットとして、5セットを目安に行います。アップクロスストレッチと同様に、柔軟性に左右差がある場合は、苦手な方を重点的に行うのがポイントです。他の筋肉が使われないように、腕は身体から離さず、背中に沿わせた状態で引き寄せましょう。
3-5. フラッグストレッチ(棘下筋)
ヒジを横に張った状態で腕を引き寄せる、棘下筋をほぐすのに効果的なストレッチ。
- 立った体勢又は椅子に座った体勢で、背筋を伸ばす
- 右手の甲を腰に当て、ヒジを横に張る
- 左腕で右ヒジを前方から掴み、前の方にゆっくりと引き寄せる
- 10〜20秒キープしたら、ゆっくりと元の位置に戻す
この動作を、左右交互に1回を1セットとして、3〜5セットを目安に行います。ヒジを張った時には、肩まわりの筋肉が緊張しないようにするのがポイントです。肩まわりに力が入って緊張すると、筋肉が上手くほぐされません。無理をしないで、痛みを感じない程度に力を加減して行いましょう。
3-6. ドアを使ったストレッチ(肩甲下筋)
ドアを使って胸から肩の部分を開く、肩甲下筋をほぐすのに効果的なストレッチ。
- ドアを開けた状態で通路に立ち、右腕から右肩を壁につける
- 体重を前に移動して、胸から肩にかけて押すようにしてゆっくりと開く
- 20〜30秒キープしたら、ゆっくりと元の位置に戻す
この動作を、左右交互に1回を1セットとして、5セットを目安に行います。体重を前に移動する時には、同じ速度でゆっくりと行うのがポイントです。速く移動させてしまうと、肩甲下筋への刺激が半減してしまいます。
4. 就寝前におすすめ!じっくり肩まわりストレッチ
就寝前に10分程度で行える、自宅でできる肩まわりストレッチは、質の良い睡眠にも繋がります。
4-1. 糸通しのポーズストレッチ(三角筋)
四つん這いになって腕を横に伸ばしていく、大円筋をほぐすのに効果的なストレッチ。
- マットなどを敷いた床に四つん這いになり、頭の右側と右肩を床につける
- 腰の真下にヒザを置き、肩の真下に手を置く
- 左手を腰に当てて、右腕を左側にまっすぐに伸ばす
- 10〜20秒キープしたら、ゆっくりと手を肩の真下に戻す
この動作を、左右交互に1回を1セットとして、3〜5セットを目安に行います。動作は常にゆっくりと、腰を痛めている場合は、腰の位置を低くして無理をせずに取り組みましょう。
4-2. キャットストレッチ(大円筋)
四つん這いになって腕を上に伸ばしていく、大円筋をほぐすのに効果的なストレッチ。
- マットなどを敷いた床に四つん這いになり、お尻をかかとの上におろす
- 腕を上に伸ばし30秒キープする
この動作を、3回を目安に行います。大円筋が伸びていることを意識しながら、首や肩はリラックスした状態で行いましょう。
4-3. 鋤のポーズ(棘上筋)
仰向けに寝た状態で身体を曲げていく、棘上筋をほぐすのに効果的なストレッチ。
- マットなどを敷いた床に、仰向けになって寝る
- 両ヒザを胸に近づけて、腰を持ち上げて両手で支える
- 両ヒザを伸ばし、つま先を頭の先につけるように両足を伸ばす
- 20秒ほどキープしたら、ゆっくりと元の位置に戻す
この動作を、1〜3回を目安に行います。腰や首を痛めている場合は無理をしないこと。首を痛めないために、首を動かさずに取り組みましょう。
4-4. 椅子を使った肩甲骨はがし(肩甲下筋)
椅子を使って背中を伸ばす、肩甲下筋をほぐすのに効果的なストレッチ。
- 椅子を置いた右側に四つん這いになる
- 顔は正面を向き、左ヒジを90度に曲げて、ヒジから下を椅子に乗せる
- 背筋を伸ばしながら、顔を床の方に向けていく
- 10秒ほどキープしたら、ゆっくりと顔を元の位置に戻す
この動作を、左右交互に1回を1セットとして、3セットを目安に行います。椅子は、四つん這いになった時の肩の高さと同じくらいの物を使いましょう。
5. まとめ
肩まわりは、仕事でも日常生活でも負担がかかりやすい部位のため、気がつくと凝り固まってしまいます。肩まわりの筋肉をほぐすためには、ストレッチを行うのが効果的です。
オフィスや自宅で簡単にできるストレッチを習慣にして、スッキリした毎日を過ごしましょう。
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