1つずつの筋トレをコツコツとやっていくのも良いのだけれど、全身を効率よく鍛える筋トレメニューはないの?と悩む方もいるでしょう。
全身を効率よく鍛えるなら、「デッドリフト」がぴったりです。
日本語で「死の挙上」というおどろおどろしい名前がついたこの筋トレについて、ここでは順番に紹介していきます。
鍛えられる筋肉部位やメリット、種類とそれぞれのやり方など、順番にチェックしてこれからの筋トレの参考にしてください。
1. デッドリフトは筋トレビッグ3の1つ
デッドリフトはその名前の通り、すさまじい筋トレメニューとして有名です。ベンチプレスやスクワットと並んで筋トレビッグ3と言われているほど有名であり、全身を高負荷で鍛える最強トレーニングです。
その特性上、初心者でも自分の体重くらいの重量は扱えますが、心が折れるほどつらいと言われています。
トレーニングは覚悟して、継続していきましょう。
2. デッドリフトで鍛えられる筋肉とは?
ではまず、刺激を与える筋肉部位の紹介です。筋トレではどこに負荷がかかっているかを本人が意識することが大切ですので、どの筋トレメニューをするときでも負荷がかかる筋肉は理解しておきましょう。
デッドリフトではメインとする筋肉が3つ、サブとする筋肉が2つあります。
2-1. メインで刺激を与える筋肉部位3つ
デッドリフトでメインとなる筋肉部位3つは以下の通りです。
- ハムストリング
- 大臀筋
- 脊柱起立筋
ハムストリングは太ももの裏にある筋肉で、人間の体の中で3番目に体積が大きい部位です。膝を曲げるときに使われ、鍛えれば太ももを引き締め美脚になれます。
大臀筋(だいでんきん)はお尻の筋肉で、人間の体の中で2番目に体積が大きい部位です。太ももを動かしたり上体を起こしたりするときに使い、ここを鍛えれば基礎代謝が上がってヒップアップが可能です。
脊柱起立筋(きちゅうきりつきん)は腰の裏側にあります。働きは上体を反らすことで、ここを鍛えればウェストを引き締められます。体幹強化にも重要な筋肉です。
2-2. サブで刺激を与える筋肉部位2つ
メインほどではありませんが、刺激を与えられる筋肉部位は以下の2つです。
- 広背筋
- 僧帽筋
広背筋(こうはいきん)は背中の筋肉で、脇から腰あたりまでの部位です。肘を引く動きで使われ、ここを鍛えれば逆三角形の体形になれます。
僧帽筋(そうぼうきん)は背中から肩、首までの筋肉で、肘を引いたり肩をすくめたりするときに使われます。肩こりなどを解消したければ、この僧帽筋を伸ばしていきましょう。
3. デッドリフトのメリット5つ
簡単に言うと、デッドリフトは重いものを上げ下げするトレーニングです。動きは単純ですが、一連の動きの中で複数の筋肉に強い負荷を与えます。そこで得られるメリットは、代表的なものが以下の5つです。
- 複数の筋肉を同時に鍛えられる
- 全身のバランスが良くなる
- 握力が向上する
- 基礎代謝が大幅に増大する
- 腰痛の不安がなくなる
デッドリフトは「非常につらい」とアスリートたちがこぼすトレーニングです。メリットをしっかりと頭にたたき込み、トレーニングを途中で放棄してしまわないようにモチベーションを保っていきましょう。
3-1. 複数の筋肉を同時に鍛えられる
デッドリフトで刺激を送る主な筋肉は先程説明した太もも・お尻・背中の筋肉ですが、重いものを上げ下げする動きですので他の筋肉もしっかりと使います。
器具を支えるための前腕の筋肉、そして体を支えるためのおなかの筋肉や胸の筋肉です。
デッドリフトは全身にまたがる複数の筋肉を1つのトレーニングで同時に刺激可能ですので、非常に効率のよい筋トレメニューです。
忙しく、複数の筋トレメニューをしている時間は取れない、という方には便利なトレーニングでしょう。
3-2. 全身のバランスが良くなる
複数の筋肉を同時に使うため、集中的にターゲットの筋肉を鍛える他の筋トレメニューとは違い、重量にあわせて全身の筋肉がバランスよく大きくなります。
胸は大きいけれど腕は細いとか、太ももはすごいけれどふくらはぎはそうでもないといったような、いびつな体形にはなりません。
パッとみたところ全身のバランスがよく整って見える体を目指すには、デッドリフトがおすすめです。
3-3. 握力が向上する
デッドリフトでは重いものを持つため、前腕も鍛えられます。そこで向上するのが、握力です。
自分の体重の握力を持つ人は珍しいですが、デッドリフトで鍛えればそれも夢ではありません。握力を鍛えれば重量を増やすことができるため、他の筋トレの効率も上がりますので、できれば優先的に鍛えたいものです。
前腕筋が未熟である場合、トレーニングの最中にバーベルの重さに耐えきれなくなります。非常に危険ですので、前腕筋群がまだ弱いという自覚がある方は、軽めの負荷からトライしてください。
トレーニングを続ける内に前腕筋も大きくなり、自然と握力が高まってさらに重い負荷でも大丈夫になっていきます。
3-4. 基礎代謝が大幅に向上する
人間が基礎代謝を向上させようと思ったら、大きな筋肉を鍛えるのが近道です。デッドリフトは背中・太もも・お尻といった大きな筋肉を同時に鍛えるため、筋肉量が大幅に増えます。
筋肉量が増えると必要なエネルギーも大きくなり、食べても痩せやすい代謝の良い体になっていきます。炭水化物ダイエットなどはリバウンドの可能性も高いですが、筋トレをして筋肉量を増やしていけば、リバウンドのリスクも減らせます。
3-5. 腰痛の不安がなくなる
1度でもぎっくり腰を体験したことがある方は、どうしても腰に不安を抱えてしまいます。しかしぎっくり腰は筋力が弱まったことで起こりますから、しっかりと筋肉を鍛えればその不安はなくなります。
デッドリフトではぎっくり腰や腰痛の原因となる腰周辺の筋肉を鍛えられます。
ただし、間違ったフォームや無理な力の入り方をすれば症状が悪化してしまうでしょう。腰に不安がある方は、必ず最初はトレーナーについてもらってフォームを確認しながらやってください。
4. デッドリフトで使うべき「トレーニング器具」って?
デッドリフトはバーベルを上げ下げする動きのトレーニングです。強烈な負荷を全身にかけるためケガのリスクも高いですから、補助として利用したい筋トレ器具があります。
- トレーニングベルト
- リストストラップ
以上の器具を使い、ケガがないようにトレーニングをしていきましょう。
4-1. トレーニングベルト
おすすめなのは、トレーニングベルトです。デッドリフトは腰への負担が非常に高い筋トレメニューですので、自分の体重をオーバーする負荷を与えるときにはトレーニングベルトを使用してください。
ベルトをまけば腹圧が上がりますので、自然と力が入りやすくなります。ベルトは腰のカバーもしてくれるため、腰痛防止も果たしています。
デッドリフトはジムで行うトレーニングですので、ジムに置いてあるトレーニングベルトを使用しましょう。しかし自分用に持っていたいと考えるなら、最初は価格を抑えたマジックテープ式のもので十分です。
4-2. リストストラップ
リストストラップも非常に有効です。これをバーベルにまきつけて使えば握力を補助してくれるため、前腕に自信がない方でも重量を扱えます。
また握力への負担が減りますので、他に鍛えたい部位を限界まで追い込むことが可能です。
リストストラップは革やナイロン、コットンなどさまざまな種類があり、販売会社も多いです。全体的に価格は安く、3,000円も出せば気に入るものが購入できるでしょう。
どの種類を選んでも耐久性が高いので、1つ持っていれば何年も使えるはずです。
5. デッドリフトを行うタイミングや周期
あまりのつらさに心が折れる、とまで言われる筋トレメニューのデッドリフトですが、行うタイミングや周期はいつがベストでしょうか?
せっかく取り組むのですから効果があるタイミングや周囲を知り、効率的にトレーニングに励んでいってください。
5-1. デッドリフトに取り組むタイミングは?
デッドリフトは高負荷です。そのため、他の筋トレメニューをこなしたあとではなかなか取り組めません。
おすすめは、ジムにいってウォームアップを済ませた直後のタイミングです。このときは体もフレッシュで疲れがなく、ケガの心配もありませんので筋肉を遠慮なく追い込むことができます。
また、最初にやるトレーニングはフォームにも意識がいくため正しい動きとなり、無駄な力が入らないという点からもおすすめです。
5-2. デッドリフトを行う周期は?
筋トレを習慣化させている多くの方は、筋肉を休ませる重要さはご存じでしょう。では、全身を使うデッドリフトはどんな周期で行えばよいでしょうか?
おすすめは、休息日(1日中何の筋トレもしない日)を設け、その翌日にデッドリフトをします。さらにその翌日には背中・太もも・お尻の筋肉に刺激が強いものはやめるといったやり方です。
追い込んだ筋肉をしっかりと休ませることが、上手な肥大につながります。
デッドリフトには後で紹介しますが、さまざまな種類があり、それぞれがメインとする筋肉が違います。自分が行うメニューが刺激する筋肉部位はあらかじめ確認し、計画的に休養をとっていきましょう。
6. デッドリフトの基本動作・ヒップヒンジのやり方
デッドリフトの基本動作は、「ヒップヒンジ」といいます。まずはこの動きをきちんとできることが、デッドリフトに移行する条件ともいえる大切なものです。
ヒップヒンジはデッドリフトだけでなく、クリーンや他の筋トレにも共通する動きです。そのためここで先に、ヒップヒンジのやり方から紹介していきましょう。
- 足を肩幅に開いて立つ
- 両手は胸の前で合わせる
- 股関節を中心として、体重を後ろへとうつしながら膝を曲げておじぎのような格好になる
- 背筋はまっすぐに伸ばし、上半身が45度くらいに前傾しているところでキープ
- その後、ゆっくりと体を元へ戻す
背筋を思わず丸めてしまう方が多いですが、ケガのもとですのでまっすぐ伸ばしておきましょう。フォームが正しいかどうかは、スマートフォンや鏡を使って確認してください。万が一痛みを感じるのであれば、すぐに中止します。
デッドリフトでしゃがんでバーベルを持ち上げるときなどに、この姿勢になります。まずはヒップヒンジを完璧にできるようになってからデッドリフトへうつりましょう。
7. デッドリフトのやり方とその種類を紹介
では、デッドリフトのやり方とさまざまな種類を紹介していきます。
いずれも負荷が強いトレーニングですので、フォームを正してやるようにしましょう。種類は5つあります。
- ノーマルデッドリフト
- スモウデッドリフト
- パーシャルデッドリフト
- トップサイドデッドリフト
- ルーマニアンデッドリフト
それぞれのメニューで負荷が強くかかる筋肉部位が変化します。自分が望む効果を得られるように、いろんなバリエーションでやってみてください。
7-1. ノーマルデッドリフト
ベーシックなデッドリフトです。基本の動きであるヒップヒンジにバーベルを付ける形です。トレーニングを始める前には、おもりを付けていない状態でフォームを確認しつつ筋肉を慣らしてください。いきなりやると、特に初心者は危険です。
- 足を肩幅程度に広げ、バーベルの後ろに立つ
- 膝を曲げてバーベルを握り、背筋を伸ばす
- 息を吸ってから止め、立ち上がるようにバーベルを持ち上げる
- バーベルが膝を通過したあたりで上体も起こす
- まっすぐに立ったら、肩甲骨を内側へ寄せる
- 息をはきながら膝を曲げ、ゆっくりとバーベルを下ろしていく
- 3~6までを5回繰り返す
- インターバルで3分間休憩をとる
- 残り4セットを行う
背中は丸めてはいけません。必ずまっすぐに伸ばした状態で行いましょう。背筋をまっすぐすることを意識するあまりに腰を反らせてしまう方もいますが、腰痛の原因になりますので注意が必要です。
バーベルの重量は、力を出し切って5回上げ下げができる程度のものを選んでください。
7-2. スモウデッドリフト
日本の国技、相撲のしこの状態から名づけられたデッドリフトが「スモウデッドリフト」です。相撲取りのように足を大きく広げて行います、
太ももへの刺激はノーマルデッドリフトに比べて減りますが、ハムストリング以外へは負荷が高まり、より重い重量を上げられます。
- 足は肩幅よりも大きく広げ、肩幅よりも広めにバーベルを持つ
- 背中を一直線に保ち、息を大きく吸ってから止めてバーベルを持ち上げる
- バーベルが膝を通過する辺りで上体も起こしていく
- まっすぐに直立したら、肩甲骨を内側へ寄せる
- 息をはきつつ膝を曲げ、ゆっくりとバーベルを下ろしていく
- 2~5を5回繰り返す
- インターバルで3分間休憩を取る
- 残り4セットを行う
足幅を広げるため、しっかりと踏ん張ってください。少し重めのバーベルを選んでトライしましょう。目安としては、ノーマルデッドリフトよりも10kg程度重いものです。
7-3. パーシャルデッドリフト
太ももではなくより背中への刺激を強くしたい方は、「パーシャルデッドリフト」がおすすめです。ハーフデッドとも呼ばれている筋トレで、スタート位置が通常より高いため、背中を集中して鍛えられます。
やり方の違いは最初から膝を伸ばした状態で行う、という点のみです。ラックなどを使って膝の位置にバーベルをセットし、その状態から上げ下げしていきましょう。
回数もノーマルと同じく5回×5セットです。やはり背中はまっすぐに伸ばしておくことに注意してください。
7-4. トップサイドデッドリフト
もっと逆三角形の体形にしたいと望む方は、「トップサイドデッドリフト」が良いでしょう。胸を張って肩甲骨を寄せるため、肩から背中にかけて集中的に鍛えられます。
やり方の違いは、バーベルを上げたときに胸を張り、肩甲骨を限界まで寄せる点です。あとのやり方はノーマルデッドリフトと同じですので、バーベルを持ち上げて直立姿勢になったときに肩甲骨を寄せる、と覚えてください。
回数は5回×3セットです。負荷はノーマルバージョンより高くなりますので、セット数は少なくなっています。このトレーニングを行う場合は、ストレッチした後、そして全体のトレーニングの終盤で行ってください。
腕の力でバーベルを上げるのではなく、体全体で担ぎ上げるというイメージでやっていきましょう。
7-5. ルーマニアンデッドリフト
背中でもお尻でもなく、太ももを集中的に鍛えたければ「ルーマニアンデッドリフト」をおすすめします。ハムストリングをメインで鍛えられますが、やり方はノーマルタイプとは少し違いますから確認していきましょう。
- 足は腰幅程度、狭めに開いて立つ
- 肩幅より少し広めの間隔でバーベルを持つ
- 床からバーベルを持ち上げて太ももの中央くらいで止め、1度そのままキープする
- 背筋を伸ばして上体をゆっくりと起こす
- お尻を後ろへと突き出すようなイメージでバーベルを下ろしていく
- 3~5までを7回繰り返す
- インターバルで3分間休憩をとる
- 残り4セットを行う
太ももの中央あたりで1度バーベルを止めるこのトレーニングは、7回×5セットを目指します。フォームに慣れてきたら、少しずつ重量を上げていきましょう。
8. ダンベルを使ったデッドリフトのやり方
前腕筋もまだ弱く、どうしてもバーベルは厳しいという方は、ダンベルでもデッドリフトは可能です。ダンベルはバーベルよりも可動域が広いので、よりバランスよく筋肉を肥大させたい方もやってみましょう。
ダンベルを使ったデッドリフトのやり方です。
- 足は肩幅に開いて立つ
- 肩から力を抜いて落とし、胸を前に突き出して前傾姿勢になる
- 背中を丸めないでまっすぐにし、そのまま膝を曲げていく
- ダンベルを持ち、体から離さないようにして引き上げて胸を張る
- 背筋をまっすぐにしたままで膝を曲げ、ダンベルをゆっくりと下ろしていく
- 4~5を10回繰り返す
- インターバルで90秒休憩を取る
- 残り2セットを行う
バーベルでは腕が固定されますが、ダンベルでは可動域が広がります。そのため、ダンベルを体の真横や後ろ、前で合わせるようにして持ち上げないように注意してください。
ダンベルの正しい位置は、前傾状態で自然に手を下ろした位置です。スタートのときには自分から見て「ハ」の字の形になるように、ダンベルを置いておきましょう。
バーベルに比べてケガのリスクは低くなりますので、自信がない初心者や腰・膝に不安を持つ方は、ダンベルデッドリフトから始めるのがおすすめです。
まとめ:デッドリフトで強力な負荷を!全身をバランスよく鍛えよう
筋トレビッグ3と呼ばれる種目の1つが、デッドリフトです。バーベルを上げ下げするシンプルな動きですが、あまりにつらくて途中で諦めてしまうと言われるほどに刺激が強いトレーニングです。
その分筋肉の肥大には適していますし、しかも同時に複数の筋肉を使うため全身をバランスよく鍛えられます。
メインターゲットにしたい筋肉部位が違う場合などは、デッドリフトの別のバージョンを試してみてください。
男らしい逆三角形の、格好良い背中を手に入れましょう。
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