ケーブルクロスオーバーで大胸筋をバランスよく鍛えよう

大胸筋のパンプアップ、バストアップを目指す人は必見!ケーブルクロスオーバーでバランス良く大胸筋を鍛える方法を徹底解説します。正しいやり方や鍛えたい部位ごとのフォーム、グリップの正しい握り方まで、ポイントや注意点と共にご紹介します。

1. ケーブルクロスオーバーの効果とメリット 

まず、基本的なケーブルクロスオーバーについて解説します。ケーブルクロスオーバーは

マシーンの中央に立ち、左右それぞれのケーブルを両手で掴んで、「上方から下方」、「後方から前方」、「下方から上方」などに「引く」動きで、大胸筋を鍛えるトレーニングです。

最大の特徴は、滑車の位置を変えることで、大胸筋のそれぞれの部位を分けて鍛えられることです。また、ケーブルを使うという特性によって、「ベンチプレス」や「ディップス」、「ダンベルフライ」等の他のトレーニングとは異なる、以下のようなメリットが挙げられます。

  • 肩の関節の可動域が広く、筋肉を動かせる自由度が高いため、より刺激を入れやすい。
  • 滑車の位置と自分の体の角度/フォームによって、細やかにターゲットとなる筋肉や部位を変えられる。
  • ケーブルを引く方向に力がかかるため、どの動作の場面でも緊張が持続し、負荷が逃げない。
  • 負荷の調整が容易に行える。

このように、ターゲットとする筋肉に安定した刺激を入れることができる自由度の高さが、ケーブルクロスオーバーの長所です。ターゲット別に鍛え分けができるため、大胸筋それぞれの部位を狙ってバランスよく鍛えることができるのです。

2. ケーブルクロスオーバーで鍛えられる筋肉

ケーブルクロスオーバーのターゲットとなる筋肉は「大胸筋」です。「大胸筋」は、全身の中でも体積の大きな筋肉のひとつであり、肩側から「上部」、「中部」、「下部」の3つの部分に分けられます。主に腕を動かす際に働き、それぞれの部分で担う作用が異なるため、分けて鍛えるのが一般的です。

2-1. 大胸筋上部

大胸筋上部は肩との境の部分で、腕を斜め上方に挙上させる働きを担う筋肉です。このため、ケーブルクロスオーバーでは、滑車の位置を下部に設置し、下方から上方へ向かって引く「ロー・ケーブルクロスオーバー」で鍛えることができます。

2-2. 大胸筋中部

大胸筋中部は、大胸筋上部の下に位置します。腕を前方に押し出したり、閉じる動きを担います。ケーブルクロスオーバーでは、滑車の位置を真ん中に設置し、後方から前方に向かって引く「ミドル・ケーブルクロスオーバー」で鍛えることができます。

2-3. 大胸筋下部

大胸筋下部は、腹筋と胸筋の境であり、腕を斜め下方に押し出す働きを担う部分です。ケーブルクロスオーバーでは、滑車を上部に設置し、上方から下方へ引く「ハイ・ケーブルクロスオーバー」で鍛えることができます。

3. ケーブルクロスオーバーの種類

前述のように、ケーブルクロスオーバーは、ケーブルの軌道や身体の角度によって、ターゲットとする筋肉を自由に定められるのが特徴です。鍛えたい箇所を的確に狙うことで、ターゲットを細やかに鍛え上げられます。ここでは、鍛える部位別に、ケーブルクロスオーバーの種類をご紹介します。

3-1. 大胸筋上部を鍛えるロー・ケーブルクロスオーバー

まずは、滑車を下方に設定して下方から上方にケーブルを引く、ロー・ケーブルクロスオーバーです。大胸筋上部に刺激を入れることができます。

また、正しいグリップの握り方からご紹介します。他のケーブルクロスオーバーでも共通のポイントとなるため、マスターしておきましょう。

【正しいグリップの握り方】

  1. 肘と手首を結んだ先のラインにグリップを乗せます。
  2. 手のひらの親指の付け根にグリップが乗っており、手を開いたままでもケーブルが押せる状態であれば、正しい持ち方です。

指先のみでグリップを握ってしまうと、負荷のかかる方向が不安定になり、大胸筋よりも肩に刺激が入りやすくなってしまいます。肩を傷める原因にもなるため、正しいグリップの握り方で行いましょう。

【ロー・ケーブルクロスオーバーの正しいやり方】

  1. マシーンの中央に立ち、正しい握り方でグリップを掴みます。
  2. 片脚を一歩前に出して姿勢を安定させ、骨盤が立った状態で行います。
  3. 背筋を伸ばして肩を下げ、胸を張った状態でスタートポジションを取ります。
  4. やや肘を曲げた状態を保ちながら、滑車と同じ方向にケーブルを引きます。
  5. グリップを握る手が乳頭より上の位置に来るように合わせます。
  6. ゆっくりとスタートポジションに戻ります。
  7. 姿勢を保ちつつ、10回×3セットを目安に行います。

3-2. 大胸筋中部を鍛えるミドル・ケーブルクロスオーバー

続いて、ミドル・ケーブルクロスオーバーです。滑車の位置をマシーンの中央に設定し、後方から前方に引く軌道で行います。

【ミドル・ケーブルクロスオーバーの正しいやり方】

  1. マシーンの中央に立ち、正しい握り方でグリップを掴みます。
  2. 片脚を一歩前に出して姿勢を安定させ、骨盤が立った状態で行います。
  3. 背筋を伸ばして肩を下げ、胸を張った状態でスタートポジションを取ります。
  4. やや肘を曲げた状態を保ちながら、滑車と同じ方向にケーブルを引きます。
  5. グリップを握る手を、体の正面で合わせます。この時、手は胸の高さより下がらないようにします。大胸筋中部は、腕を水平に動かす時に最も収縮することを意識しましょう。
  6. ゆっくりとスタートポジションに戻ります。
  7. 姿勢を保ちつつ、10回×3セットを目安に行います。

3-3. 大胸筋下部を鍛えるハイ・ケーブルクロスオーバー

最後は、大胸筋下部を鍛えるハイ・ケーブルクロスオーバーです。大胸筋下部は腹筋との境目のアウトラインに当たる重要な部分です。斜め上方向から下方向へ引く動きで刺激を入れることができるため、滑車を高い位置に設定します。

【ハイ・ケーブルクロスオーバーの正しいやり方】

  1. マシーンの中央に立ち、正しい握り方でグリップを掴みます。
  2. 片脚を一歩前に出して姿勢を安定させます。骨盤が立った状態で行います。
  3. 背筋を伸ばして肩を下げ、胸を張った状態でスタートポジションを取ります。
  4. やや肘を曲げた状態を保ちながら、滑車と同じ方向にケーブルを引きます。
  5. グリップを握る手が乳頭より下の位置に来るように合わせます。
  6. ゆっくりとスタートポジションに戻ります。
  7. 姿勢を保ちつつ、10回×3セットを目安に行います。

【ケーブルクロスオーバーに共通する注意点とポイント】

大胸筋それぞれのターゲットに対応するケーブルクロスオーバーのやり方についてご紹介しましたが、どのケーブルクロスオーバーにも共通する、トレーニング時の注意点があります。以下のポイントも押さえて行っていきましょう。

  • ケーブルを引く時は、必ず滑車・ケーブルと一直線になる方向に引くのが正しいやり方です。軌道からずれた方向に引くと、しっかりと負荷をかけることができません。
  • ケーブルは腕の筋肉でも引くことができますが、胸に効かせるために常に「大胸筋のみで引く」ことを意識して行いましょう。
  • スタートポジションに戻る時は、大胸筋の緊張が最大時間継続するように、じっくり効かせながら戻します。

細かいですが、どれも効率的なトレーニングのためには重要なポイントです。しっかり押さえて、ケーブルクロスオーバーに励んでいきましょう。

4. 応用編!ケーブルクロスオーバーで大胸筋の内側を鍛える方法

大胸筋は「上部」、「中部」、「下部」という区分以外にも、「外側」と「内側」があります。ここまでは、主に大胸筋の外側、アウトラインに刺激を入れるトレーニング方法をご紹介してきました。

ケーブルクロスオーバーに共通したフォームを実際にやってみると分かりますが、胸を張り、肩を下げ、肩甲骨を寄せた状態で、手のひらを合わせてみてください。胸全体が収縮していると思いますが、特に大胸筋の外側に強い刺激が入るのを感じられると思います。

次に、骨盤を少し寝かせ、肩甲骨を思いっきり開いて、少し顎を引いて、先ほどと同じように手のひらを合わせてみてください。今度は大胸筋の内側に効いているのを感じると思います。

ケーブルクロスオーバーの応用編として、大胸筋の内側も刺激を入れたい、パンプアップをしたい場合に役立つ、内側に効かせるケーブルクロスオーバーのやり方をお伝えします。

【大胸筋の内側に効くケーブルクロスオーバーのやり方】

  1. マシーンの中央に立ち、正しい握り方でグリップを掴みます。
  2. 足は閉じ、つま先を正面に向け、骨盤をやや後傾させます。
  3. 寝かせた骨盤を安定させるように上半身を曲げ、ベントオーバーローのような状態にします。これがスタートポジションです。
  4. 腹筋に力を入れ、背中を丸めるように肩甲骨を思い切り開いた状態でケーブルを引き、胸を収縮させます。
  5. 肘が90度くらいの角度まで戻ったらストップし、再びケーブルを引きます。
  6. 3~5を繰り返し、10回×3セットを目安に行います。

【注意点とポイント】

  • つま先を外側に向けたり、足幅を広く取ると骨盤が後傾しやすくなるため、肩甲骨が寄り、大胸筋の外側に効くフォームに近付きます。必ず足幅を狭く取りましょう。
  • 顔は若干顎引き気味か真正面を向いて行うことで、肩甲骨が寄りにくくなります。

「ベンチプレス」や「ディップス」など、多くの大胸筋トレーニングのほとんどは、大胸筋の外側に刺激を入れるものです。大胸筋の内側に効かせられるのは「デックフライ」や今回ご紹介した「ケーブルクロスオーバー」です。大胸筋の外側を鍛えるトレーニングと内側を鍛えるトレーニングを区別すると、効果的でバランスの良く大胸筋を成長させることができます。

5. チューブで代用!自宅で大胸筋を鍛えるトレーニング

ケーブルクロスオーバーは、マシーンのあるジムに行く必要があります。しかし、トレーニングチューブを使用すれば、自宅でもケーブルクロスオーバーに替わる大胸筋トレーニングが可能です。ケーブルクロスオーバーに比べると、調整できる負荷に制限がありますが、ジムに行けない時には重宝するはずです。

【チューブを使った大胸筋トレーニングのやり方】

  1. 丈夫な柱や壁にフックを付け、チューブ通します。
  2. チューブを引っ張り、しっかり固定されていること確認します。
  3. フックに背を向けて立ち、両手それぞれでチューブの端を握ります。
  4. 立つ位置がフックから離れるほど負荷が高まるため、連続して10回チューブを引ける距離を取りましょう。
  5. 肘はやや曲げて、伸ばし過ぎず、曲げ過ぎないようにします。視線は前を見据えます。
  6. 胸を張ってチューブを引き、正面で両手を合わせます。この時、肘は前方にしっかり伸ばします。
  7. 負荷が1番高いところで少し止め、ゆっくりと元の位置へ戻します。
  8. 10回×3セットを行います。

このトレーニングでは、チューブの硬さによって負荷を調整します。初心者や女性は柔らかいチューブから始めると行いやすいでしょう。また、チューブを括り付ける部分は、引っ張っても破損しない、頑丈な場所を選んで、安全に行って下さいね。

6. 狙いを定めたトレーニングで、バランスよく大胸筋を鍛えよう

いかがでしたか?今回は効果的に大胸筋を鍛え上げるのに欠かせない、ケーブルクロスオーバーについてご紹介しました。ターゲットとする部位をしっかり意識して行うことで、全体を偏りなく鍛えることができるでしょう。ぜひトライしてみてください。

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