下半身を鍛えたいと考えるとき、真っ先に思い浮かべるのはスクワットである方が多いでしょう。しかしスクワットは自重トレーニングであるため、正しいフォームで行うのが案外難しいメニューです。
そこでおすすめなのが、マシンで簡単にトレーニングができるメニュー、「レッグプレス」です。
ここではレッグプレスの正しいやり方やメリット、注意点やコツなどについて、順番に紹介していきます。ジムにいくときにはレッグプレスを行い、下半身を強化していきましょう。
1. レッグプレスとは?
レッグプレスとは、レッグプレスマシンという専用の機械を使って行う下半身強化のトレーニングです。
負荷はおもり式や油圧式があり、それぞれに負荷のかかり方が違います。シートに座って行いますが、足を使っておもりを正面に押し出すタイプと、上方に押し上げるタイプがあります。
また、ジムによっては座席が後ろへスライドするタイプのものもありますので、初めて行うときにはトレーナーなどにしっかりと使い方を聞いてからにしましょう。
1-1. レッグプレスで鍛えられる場所は?
レッグプレスをして刺激を与える筋肉は、全部で4つあります。メインで刺激を送るのは「大腿四頭筋」「ハムストリング」「大臀筋」、そしてサブで刺激を送るのは「下腿三頭筋」です。
- 大腿四頭筋・・・太ももの前面にある4つの筋肉の総称で、非常に大きな筋肉。足を使って行うあらゆる動きに関係している
- ハムストリング・・・太ももの裏面にある3つの筋肉の総称。お尻を下から支える役割があり、歩行などに関係する
- 大臀筋・・・お尻の筋肉で、単体の筋肉では人体の中で最大。歩行や立ち上がるときなどに使われる
- 下腿三頭筋・・・ふくらはぎにある筋肉群で、足首の関節を伸ばしたり膝を曲げたりする動きに関係する
最も負荷がかかる筋肉は大腿四頭筋ですが、下半身をくまなく鍛えることができ、トレーニングをすることで数々のメリットがあります。
2. レッグプレスの代表的なメリット3つ
レッグプレスをすると得られる代表的なメリットは、以下の3つです。
- 基礎代謝の向上
- トレーニングの質の向上
- 下半身の引き締め
2-1. 基礎代謝の向上
人間が普通に生活を送るうえで、自然に消費されるエネルギー量のことを「基礎代謝」といいます。このうち40%程度が筋肉を動かすことやその回復などに使われているため、筋肉量を増やすと消費されるエネルギー量が上がります。
つまり、筋トレをして筋肉量をアップさせれば、自然と消費エネルギー量があがるために「痩せやすい体」となるのです。
筋肉量を上げるには大きな筋肉を鍛えることが早道。そのため、大きな筋肉が集中する下半身をレッグプレスで鍛えれば、基礎代謝が向上し痩せやすい体となります。
2-2. トレーニングの質の向上
ダンベルなどを使って上半身の筋肉を鍛えるときには、下半身の筋肉も必要です。下半身の筋肉が限界を迎えてしまえば、上半身をそれ以上鍛えることはできません。
そのため、下半身をまずは集中的に鍛えましょう。そうすれば必然的にトレーニングの質が向上して、筋トレによる効果も得られやすくなります。
また、下半身がしっかりとしていれば日常生活やスポーツでもパフォーマンスの向上がのぞめます。スポーツでの力をつけたい方も、レッグプレスマシンで筋トレをすることはおすすめです。
2-3. 下半身の引き締め
下半身についた脂肪は落としにくいため、ダイエットに励む方を悩ませます。しかし下半身を集中して鍛えると筋肉量が増し、脂肪燃焼度がアップします。
レッグプレスで刺激を与えれば大きな筋肉が刺激によって引き締まりますので、下半身をバランスよく整えていけます。
お尻をきゅっと上向きにしたいとか、形の悪い太ももを何とかしたいという女性にも良いでしょう。
3. レッグプレスの正しいやり方
レッグプレスはマシンを使うのでフォームは乱れにくいですが、自重よりも負荷を強くできるため、正しいフォームを心掛けないとケガをしてしまいます。
トレーナーについてもらう方法もありますが、まずは自分でもやり方を知っておいてください。
- お尻が浮かないようにベンチに深く座る
- 胸を張って、両手でグリップをしっかりと握り体を固定する
- 足の位置を調節する
- 膝を伸ばしながらプレートをゆっくりと足で押し上げる
- 限界まで押し上げたらそのままで3秒キープ
- ゆっくりと膝を曲げて元の体勢に戻る
- 4~6を20回繰り返す
- インターバルで30秒休憩する
- 残り2セットを行う
限界まで押し上げたらそのままでキープすることが、最重要ポイントです。足裏はしっかりとプレートにつけ、かかとで押すことで足全体に刺激を与えます。
最初の座り方が浅いと、トレーニングを開始したときに体が滑ってしまうことがあります。ベンチにはしっかりと深く腰掛けてください。
4. レッグプレストレーニングの効果を高めよう!ポイント4つ
では、レッグプレスの効果を最大限にするためのポイントを4つ紹介します。注意点でもありますので、しっかりと理解してケガがないようにトレーニングを行ってください。
- 膝は伸ばし切らない
- 背中をパッドから離さない
- つま先と膝の向きをそろえる
- お尻を浮かさない
4-1. 膝は伸ばし切らない
レッグプレスでプレートを足で押し上げる際には、膝は伸ばし切らないことが大切です。
膝を伸ばし切ると強い負荷が膝にかかり、痛める原因になります。本来は太ももやお尻などにいくはずの負荷を膝が引き受けてしまうことになりますので、少し曲げた状態でいるかを確認しましょう。
マシンに座ったときに、足を伸ばして膝が伸びきらないところにプレートを調節しましょう。
4-2. 背中をパッドから離さない
ベンチには深く座り、背中をしっかりとパッドに預けましょう。背中がパッドから離れてしまうと、股関節の周辺の筋肉への刺激が強くなったり、上半身へ負荷が逃げてしまったりすることがあります。股関節を痛める原因にもなりますので、背中をパッドから離さないでトレーニングをしてください。
4-3. つま先と膝の向きをそろえる
これは有名な下半身の筋トレメニュー・スクワットでも同じですが、つま先と膝は向きをそろえてください。つま先と膝の向きが違った場合、膝関節が不自然にねじれてしまいます。膝や足首を痛めてしまう可能性が高いので、方向はそろえましょう。
また、痛みが少しあるのにそのままトレーニングを続けてしまえば、そこを庇って他の箇所を痛めてしまうこともあります。
つま先と膝の向きに注意し、もし痛みを感じるならすぐにトレーニングを中止して休んでください。
4-4. お尻を浮かさない
レッグプレスは腰へ負担をかけずに下半身を鍛えられるトレーニングです。しかしマシンに座っている間、お尻を浮かせてしまうと腰へ負担がかかります。
マシンには手で持つグリップがありますので、それをしっかりとつかみ、お尻がシートに食い込むようなイメージで体を固定してトレーニングを行いましょう。
5. レッグプレスで刺激できる対象筋肉は変えられる
レッグプレスは一般的に、大腿四頭筋・ハムストリング・大臀筋へ刺激を強く与えるトレーニングです。しかしフットプレートに置く足の位置、そして足幅、つま先の方向を変化させれば、他の部位の筋肉をメインに据えて刺激できます。
- ハムストリング&大臀筋を特に鍛えたい場合足の位置は上部、足幅は肩幅、つま先と膝はまっすぐにする
- 大腿四頭筋を特に鍛えたい場合足の位置は中央部、足幅は肩幅、つま先と膝はまっすぐにする
- 内転筋を特に鍛えたい場合足の位置は中央部、足幅は肩幅より広く、つま先と膝は外側へ向ける
- 大腿四頭筋(特に外側広筋)を特に鍛えたい場合足の位置は中央部、足幅は肩幅、つま先と膝は内側へ向ける
- 腓腹筋を特に鍛えたい場合足の位置は下部、足幅は肩幅、つま先と膝はまっすぐにする
自分がメインで鍛えたい筋肉を意識し、必要に応じて足幅や足を置く位置、つま先と膝の向きを調節してください。なお、トレーニング中の注意事項は、どの位置や角度でも同じです。
6. 変形バージョン「シングルレッグプレス」の正しいやり方
特にお尻を鍛えたい方には、シングルレッグプレスをおすすめします。シングルレッグプレスは片足で行うトレーニングで、ポイントはウェイトを軽めに設定することです。
やり方を確認し、お尻に強い刺激を与えていきましょう。
- レッグプレスマシンのベンチに深く座る
- 足と体を少し内側へとひねる
- 片足をプレートの真ん中に置く
- 足を伸ばしたときに膝が少し曲がるように位置を調節する
- ゆっくりと膝を曲げていく
- 膝が90度の角度になるところでストップし、その後ゆっくりと膝を伸ばして足でプレートを押し上げる
- 5~6を10回繰り返す
ベンチに少し横向きになり、膝とつま先も内側へ向けます。注意点は通常のレッグプレスと同じですので、ケガがないように気を付けてトレーニングを行ってください。
左右のバランスを整えるためにも行うトレーニングですので、左右で筋肉の大きさが違う場合などにも試してみましょう。
7. レッグプレスとスクワットの違い4つ
同じように下半身を鍛えるレッグプレスとスクワットですが、違いはどんなものがあるでしょうか?違いを知り、目的に合わせて使い分けられるようになりましょう。
違いは、以下の4つです。
- 筋肉の肥大効果
- フォームの取得の簡単さ
- 負荷強化のしやすさ
- バリエーションの多さ
7-1. 筋肉の肥大効果
スクワットには自重とウェイトを使ったもの、2種類があります。しかしそのどちらも、ターゲットである太ももやお尻、ふくらはぎの筋肉以外に、バランスを取るために体幹を使います。
そのため、スクワットは筋肉の肥大効果がマシンを使うレッグプレスよりも高くなります。太くたくましい太ももを手に入れたいとか、身体の強化、スポーツでのパフォーマンス向上を望むのであれば、レッグプレスよりスクワットが良いでしょう。
7-2. フォーム取得の簡単さ
レッグプレスとスクワットの大きな違いは、軌道が決まっているかどうかです。レッグプレスは専用のマシンを使って行うため、軌道が決まっていて比較的簡単に正しいフォームでトレーニングが可能です。
スクワットは自重トレーニングのため、疲れなどでフォームが崩れやすくなります。筋トレの初心者であれば、まずはレッグプレスで下半身を鍛えてから、フォームを覚えてスクワットで筋肥大を狙うのがスムーズでしょう。
7-3. 負荷の強化・軽減のしやすさ
レッグマシンは負荷を強化しやすいです。スクワットでもダンベルを持ったりバーベルを担いだりして重量を増やすことは可能ですが、上半身を使わずに負荷を強化できるのはレッグプレスの方です。
また、レッグプレスでは自分の体重よりも負荷を軽くしてトレーニングができるという利点もあります。
膝や腰を痛めた方や初心者で自信がない方などでも、マシンであれば安全かつ簡単にトレーニング可能です。
7-4. バリエーションの多さ
バリエーションの多さも大きな違いです。スクワットにはさまざまなバリエーションがあり、目的に合わせて変化させられます。
一方、レッグプレスには変形は1つしかありません。もちろん足幅や角度を変えることで変化をつけることは可能ですが、スクワットのように多彩なバリエーションはなしです。
そのため、他のスポーツのために筋トレをするのであれば、それぞれのスポーツの動作により近い形でトレーニングが可能なスクワットが便利です。
7-5. スクワットとレッグプレスの違いまとめ
スクワットはさまざまなバリエーションがあり、ウェイトのかけ方も自由があります。筋肉を大きくさせたい方、スポーツや筋トレのパフォーマンスを向上させたい方は、スクワットがおすすめです。
レッグプレスは機械ですのでフォームが崩れにくく、初心者や関節に不安がある方でも安心して使えます。また、筋力をつけることには適しているため、リハビリ目的や日常生活のパフォーマンスを向上させたい方にはおすすめです。
まとめ:レッグプレスで安全に下半身を強化しよう
下半身の筋肉を鍛えると、基礎代謝がアップしたり引き締まったお尻や太ももが手に入ったりと、メリットがたくさんあります。
トレーニング方法はいろいろありますが、おすすめなのはレッグプレスマシンを使ったレッグプレス。椅子に座って重しを足で押し上げ、下半身を集中的に鍛えていきましょう。
マシンなので軌道が固定され、フォームも崩れにくく安心です。膝や腰に不安がある方やケガをしてリハビリ目的の方にも良いトレーニングですので、ジムへ行けばぜひトライしてください。
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