体形を何とかしたいと考える方は、筋トレをすべきかダイエットをすべきかで悩んでいる方も多くいます。
しかし実は、れっきとした筋トレメニューでありながら、ダイエットのための運動としても優れているトレーニング種目があります。
それが「バーピートレーニング」です。学校の体育会系クラブでは生徒の筋トレに取り入れているところも多く、「バーピージャンプ」という名前で覚えている方もいるでしょう。
今回は、万能トレーニングとして有名なバーピートレーニングのメリットや正しいやり方、コツや注意点、トレーニング前のおすすめのストレッチなどを詳細に紹介していきます。
ダイエットにも筋トレにもなる最強のトレーニングメニューについて、確認してください。
1. バーピー(バーピージャンプ)とは?
生理学者のバーピー博士という方が1930年代に考案した、全身運動が「バーピー」です。胸と脚の筋肉に刺激を送りつつ、同時に有酸素運動もできる優れたトレーニングです。
内容は、スクワットから腕立て伏せを行い、最後に大きくジャンプを順に連続して行い、できる限り素早く動くことで負荷を高めます。
トレーニングとしては高強度ですので、比較的短時間で終了します。しかし筋トレと有酸素運動を一緒に行いますので、脂肪が大変スムーズに燃焼できます。
そのため、筋トレメニューでありながらダイエットメニューでもある、という便利な種目です。
2. バーピートレーニングで鍛えられる筋肉とは?
バーピートレーニングでは、胸と脚という人間の体の大きな筋肉を鍛えます。複数の大きな筋肉を同時に鍛えられるため効率がよく、多くの部活動で取り入れられているのです。
刺激を送る筋肉は、以下の4つです。
- 大胸筋
- 大腿四頭筋
- ハムストリング
- 大臀筋
では、順番に見ていきましょう。
2-1. 大胸筋
胸の部分にある大きな筋肉が、大胸筋です。大胸筋に刺激を送れるのは、バーピートレーニングで腕立て伏せの動きをしているときです。
大胸筋は胸についている脂肪よりも奥にある筋肉ですので、ここを鍛えると胸の脂肪を支えることになり、女性のバストアップも期待できます。
男性も、厚い胸板を作りたい方は腕立て伏せの動きをしっかりと行い、大胸筋に強い刺激を与えましょう。
2-2. 大腿四頭筋
大腿四頭筋は太ももの前の方にある大きな筋肉で、「大腿直筋」「内側広筋」「外側広筋」そして「中間広筋」という4つの筋肉で作られています。
バーピートレーニングではスクワットとジャンプをするときに、この大腿四頭筋に強い刺激を与えます。太ももの筋肉に刺激を与えると、太ももをすっきりさせて脚の形を整えるため、美脚効果が期待できます。
2-3. ハムストリング
ハムストリングは太ももの裏側にあり、「大腿二頭筋」「半膜様筋」そして「半腱様筋」の3つの筋肉でできています。
ハムストリングは関節同士にまたがって作られているという点が珍しい筋肉で、膝関節と股関節の動きに同時に影響します。
ここを鍛えれば基礎代謝の大幅アップや脚痩せ、さらにヒップアップの効果も期待できます。
2-4. 大臀筋
お尻にある単一の大きな筋肉が、大臀筋です。お尻全体を覆っている筋肉で、大きいために脂肪燃焼や基礎代謝の向上などに強く影響します。
たるんだお尻を何とかしたい、格好よいお尻にしたい、という方はここをしっかりと鍛えていきましょう。
3. バーピートレーニングのメリット4つ
複数の動きを重ねて取り入れたトレーニング、バーピートレーニングにはメリットが4つあります。
筋トレのメリットと有酸素運動のメリットがバーピートレーニングで同時に得られますが、具体的には以下の4つです。
- 効果が出るのが早い
- 脂肪が効果的に燃焼される
- 基礎代謝が上がって痩せやすい体質になる
- 体力(持久力)がアップする
3-1. 効果が出るのが早い
バーピートレーニングは脂肪燃焼効果が高く、比較的効果が早く出ます。
継続してやっていくと、すぐに自分の体が変化していくのがわかるでしょう。1度体の変化に気付くと、毎日鏡を見るのが楽しくなるはずです。
何事にも飽きっぽく、効果が実感できないとモチベーションがすぐに下がってしまうという方には、ぴったりのトレーニングです。
3-2. 脂肪が効果的に燃焼される
ジャンプ・スクワット・腕立て伏せを繰り返し連続して行うことで、体に高い負荷をかけて効率よく脂肪を燃焼していきます。
普段の生活だけでは鍛えることが難しいインナーマッスルや腕、足などに効果的に刺激を送れますので、全身のシェイプアップとなるでしょう。
3-3. 基礎代謝が上がって痩せやすい体質になる
基礎代謝が高い方は、痩せやすい体質です。生きていくために使う最低限のエネルギーを基礎代謝といいますが、これを高めることで痩せやすい体質になれます。
基礎代謝の中でも一番エネルギーの消費量が多いのが、筋肉です。つまり全身の筋肉量を増やせば、最低限必要なエネルギー量もアップします。その結果、食べても太りにくい体へと変化していきます。
筋肉量を増やすには大きな筋肉を鍛えることが手っ取り早いため、バーピートレーニングで体内の大きな筋肉を複数同時に鍛えていくと、基礎代謝を大幅にアップできるのです。
3-4. 体力(持久力)がアップする
体力と持久力をアップさせれば、日常生活だけでなくスポーツなどのパフォーマンスも底上げできます。バーピートレーニングは体力も持久力も向上が可能です。
負荷が強いため短時間で効果を出せますので、ちょっとした時間しかないというときでもトレーニングできます。
4. バーピートレーニングのやり方
では、バーピートレーニングのやり方を紹介します。一連の動きを流れるような動作で行いますが、要所ではしっかりとメリハリをつけるようにしましょう。
- 足を拳1つ分あけて直立する
- スクワットの姿勢をとってしゃがみこむ
- しゃがんだ状態で両手を床につき、両足を一気にうしろへと伸ばして腕立ての姿勢を取る
- 肘を曲げて腕立て伏せを1回し、ぱっと両足を戻してしゃがむ姿勢へ戻る
- 立ち上がり、そのまま両手を高く上げながらジャンプをする
- 2~5を30回繰り返す
- インターバルで1分から3分程休憩を取る
- 残り2セットを行う
筋肉に大きな負担がかかるトレーニングですが、途中の休憩を長くとると負荷を強くできません。インターバルは長くても3分程度にし、3セットを続けましょう。
腕立て伏せの状態のとき、足は限界までぐっと伸ばします。ジャンプをするときにはできるだけ高く飛ぶことも、覚えておいてください。
初心者は腕立て伏せではなく、腕立ての体勢のみでもOKです。トレーニングに慣れてきて回数をこなせるようになったら、1回の腕立て伏せを組み込みます。
5. バーピートレーニングの効果を高めるコツ5つ
では、筋トレかつ有酸素運動でもあるバーピートレーニングの効果を高めるコツ、以下の5つを確認していきましょう。
5-1. 正しいフォームで行う
バーピートレーニングに限らずすべての筋トレに共通することではありますが、正しいフォームでやることが何より大切です。
フォームが正しくないままで続けていても、本来得られる効果を得られないうえに、ケガを誘発してしまう恐れがあります。肘や腰、膝などを痛めてしまうと、ダイエットも筋トレもしばらくはすべてをストップしなければなりません。
最初のうちは人についてもらってフォームを見てもらうなど、正しくできているかを確認してください。
5-2. 呼吸を忘れない
バーピートレーニングは一気に心拍数を上げるトレーニングです。有酸素運動の効果を高めるためにも、呼吸を忘れないようにしましょう。
疲れてくると力を出そうとするあまり、呼吸を止めて踏ん張ってしまうことがよくあります。しかし、体の隅々まで酸素が行きわたることが、トレーニングの効率を上げる最大のコツです。
自然な呼吸を意識して、トレーニングに励みましょう。
5-3. トレーニング前後の栄養補給
しっかりと筋肉をつけたいのであれば、トレーニング前後に栄養補給を行うべきです。良質なタンパク質を取り入れると筋肉肥大には有効ですが、一般的な食事ではなかなか満足に取り入れることは難しいでしょう。
おすすめなのは、プロテインを摂取することです。とくにバーピートレーニングの後にはプロテインを摂取し、効率よく筋肉を作っていきましょう。
ダイエット目的の方も、トレーニング効果を最大限得るためにはプロテインの摂取がおすすめです。しっかりと栄養補給を行いましょう。
5-4. スピードを一定に保つ
基本的には、疲れが出てくるとスピードは落ちます。しかし、疲れているときの踏ん張りが効果の大きさを決めるといっても過言ではありません。
筋トレでももうダメだと思ったらあと1回する、と言われます。疲れてきたなと思ったら、スピードを一定に保つ努力をしてください。
ここで頑張るかどうかで、明日の体が違ってきます。
5-5. タックジャンプも行う
タックジャンプはその場で何度も足を抱え込むようにしてジャンプするトレーニングですが、これをバーピージャンプの前に取り入れることで、さらに筋肉への負荷が高まります。
タックジャンプは体幹や腹筋なども鍛えます。一緒にトレーニングをすれば、さらに全身が効率よく鍛えられるでしょう。
6. 30日間バーピーチャレンジとは?
最近ではSNSを使って激しいトレーニングをスケジュール化し、世界中の人々と共有してモチベーションをあげ、やりきるという「〇〇チャレンジ」がはやっています。
バーピートレーニングにもこの30日間チャレンジがあり、SNSでは多くの方が参加しています。
やり方は以下の通りです。
1日目 5回
2日目 10回
3回目 15回
4回目 20回
5日目 休息日
6日目 20回
7日目 25回
8日目 30回
9日目 35回
10日目 休息日
11日目 35回
12日目 40回
13日目 45回
14日目 50回
15日目 休息日
16日目 50回
17日目 55回
18日目 60回
19日目 65回
20日目 休息日
21日目 65回
22日目 70回
23日目 75回
24日目 80回
25日目 休息日
26日目 80回
27日目 85回
28日目 90回
29日目 95回
30日目 100回
5日ごとに休息日を挟み、あとは毎日5回ずつトレーニングの回数を増やしていき、30日後には100回のバーピートレーニングができるようになっている、という状態を目指します。
毎日5回ずつの追加なので、体が徐々に慣れていきやりやすいと人気です。これをやりきった30日後には、体への変化だけでなく達成感も大きなものがあるでしょう。
7. バーピートレーニングの覚えておくべき注意点4つ
バーピートレーニングで注意すべき項目はなんでしょうか?以下が、その4つの注意すべき項目です。
- 音に配慮する
- 準備運動をする
- 痛みがあれば中止する
- トレーニング後すぐに横にならない
7-1. 音に配慮する
バーピートレーニングは飛んだりしゃがんだりと、音が立つ激しいトレーニングです。自宅でする場合、一戸建てであれば問題ありませんが、マンションだと下の階の住民の迷惑となることがあります。
ヨガマットや分厚いカーペットを敷くなど、音が響かないように配慮して行いましょう。
習慣化するには近所や家族からの苦情が出ないことが大切です。継続のためにも、大きな音が立たないように工夫してください。
7-2. 準備運動をする
バーピートレーニングは全身運動で、体全体に大きな負荷がかかります。何の準備運動もせずにいきなり行えば、関節や筋肉を傷めてしまうでしょう。さらに、体が十分にうごかせず、正しいフォームを取りにくくなります。
まずは念入りにストレッチなど準備運動をしてください。これが、ケガや故障を避けつつ長く続けるコツです。
7-3. 痛みがあれば中止する
フォームに気を付けており、トレーニング前に準備運動をしていても、バランスを崩してしまうことは誰にでもあります。
そんなときにはすぐにトレーニングをとめ、休憩して体を休めてください。
我慢して無理に続けても、良い効果は得られません。筋肉痛ではない痛みは疑いなく体の悲鳴です。無視しないようにしましょう。
7-4. トレーニング後すぐに横にならない
バーピートレーニングは大変激しい動きを連続でし、心拍数を急激に上げるメニューです。初心者は無理をしないことはもちろんですが、トレーニングが終わったあとすぐに横になることも危険です。
1セットが終わったあとは座りこまずにそのままゆっくりと歩き、心拍数を落ち着かせましょう。
8. バーピートレーニング前にやりたいおすすめのストレッチ6つ
バーピートレーニングは激しい全身運動ですので、準備運動が必要であると前述しました。ここでは、おすすめのストレッチを6つ紹介していきます。
- 股関節をほぐすストレッチ
- 脚をほぐすストレッチ
- 胸のストレッチ
- 体幹をほぐすストレッチ
- 関節の動きをなめらかにするストレッチ
- ふくらはぎのストレッチ
8-1. 股関節をほぐすストレッチ
股関節は上半身と下半身をつなぐ役目があります。男性も女性も股関節が硬くなってしまっている方が多いので、トレーニング前にはしっかりとほぐしていきましょう。
- 地面にすわり、両足の裏をひっつける
- 両方のかかとを自分へ近づける
- その状態で膝をゆっくりと地面へ近づけていく
- 限界まで膝を床に近づけたら、そのまま3秒キープ
- ゆっくりと力を緩め、膝を解放する
- 3~5を5回繰り返す
注意点は、ストレッチの間背中を丸めないことです。体からは力をぬいてリラックスし、息を吐きながら膝を下げ、息を吸いながら戻すようにしてください。
8-2. 脚をほぐすストレッチ
脚をほぐすストレッチをして、全身に血を行き渡らせましょう。簡単に行えますので、寝る前などに毎日行って太ももの筋肉を刺激し、しっかりと伸ばしてください。
- 両足のかかとをひっつけて立つ
- 背筋を伸ばし、前を見る
- 両手を胸の前で伸ばし、そのまま腰を折って前屈する
- 脚の裏側が伸びているのを感じる
- その後、ゆっくりと腰をのばし元の体勢に戻る
- 3~5を5回繰り返す
ストレッチですので体には力をいれず、リラックスしたままで行いましょう。急にぐーっと曲げるのではなく、ゆっくりと曲げて太ももを伸ばしていきます。
8-3. 胸のストレッチ
胸を寄せて、大胸筋に刺激を与えましょう。大胸筋の筋トレ前には特におすすめのストレッチです。
- 椅子を準備し、深く座る
- 両手をくっつけ、45度下へ向けて伸ばす
- 肘と肘を使づけていく
- 胸に刺激を感じたらそこで止める
- ゆっくりと腕をゆるめる
- 3~5を10回繰り返す
胸寄せストレッチは、3秒間で1回寄せるというタイミングが目安です。背中は丸めず、両胸を寄せるイメージで行ってください。
8-4. 体幹をほぐすストレッチ
体幹を鍛え、周辺のインナーマッスルをほぐす最も簡単なストレッチが「背伸び」です。
オフィスワークなどで猫背になっている方にもおすすめですので、気が付いたときに実施してください。
- 足は肩幅に開いてまっすぐに立つ
- 両手を合わせ、指を絡ませる
- 手のひらを上へと返しながら、両手を上へあげていく
- 空を押すイメージで腕を押し上げ、耳に腕をひっつける
- 力を抜いて元の体勢に戻る
- 3~5を5回繰り返す
軽くおなかを凹ませながら、しっかりと呼吸をしてやっていきましょう。アゴは下げず、前を見たままです。
8-5. 関節の動きをなめらかにするストレッチ
膝関節はふくらはぎと太ももを結ぶ関節で、柔らかいに越したことはありません。普段から膝関節のストレッチを行い、柔らかさを保ってケガの防止につとめましょう。特におすすめなのは、お風呂上りにする「膝回し」です。
- 両足のかかとと膝をひっつけて立つ
- 軽く膝を曲げ、両手で膝をつかむ
- そのままでぐるぐるとゆっくり膝を回す
- 3を10周繰り返す
- 逆回しも同じように行う
膝に痛みをもっている方は、痛みが出ない程度の力で回してください。ストレッチ中は膝を軽く曲げたままで、伸ばしたりしないようにしましょう。
8-6. ふくらはぎのストレッチ
ふくらはぎは第二の心臓とも呼ばれる筋肉です。下半身の疲れはほぼふくらはぎによるものだと言われるほどですので、毎日の習慣にしたいストレッチです。
ここでは簡単な「脚伸ばし」を紹介します。
- 地面に座る
- 脚をまっすぐに前に伸ばす
- 上半身は地面と垂直になるようにする
- そのままで、足先だけを物体を押すようなイメージで伸ばす
- ふくらはぎに刺激が来たら、そのままで3秒キープ
- ゆっくりと力を抜く
- 4~6を5回繰り返す
脚伸ばしを急にすると、足がつってしまう方もいます。1回に7秒ほどかけるつもりで、ゆっくりと伸ばしていきましょう。両足同時か、片足ずつ同じ回数をやっていきます。
まとめ:万能トレーニングのバーピージャンプを自分のものにしよう!
筋トレでありながら、有酸素運動でダイエット効果もあるのが1930年代に考案されたバーピートレーニングです。
スクワットに腕立て伏せ、そしてジャンプを流れるように続けて行い、筋肉に刺激を与えつつ全身に酸素を行き渡らせます。
基礎代謝があがって脂肪燃焼効果が強いため、体に変化が表れやすいことでも人気のメニューです。ただし、急激に心拍数を上げるトレーニングですので、初心者は注意事項をしっかりと守って行ってください。
正しいフォームを覚えて繰り返せるようになったら、全身をバランスよく鍛えることが容易になり、理想の体形に近づけるでしょう。
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