ハムストリングスのストレッチで太もも裏を効果的に柔軟しよう

ジョギングなどをしていたら痛みやすいのが、ハムストリングです。ハムストリングは太ももの裏側にある筋肉ですが、疲労がたまりやすいことでも有名ですので日常的にしっかり伸ばしていく必要があります。

ここではハムストリングについての詳しい説明と、ストレッチをするメリット、正しいストレッチ方法などを紹介していきます。

しなやかで強靭な太ももを作るため、重点的にストレッチをしていきましょう。

1. ハムストリングはどこの筋肉?

ハムストリングは太ももの裏側にあり、「大腿二頭筋」「半腱様筋」「半膜様筋」を合わせた呼び方です。カタカナの名前は、豚肉でハムを作るときの過程に由来しています。

  • 大腿二頭筋・・・膝関節と股関節の伸展に関与
  • 半腱様筋・・・膝関節を屈曲させる
  • 半膜様筋・・・働きは半腱様筋とほぼ同じ

走る人のハムストリングはよく発達していることから、ランナー筋とも呼ばれています。ここを鍛えれば太ももがほっそりするため、ダイエット目的の女性もよく鍛える筋肉です。

2. ハムストリングをほぐすメリット4選

ストレッチをすれば筋肉をほぐして血行を良くできますが、その他にもハムストリングのストレッチに特有のメリットがあります。

紹介するのは、次の4つのメリットです。

  • 疲労回復が早まる
  • 基礎代謝がアップする
  • 姿勢が良くなる
  • パフォーマンスがアップする

筋トレと違ってストレッチは痛みや厳しさは多くありませんが、メリットを頭に入れておけばきっとモチベーションがアップするはずです。

2-1. 疲労回復が早まる

ハムストリングは大きな筋肉です。そのため血液循環などの体の活動に大きな影響があります。

ハムストリングをしっかりとストレッチすれば、筋肉がほぐされ柔らかくなって、疲労物質の排出がスムーズになります。酸素が行きわたり、足に疲労がたまりにくくなっていくでしょう。

特別な筋トレやスポーツをしたあとでなくとも、まめにストレッチをすれば日々足が感じている疲労からの回復が早くなるのです。

2-2. 基礎代謝がアップする

大きな筋肉は、必要とするエネルギーも大きいです。ストレッチをして柔らかくしておけば可動域が増えますので、血行が良くなって基礎代謝がアップします。

とは言え、筋トレに比べると基礎代謝のアップ幅は小さいです。ストレッチとともに筋トレも行えば、より効果的に基礎代謝を上げられます。

痩せやすい体を作りたいと思っている方は、ぜひハムストリングの筋トレにもトライしてください。

2-3. 姿勢が良くなる

ハムストリングは太ももの裏にあり、骨盤とつながっています。ここを柔らかく保てれば骨盤を正しい位置に戻せるため、姿勢が改善されます。

姿勢が正されればぽっこりと出た下腹も引っ込みますので、すらっとした奇麗な体形へと変わっていきます。

ただし、痛みを我慢してまで筋肉を伸ばすことはやめましょう。ケガをしてしまえば姿勢改善にも時間がかかりますので、じっくりと継続して取り組んでください。

2-4. パフォーマンスがアップする

ハムストリングをストレッチすれば、可動域が広くなるため体の動き全般がスムーズになります。そうなれば、歩く・走る・座るといった動作にこわばりがなくなりますので、日常生活やスポーツでのパフォーマンスがアップします。

特に運動不足という自覚がある方は、意識してストレッチに取り組んでください。ちょっとした凹凸でつまずいたりするなど、日常生活での危険なことが減っていきます。

3. 自宅でするのがおすすめ!ハムストリングストレッチメニュー

ストレッチはリラックスしながら行うと効果的です。そのため、自宅で手軽にできるハムストリングのストレッチメニューを紹介していきましょう。

  • 短時間ストレッチ
  • 片脚前屈ストレッチ
  • 前後開脚ストレッチ
  • 寝ながらストレッチベーシック編
  • 寝ながらストレッチ応用編

できるものから取り組んでください。道具を使わないストレッチメニューばかりですので、思い立ったときにどうぞ。

3-1. 短時間ストレッチ

今日は本当に多忙で時間が取れない、というときにでもできる短時間ストレッチです。特に前屈が苦手、という方におすすめです。

  1. まずは1度、前屈がどのくらいできるか試してみる
  2. 右足を少し前へ出し、かかとを少し浮かせてつま先は立てて天井へ向ける
  3. そのままの状態でかかとで地面を10回たたく
  4. 同じく2の状態でつま先で地面を10回たたく
  5. 左足も同様に2から4を行う
  6. 両足でまっすぐに立ち、前傾しながら両太もも裏を両手でさする
  7. 左右交互を1回として、3セット行う
  8. また前屈をしてみる

前屈が苦手な方がこれをすれば、最初に前屈をしたときに比べて体が柔らかくなっていることに気付くでしょう。かかととつま先を上げて床に打ち付けるという動作なので簡単で、すぐに終われます。

出勤前など、時間がないときにでも試してみてください。注意点としては、かかとやつま先を床につけるとき、膝を曲げないようにすることです。

3-2. 片脚前屈ストレッチ

足のストレッチでは最も有名といえるのが、前屈でしょう。ここではその片脚バージョンを紹介します。

  1. 床の上に足をそろえて前に出し、座る
  2. 左足は膝で折って、あぐらをかくようにかかとを股へ寄せる
  3. 背筋をまっすぐにし、両手を右足先へ伸ばして前傾する
  4. できれば両手で右足先をつかんで体へと引き寄せる
  5. 左側も同様にする
  6. 左右交互を1回として、5セット行う

上体を前傾させるときには、背中に1本の棒がささっているようなイメージでまっすぐにしましょう。呼吸は止めないようにしてゆっくりと体を伸ばしていきます。

痛みが強い場合には、無理をしないようにしてください。継続していけばどんどん柔らかくなっていきます。

3-3. 前後開脚ストレッチ

足を前後に開いた状態で前屈するストレッチです。お風呂上りなど、体が温められて柔らかくなっているときにおすすめです。

  1. 両足は肩幅に開いて立つ
  2. 右足を前に出し、左右の足が一直線上にあるようにする
  3. 膝が曲がらないようにしながら、上体を前に出した右足へ倒していく
  4. 前へ倒しながら、両手は右足のすねを持つか、できれば床につける
  5. そのままで15秒間キープ
  6. 状態から力をぬき、おへそをのぞき込むようにして体をゆっくりと起こしていく
  7. 左足でも同様にする
  8. 左右1回ずつを1セットとし、5セット繰り返す

上半身を折って前へかがんでいくときには、骨盤で体を折るイメージでやってください。前傾をするのが痛みなどで難しい方は、無理をする必要はありません。背筋と膝を伸ばすことを守り、できる範囲でストレッチをしましょう。

3-4. 寝ながらストレッチベーシック編

寝ころびながらできるストレッチです。朝目覚めたときに、体を起こすためにやるのもおすすめです。

  1. ベッドやマットの上に仰向けに寝転ぶ
  2. 折った右膝を胸へ近づけるイメージで、両手で太ももを持ってゆっくりと引き寄せる
  3. 痛みがない程度で30秒キープ
  4. 両手をはなし、ゆっくりと右足を伸ばして戻す
  5. 足も同様にする
  6. 左右交互に1回ずつを1セットとし、5回繰り返す

片方の足を持ち上げて引き寄せる際、もう片方の足が床から浮き上がらないようにします。お尻がしっかりと床についていることを確認しながら行いましょう。

3-5. 寝ながらストレッチ応用編

寝ながらストレッチのベーシック編をしたら、応用編もトライしてみてください。

  1. ベッドかマットの上に手足を伸ばして仰向けに寝転ぶ
  2. 膝を伸ばし、足先で天井を押すように左足をあげる
  3. 太ももの裏を両手で抱え、息を吐きながらゆっくりと胸へ脚を引き寄せる
  4. できる人は片手でつま先をつかみ、反対の手で膝をのばすように軽く抑える
  5. そのままの状態で10秒キープする
  6. 両手を離し、ゆっくりと脚をおろして元の姿勢へ戻る
  7. 右足も同様にする
  8. 左右交互に1回ずつを1セットとし、5セット繰り返す。

余裕がでてきたら、キープする時間を20秒、30秒と長くしていきましょう。脚を伸ばしたままで胸へと引き寄せるときには、呼吸を吐いて体をリラックスさせます。

4. 道具を使ったハムストリングストレッチ

では、続いて道具を使ったハムストリングのストレッチメニューを紹介していきます。椅子やベンチのメニューは、会社や出先などでも思い立ったらストレッチが可能です。

使う道具は、ベンチ、椅子、ストレッチポールです。

4-1.ベンチを使ったストレッチ

ベンチを使って前屈をしていきましょう。片方の足は床におろしたままでいられるため、体の硬い方は床の上でする前屈に比べて多少やりやすいはずです。

  1. ベンチに座り、右足をベンチの上で伸ばす
  2. 左足は床におろして力を抜く
  3. 背筋はまっすぐに伸ばし、両腕は体に沿って自然に横に垂らす
  4. 背筋を伸ばしたままで、ゆっくりと骨盤から上体を折って倒していく
  5. 背筋を伸ばした状態を保てるところまで前屈したら、10秒キープ
  6. ゆっくりと上体を起こし、元の体勢に戻る
  7. 伸ばす脚を入れ替えて同様にする
  8. 左右交互に1回ずつを1セットとし、5セット繰り返す

天井から頭を糸で引っ張られるようなイメージで、背筋を伸ばしましょう。太ももの裏が伸びていることを意識しながら行います。

4-2. 椅子を使ったストレッチ①

椅子に座った状態で太ももの裏を伸ばすストレッチその1です。

  1. 椅子に浅く腰掛け、背筋をまっすぐに伸ばす
  2. 左足を前へ伸ばし、左足のつま先を天井へむけて立てる
  3. 背筋を伸ばしたままでゆっくりと上体を前傾させる
  4. できれば両手で左の足先をつかむ
  5. できる範囲で前屈をし、20秒キープ
  6. 力を抜き、ゆっくりと上体を起こして元の体勢に戻る
  7. 右足も同様にする
  8. 左右交互に1回ずつを1セットとし、5セット繰り返す

前屈するときには、伸ばした足の先は天井に向かって立てておくのを忘れないようにしましょう。

4-3. 椅子を使ったストレッチ②

椅子を使って太ももの裏を伸ばすストレッチその2です。このストレッチでは座るのではなく、ベンチのように椅子を使います。

  1. 椅子を用意し、1mほど距離を置いて立つ
  2. 右足を出してかかとを椅子に載せる
  3. 背中はまっすぐのまま上半身を軽く前傾させ、右足に体重をかけるようにゆっくりと体を落としていく
  4. 伸ばした左足太ももの裏に痛みがでない程度まで体を下げ、20秒間キープ
  5. 右足を戻し、元の姿勢に戻る
  6. 左足でも同様にする
  7. 左右それぞれ20秒ずつを2セット繰り返す

背中を曲げずにまっすぐにするのは、太ももの裏へ刺激を与えるためです。十分に筋肉が伸びていることを感じてください。

4-3. ストレッチポールを使ったもも裏ほぐし

ストレッチポールは円形の縦長のものです。ジムには用意されているところが多いですので、トレーニング前などに活用してストレッチをしてください。

  1. ストレッチポールを横向きに置き、ポールの後ろ側に座る
  2. 両手は肩よりも後ろについて、ポールに太ももの裏を当てるように両足を伸ばしてポールに乗せる
  3. 両手で体を支えながら、ポールの上で体を前後させて太ももの裏をほぐす
  4. 手をつく位置を変えてポールが当たる太ももの角度を調節する
  5. 角度を変えながら60秒を目安に、合計で5セット行う

肩に負担がかからないようにポールにしっかりと太ももを乗せます。両足を乗せるのはバランスが取れずに難しい方は、片脚ずつやっても構いません。

5. ついやってしまう?改善すべき習慣とは

知らず知らずのうちにやっている普段の習慣で、改善すべきことは多々あります。ここでは特にハムストリングに対する改善すべき習慣を紹介しましょう。

気をつけるべきは、次の2つです。

  • 椅子に浅く座る
  • 膝を曲げて歩く

5-1. 椅子に浅く座る

ハムストリングを硬くしてしまう習慣には、「椅子に浅く座っている」があります。無意識に浅く腰掛け、背中が曲がるため下腹が出てしまうのです。

そのような習慣があれば、どんどんハムストリングは衰えていき、腰椎に負担がかかります。

椅子には深く腰掛け、背筋をまっすぐに伸ばしましょう。

5-2. 膝を曲げて歩く

女性の方に多いのが、膝を曲げて歩くことです。特にヒールなどをはいている方はバランスをとるためか、膝を曲げてヒョコヒョコと歩く方が多いです。

膝を曲げたままで歩くと自然と骨盤が傾いてしまうため、余計に姿勢は崩れて猫背になってしまいます。

ヒールを履いたときにも膝はまっすぐに伸ばして、できるだけ大股で歩きましょう。それがつらい場合には、下半身の筋肉がしっかりとついていないか、筋肉がバランス悪くついているかです。

美しい立ち姿勢、ヒールを履いた足となるためにも、筋トレやストレッチをして膝をまっすぐにしていきましょう。

まとめ ハムストリングのストレッチで美姿勢に!

太ももの裏側にあるハムストリングは、鍛えにくく伸ばしにくい筋肉です。ですから意識的に使い、ストレッチをして柔らかくほぐす必要があります。

得られるメリットも多いので、就寝前はやるなど自分で決め、継続していってください。

その内に骨盤の位置が戻り姿勢も改善され、さまざまなパフォーマンスが向上していくでしょう。

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