1. ベンチプレスとは
筋トレをしている人なら、ベンチプレスをやっている人を一度は見たことがあるかもしれません。ここではベンチプレスがどのようなトレーニングなのかについて触れていきます。
1-1. ベンチプレスは筋トレビッグスリーの一つ
「ベンチプレス」は、筋トレの中でビッグスリーと呼ばれるトレーニングの一つです。他のトレーニングに「スクワット」と「デッドリフト」と呼ばれるトレーニングがあります。
それぞれ、体の中で大きな筋肉である胸、背中、腿を鍛えることができ、ベンチプレスでは、胸を中心に上半身を鍛えることができます。
1-2. プッシュ系最大重量が使える
ベンチプレスは、トレーニングベンチに寝そべってバーベルを押し上げるトレーニングですが、上半身を使うレーニングの中で、最大の重量を扱うことができます。
ベンチプレスでは、主に胸の筋肉の「大胸筋」と、腕の筋肉である「上腕三頭筋」が使われます。他にも肩と背中の筋肉を使いながら、バーベルを扱っていくので、これらの筋肉を鍛えていくことができます。
上半身の筋肉を肥大させ、パワーアップをさせるために、非常に効果のあるトレーニングです。
1-3. やり方次第で鍛える筋肉を変えられる
ベンチプレスの特徴の一つとして、トレーニングベンチの角度、バーベル握り方やグリップ幅などを変えることにより、鍛える筋肉を変えることができることです。
トレーニングベンチの角度を変えると、鍛える胸の筋肉の部位を変えることができます。腕の位置や手首の角度を変えると、上腕三頭筋への負荷のかかり方も変わってきます。また、やり方次第では、痛みがある部位を避けながらトレーニングをすることも可能です。
単にバーベルを押すだけに見えるベンチプレスですが、さまざまなトレーニングが可能なのです。
2. ベンチプレスで鍛えられる筋肉
ベンチプレスでは、以下の筋肉を鍛えることができます。それぞれがどのような筋肉か解説していきます。
2-1. 大胸筋
「大胸筋」は、上部、下部、外部、内部の四つの筋肉で構成されている胸の筋肉です。主に腕の上げ下げや、腕を外へ開いたり、内側へ寄せたりするときに使われます。
ベンチプレスは、自分の体重以上の重量を扱うことも可能なので、男らしい分厚い胸を作るには効果的であり、また欠かせないトレーニングです。
腕立て伏せや、ダンベルでトレーニングをしても、なかなか効果が感じられなくなった時におすすめです。
2-2. 上腕三頭筋
「上腕三頭筋」は、肩から肘の間に位置し、ちょうど力こぶの反対側にある筋肉です。「長頭」「外側頭」「内側頭」と呼ばれる三つの「頭」で構成されているため三頭筋と呼ばれます。主に肘を伸ばすときに機能する筋肉です。
ベンチプレスでは、バーベルを押し上げるときに上腕三頭筋にも負荷がかかりますが、グリップ幅を変えることにより、さらに上腕三頭筋を狙って鍛えることができます。
2-3. 三角筋
「三角筋」は肩の筋肉で、前部・中部・後部の三つに分けられます。肩を前に動かすときには前部が働き、後ろに動かすときには後部が働きます。肩を外側に開くときには中部が働きます。
ベンチプレスではトレーニングベンチの角度を変えることにより、三角筋の前部を効果的に鍛えることができます。
3. ベンチプレスの基本フォーム
それでは、ベンチプレスの基本フォームについて解説していきます。正しいフォームを身につけてトレーニングを効果的に行っていきましょう。
3-1. ブリッジを作る
ブリッジとは、肩甲骨からお尻でブリッジのような形を作ることです。バーベルを上げ下げする時に、ブリッジがしっかりできていないと腕がぶれてしまい大胸筋に負荷が効きにくくなります。また、肩や背中を傷める可能性もあります。
ブリッジの作り方は、トレーニングベンチに仰向けになったら、肩甲骨を寄せて肩を下げて固定します。そして足をしっかりと踏ん張ります。ブリッジを作ることにより、腕がぶれず垂直にバーベルを押し上げることができます。
3-2. バーを持つ位置に注意する
始めのうちは、バーは肩幅よりもやや広めのところで握るようにしましょう。あまり広げすぎると肩を痛めてしまいますので、肩幅よりやや広めで構えてみて、実際にやりながらポジションを探してみましょう。
ベンチプレスにはバーの位置を狭めて行う方法もありますが、慣れないうちは、うまくバーベルを扱えず、怪我をする可能性も出てきます。はじめのうちは、肩幅よりもやや広めのところを握ってやってみて下さい。
3-3. バーの握り方
バーの握り方としては、親指を握りこむ(サムアラウンドグリップ)と親指をかけない(サムレスグリップ)の二通りがあります。親指を握りこむ方は普通の握り方で、親指をかけない方は親指を使わない握り方です。
握り方により手首と肘の位置が変わるので、大胸筋への刺激の加わり方も変わります。やりやすい方で行っても大丈夫ですが、慣れないうちは、親指を握りこむ方が、バーベルが落ちる心配もないので良いでしょう。
3-4. バーベルの動かし方
バーベルは最初に肩の上に構え、胸に向けて垂直に下ろしていきます。バーベルが軽く胸に触れたら、大胸筋のストレッチを感じて今度はバーベルを上げます。
バーベルを完全に上げてしまうと肩甲骨が広がりブリッジが崩れてしまうので、肩甲骨が動かないところまで上げるようにしてみましょう。
4. ベンチプレスを効果的に行うポイント
ここでは、ベンチプレスを効果的に行うポイントをご紹介します。ベンチプレスをする時には、以下のポイントに気を付けてみて下さい。
4-1. ラックの高さを合わせる
バーベルをラックから降ろすときにバーベルの位置が低すぎると、肩甲骨の位置ずれてしまいブリッジが安定しません。この状態では効果的にトレーニングができません。
バーベルを置くクラックの位置は、できるだけ肘が伸びた状態で降ろせる高さに設定しておき、ブリッジが崩れないように注しましょう。
4-2. ウォーミングアップ
高重量が扱えるベンチプレスを効果的にするためには、ウォーミングアップをして筋肉と関節をしっかりと温めてストレッチしておくことが大事です。また、ウォーミングアップをしながらフォームのチェックもできますので、正しいフォームでトレーニングをすることができます。
最初は重りを付けずにバーだけを使ってみて、体をほぐしながらフォームをチェックしてみて下さい。
4-3. 反動は使わずに上げる
ベンチプレスに限らずにどの筋トレでも反動を使って行うとあまり効果のないトレーニングになります。また、体の他の部分に負担がかかり怪我をしてしまう可能性も出てきます。
ベンチプレスでは、バーベルを胸の上でバウンドさせて上げてしまうことがあるので気を付けましょう。
4-4. 筋肉痛がある日は休息する
筋肉痛がある時は、体が筋トレによってダメージを受けた筋肉を修復しています。筋肉が修復されるときに筋肉は以前よりも強く大きいものになっていきます。
筋トレで筋肉が大きくなるのは、この様にトレーニングで筋肉にダメージを与えてその後に修復させているからです。なので、筋肉痛がある状態で筋トレを続けるとなかなか筋肉が修復できず、結果的に筋肉は細くなってしまいます。
筋肉をつけてカッコいい体をつくるためにも、筋肉痛がある日はしっかりと休息を取るようにしましょう。
5. ベンチプレスのメニュー
ここでは、基本的なベンチプレスのやり方から、いろんなバリエーションも紹介していきます。トレーニングの手順から注意点までをしっかりと身につけて、効果的にトレーニングを行っていきましょう。
5-1. ノーマルベンチプレス
ノーマルベンチプレスは、基本的なベンチプレスです。まずはこれをしっかりとマスターして、ベンチプレスに慣れていきましょう。
ノーマルベンチプレスのやり方
- トレーニングベンチに仰向けに寝ます。
- ラックに置いてあるバーベルが顎あたりに来るように体の位置をセットします。
- 肩甲骨を寄せ、肩を下げて固定します。足もしっかりと床につけておきます。
- 肩幅よりやや広めにバーベルを握ります。
- 肩甲骨を寄せたまま、バーベルをラックから外し肩の上に構えます。
- ゆっくりとバーベルが軽く胸に触れるところまで下ろします。
- バーベルを上げ、もとの位置に戻します。
- 6と7を8回繰り返す。
- 8を1セットとして、2~3セット行う。
ノーマルベンチプレスの注意点は
- 肩甲骨をしっかりと寄せておく。
- 大胸筋のストレッチと収縮を意識する。
- フォームが崩れる重量はつかわない。
5-2. ワイドグリップベンチプレス
ワイドグリップベンチプレスは、大胸筋の外側に効果のあるトレーニング方法です。手幅を広げることで、バーベルを下ろせる範囲が浅くなります。無理をして下ろすと肩に負担がかかるので、軽めの重量で無理のない位置までさげて行いましょう。
ワイドグリップベンチプレスのやり方
- トレーニングベンチに仰向けに寝ます。
- ラックに置いてあるバーベルが顎あたりに来るように体の位置をセットします。
- 肩甲骨を寄せ、肩を下げて固定します。足もしっかりと床につけておきます。
- 肩幅よりもこぶし3~4個分外側に広げバーベルを握ります。
- 肩甲骨を寄せたまま、バーベルをラックから外し肩の上に構えます。
- ゆっくりとバーベルを無理なく下ろせるところまで下ろします。
- バーベルを上げ、もとの位置に戻します。
- 6)と7)を8回繰り返す。
- 8)を1セットとして、2~3セット行う。
ワイドグリップベンチプレスの注意点は
- バーベルは無理をして下ろさないようにする。
- 大胸筋のストレッチと収縮を意識する。
- ノーマルベンチプレスより軽めの重量を使う。
5-3. ナローグリップベンチプレス
ナローグリップベンチプレスは、大胸筋の内側と上腕三頭筋に効果のあるトレーニング方法です。ノーマルベンチプレスよりも手幅を狭めることによりフォームが安定しなくなるので、始めは軽めの重量を使用しましょう。
ナローグリップベンチプレスのやり方
- トレーニングベンチに仰向けに寝ます。
- ラックに置いてあるバーベルが顎あたりに来るように体の位置をセットします。
- 肩甲骨を寄せ、肩を下げて固定します。足もしっかりと床につけておきます。
- 肩幅よりもこぶし1個分内側のところでバーベルを握ります。
- 肩甲骨を寄せたまま、バーベルをラックから外し肩の上に構えます。
- ゆっくりとバーベルが胸に軽く触れる位置まで下げます。
- バーベルを上げ、もとの位置に戻します。
- 6と7を8回繰り返す。
- 8を1セットとして、2~3セット行う。
ナローグリップベンチプレスの注意点は
- 脇をしめてバーベルを下ろす。
- 手首は反らないようにする。肘も外側に開かないようにする。
- ノーマルベンチプレスより軽めの重量を使う。
5-4. インクラインベンチプレス
インクラインベンチプレスは、トレーニングベンチの背もたれを斜めにセットして行います。角度をつけることにより大胸筋の上部と三角筋の前部に効果があります。
ノーマルベンチプレスよりも力を入れにくいので、フォームに慣れるまでは軽めの重量を使うようにしましょう。
インクラインベンチプレスのやり方
- トレーニングベンチを40~45度の角度にセットします。
- 足を腰幅ぐらいに開きトレーニングベンチに座ります。
- 肩甲骨を寄せ、肩を下げて固定します。足もしっかりと床につけておきます。
- 肩幅よりやや広めにバーベルを握ります。
- 5)肩甲骨を寄せたまま、バーベルをラックから外し胸の上に構えます。
- ゆっくりとバーベルを鎖骨の近くまで下ろします。
- バーベルを上げ、もとの位置に戻します。
- 6と7を8回繰り返す。
- 8を1セットとして、2~3セット行う。
インクラインベンチプレスの注意点は
- バーベルは鎖骨や大胸筋の上部を目指し下ろす。
- バーベルは上腕が床と水平になるぐらいまで下ろす。それ以上は下ろさない。
- フォームが崩れる重量はつかわない。
5-5. デクラインベンチプレス
デクラインベンチプレスは、インクラインベンチプレスと反対の状態で行うトレーニングです。デクラインベンチを使い、足側を高くして行います。
大胸筋の下部に効果のあるトレーニングなので、大胸筋に厚みを作ることができます。
デクラインベンチプレスのやり方
- デクラインベンチを10~20度の角度にセットします。
- デクラインベンチに仰向けになり、足はパットにかけて固定します。
- 肩甲骨を寄せ、肩を下げて固定します。
- 肩幅よりやや広めにバーベルを握ります。
- 肩甲骨を寄せたまま、バーベルをラックから外し胸の上に構えます。
- ゆっくりとバーベルを胸近くまで下ろします。
- バーベルを上げ、もとの位置に戻します。
- 6)と7)を8回繰り返す。
- 8)を1セットとして、2~3セット行う。
デクラインベンチプレスの注意点は
- 顔を上げない。
- バーベルは上腕が床と水平になるぐらいまで下ろす。それ以上は下ろさない。
- フォームが崩れる重量はつかわない。
6. スミスマシンを使ってみよう!
「スミスマシン」は、スポーツジムに行ったことのある人なら見たことのある器具かもしれません。バーベルを取り扱っているジムなら1台ぐらいは置いてあるのではないでしょうか。
普段から筋トレを親しんでいる人なら使ったこともあるかもしれませんが、筋トレ初心者の人からすると、使うのが難しそうなイメージがあるでしょう。
今回ご紹介したベンチプレスを行う時には、このスミスマシンが大変便利ですので、少しご紹介致します。
6-1. スミスマシンの使い方
スミスマシンの使い方は非常に簡単です。トレーニングベンチ寝そべり、バーベルについているフックをラックから外せば、あとのやり方はこれまでに説明したとおりで大丈夫です。
注意点としては、ベンチをバーベルの中心にセットすることです。ベンチが左右のどちらかにずれていると、バランスの悪いフォームになるので、最初にベンチの位置を確認してからトレーニングをしましょう。
6-2. スミスマシンなら安全
スミスマシンが安全な理由は、バーが両サイドにあるシャフトに固定されているため、ベンチプレスを行う時にバーベルがぐらつくことがありません。シャフトに沿ってバーベルが動くので、正しいフォームを身につけることもできます。
また、通常のベンチプレスの場合は、最後にバーベルを持ち上げてラックに戻さないといけませんが、スミスマシンでは元の位置まで戻す必要はありません。
スミスマシンには、バーの両端にフックがついおり、このフックを引っ掛けるだけで、バーを固定する事ができます。
色んな高さのところにフックを引っ掛けられるので、もしベンチプレスでバーベルをしっかりと元の位置に上げきれなくても、バーベルの近くに固定することができます。
6-3. インクライン・デクラインベンチプレスにおすすめ
インクラインベンチプレスやデクラインベンチプレスなどは、ベンチプレスに慣れていないと、バーベルの動かし方が安定しなかったり、フォームも崩れやすくなったりします。また、間違ったフォームでトレーニングをすると怪我をしてしまう可能性もあります。
しかし、スミスマシンなら、バーベルの動きが決まっているのでフォームが崩れる事がなく安全にトレーニングを続けることができます。
6-4. ほとんどのウエイトトレーニングが可能
また、スミスマシンの最大のメリットは、ベンチプレスの他にもスクワット、ベントオーバーロウ、ショルダープレス、シュラッグなどのほとんどのウエイトトレーニングを行うことができます。
筋トレ初心者には使いにくそうにみえるスミスマシンですが、フォームが安定し、安全に行えるので、筋トレ初心者こそ積極的に使ってみて下さい。
7. ベンチプレスに必要なアイテム
ベンチプレスに慣れてきて重い重量を扱うようになってきたら、以下のアイテムを揃えることをおすすめします。これらのアイテムを使うとより効果的で安全にトレーニングが行えます。
- グローブ
- リストラップ
- シューズ
グローブを着用すると、バーベルが滑りにくくなり、グリップ力も上がるのでより重い重量にも挑戦できるようになります。
また、ベンチプレスは手首に負担がかかりやすいトレーニングです。リストラップを使うことにより手首が強く固定されるので、トレーニング中に手首を痛めることを防げます。
シューズも高重量を扱うようになると重要になってきます。重いバーベルを持ち上げるときには足の踏ん張りも必要になってきますので、グリップが効いて滑りにくい靴をしようするようにしましょう。
8. ベンチプレスをマスターしてマッチョな上半身を手に入れよう!
今回は、ベンチプレスについて解説しました。ベンチプレスを正しく行えば、胸や腕にしっかりと筋肉がついていきます。ここでご紹介したトレーニング方法や注意点を身につけて、マッチョな上半身を手に入れてみて下さい。
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