1. 腸腰筋とは
腸腰筋は、背骨の腰の辺りから出ている筋肉の「大腰筋」と、骨盤の内側から出ている筋肉の「腸骨筋」が組み合わさった筋肉です。
大腰筋は、上半身と下半身を結合させるのに必要な、姿勢を正すためになくてはならない筋肉。腸骨筋は、足を胸に引き寄せたり膝を外に向けるなど、股関節の動きを担っている重要な筋肉です。
腸腰筋は、生活や運動に重要となるこの2つの筋肉から構成された、腰のあたりに位置しているインナーマッスルです。
1-1. 腸腰筋の役割
腸腰筋は、収縮するときに力を発揮し、骨盤や股関節、腰背部の骨を動かします。歩いたり走るなど、基本的な生活の動作に作用している筋肉です。
腸腰筋は、体の内部の軸となる部分についているため、目で確認することはできません。しかし、体幹を安定させる役割がある、とても重要な筋肉です。体幹トレーニングとして、アスリートが積極的に鍛えている筋肉でもあります。
体幹が安定していなければ、走ったり歩いたり、足を踏ん張ることが難しくなります。体幹の安定というのは、背骨を固定すること。腸腰筋が衰えていたら背骨の固定ができないため、日常生活で何もできなくなるかもしれません。
腸腰筋は、骨盤の内側に位置していることから、下腹部の血流とも大きく関係しています。腸腰筋が衰えていると血行が悪くなり、便秘やむくみなどに影響します。内臓が下がってしまい、お腹がポッコリと出てしまうこともあるでしょう。
腸腰筋を鍛えるメリットは、運動機能の向上だけではありません。姿勢改善やダイエット、健康のためにも、腸腰筋を鍛えて体幹を安定させることが大切です。
2. 腸腰筋の筋トレ法(自宅編)
自宅でできる腸腰筋の筋トレは、道具が必要ないため、すぐにでも始めることができます。筋トレは、正しいフォームで行わないと効果が得られません。フォームを確認するために、鏡の前で行うのもおすすめの方法です。
自宅で簡単にできる、腸腰筋の筋トレをご紹介します。
2-1. レッグレイズ
腸腰筋の働きを最大限に利用できる、効果的なトレーニングです。
- 両脚を伸ばして仰向けに寝る
- 両脚を伸ばしたまま、90度以上まで上げる
- 2秒間キープして、息を吐きながらゆっくりと床へおろす
この動作を繰り返し15回で1セット、3セットを目安に、徐々にセット数を増やしていきましょう。脚を持ち上げる時は反動をつけず、ゆっくりと行ってください。腰への負担が心配な場合は、お尻の下に手を入れると負担が軽減されます。
2-2. ニーレイズ
ニーレイズは腹筋が弱い人や筋トレ初心者にもおすすめ。負担を抑えながら腸腰筋が鍛えられます。
- 手は体の横につけて、両脚を伸ばして仰向けに寝る
- 膝を90度に曲げてお尻が浮くくらいまで脚を持ち上げる
- 2秒間キープして、その後ゆっくりと下ろす
この動作を繰り返し15回で1セット、3セットを目安に、徐々にセット数を増やしていきましょう。脚を持ち上げた時に、おへそを覗き込むようにするのがポイントです。反動をつけずにゆっくりと脚を持ち上げてください。
2-3. バイシクルクランチ
腹斜筋や腹直筋も鍛えられ、くびれを作る効果もあります。
- 両脚を伸ばして仰向けに寝る
- 手は頭の後ろに添え、膝を90度に曲げて軽く持ち上げる
- 左のひざを胸に引き寄せて、脇腹をひねって右ひじと左ひざを近づける
- 元に戻し、右ひざを胸に引き寄せながら、脇腹をひねって左ひじと右ひざを近づける
この動作を繰り返し15回で1セット、3セットを目安に、慣れてきたらセット数を増やしていきましょう。伸ばしたひざは床にはつけないこと、脇腹を意識してしっかりとひねることがポイントです。
2-4. Vシットキープ
腸腰筋へ負荷がかかる、難易度を高めたトレーニングです。
- バンザイをした状態で仰向けに寝る
- 上体と両脚を起こして、V字を作る
- 両腕と両脚が平行になる姿勢で、15秒程度姿勢を保つ
- ゆっくりと元の状態に戻す
この動作を繰り返し20回で1セット、3セットを上限に徐々に増やしましょう。腰に違和感を感じた場合や腰痛がある人は、トレーニングを行わないでください。フォームが崩れないように、バランスを保つのがポイントです。
3. 腸腰筋の筋トレ法(ジム編)
ジムでの筋トレは、バーベルなどのトレーニング器具を使うことができます。トレーナーからのアドバイスももらえるため、トレーニングの効率が上がるというメリットもあります。
効果的に腸腰筋の筋トレができる、ジムで行える方法をご紹介します。
3-1. バーベルスクワット
バーベルの負荷をプラスした、腸腰筋と大腿四頭筋を鍛えられるトレーニングです。
- 肩幅程度に脚を開いて、背中を丸めないで立つ
- バーベルを握って持ち上げ、首の付け根に安定させる
- 太ももが地面と平行になるくらいまで下げ、2秒間キープする
- 素早く元の状態に戻す
この動作を繰り返し10回で1セット、負荷が高いのでゆっくりと行いましょう。腹筋を意識して顔は前を向く。そして、ひざがつま先より前に出ないように気をつけてください。
3-2. ダンベルレッグランジ
ダンベルを使った、脚と腸腰筋が同時に鍛えられるトレーニングです。
- ダンベルを持ち、肩幅より少し狭いくらいに脚を開く
- 息を吸いながら片足を一歩前に踏み出して、太ももと地面が平行になるくらいまで腰を下ろす
- 息を吐きながらゆっくりと元に戻す
この動作を左右繰り返し10回で1セット、3セットを上限に行います。背中が丸くなっていると背中を痛めてしまうため、背筋を伸ばして行なってください。大股で脚を踏み出すことで負荷がかかり、さらに腸腰筋が鍛えられます。
4. 腸腰筋を柔らかくするストレッチ
腸腰筋を鍛えたいからといって、筋トレばかりに夢中になっていては、筋肉は肥大してくれません。筋トレで筋肉を収縮させた後には、伸ばしたり休ませる必要があります。ケガを防ぐためにも、腸腰筋の柔軟性を高めるストレッチをすることも大切です。
腸腰筋を柔らかくする効果はもちろん、筋トレの疲労を軽減する効果もあるストレッチを、日常的に取り入れましょう。
4-1. 膝を抱えるストレッチ
脚がだるい時や股関節の動きが鈍い時におすすめの、腸腰筋をほぐしながら太ももの裏側にも効くストレッチです。
- 手脚を伸ばして仰向けに寝る
- 片方のひざを曲げて、ひざを両手で抱える
- ひざを胸に近づけて、呼吸をしながら10秒間キープする
- 元の状態に戻す
この動作を左右繰り返し5回を目安に行います。ゆっくりと腸腰筋を伸ばすことを意識しながら行うのがポイントです。
4-2. 骨盤周りのストレッチ
筋トレの際に力が入りがちなお尻を、柔らかくする効果もあるストレッチです。
- あぐらをかいた状態で座る
- 左ひざを両腕で抱え、引き上げるイメージで右肩に近づけ、30秒間キープする
- ゆっくりと元に戻す
この動作を左右交互に5回を目安に行います。自然な呼吸をしながら、無理のない範囲で行ってください。お尻の筋肉が伸びていることを意識しましょう。
4-3. ランジストレッチ
太ももの筋肉をほぐす効果もあるストレッチです。
- 軽く脚を開いて立つ
- 背中を丸めずに、片足を大きく前に出す
- 腰をゆっくりと落として反対足のひざを曲げる
- 限界まで落としたら20秒間キープする
- ゆっくりと元に戻す
この動作を左右繰り返し5回を目安に行います。体の軸を意識して、背中を伸ばして行うのがポイントです。
5. まとめ
腸腰筋は、上半身と下半身を繋ぐとても重要な筋肉。しっかり鍛えていれば体幹が安定するため、内側から強い身体に変わることができます。
体の外側からは見えないインナーマッスルの腸腰筋は、普段の生活では意識することがないでしょう。しかし、腸腰筋を鍛えていなければ、正しく体が支えられず、姿勢やダイエット、健康面に悪影響が出てしまう可能性があります。
腸腰筋は、器具を使用しない自宅トレーニングでも、鍛えることができます。腸腰筋を柔らかくするストレッチと筋トレで、美しく引き締まった健康的な身体を手に入れましょう。
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