人間の下半身には大きな筋肉が複数あり、下半身を鍛えることで日常生活のパフォーマンスが向上します。筋トレで下半身をしっかりと鍛えた方が良いとされるのは、体を動かす基本となる筋肉が多く集まっているからです。
しかし、よく忘れられるのが、下半身の日常的なケアです。筋トレの後の休息が大切なことを知ってはいても、ストレッチをして硬くなった筋肉をほぐすケアをしている方は多くありません。
当然ながら、筋肉が多ければそれだけケアもしっかりと行う必要があります。
ここでは下半身の筋肉をしっかりとほぐす、日常的にやってほしいストレッチメニューを紹介します。ぜひ毎日に取り入れて、下半身をケアしていきましょう。
1. 下半身ストレッチの効果とは?
下半身の筋肉は、歩いたり走ったり姿勢を保ったりすることなどに使うため、うまく使えなければさまざまなトラブルが出ます。
ストレッチを日常的にすれば、使いすぎた筋肉を伸ばしてほぐし、眠っている筋肉を目覚めさせられます。その結果、以下のような効果を得られるでしょう。
- 腰痛の予防と改善
- 股関節が柔らかくなる
- 太もものむくみや張りの解消
- 血行促進
- 転倒予防
普段から運動不足であるとか、事務仕事でイスに座っていることが多いという人は特に、腰痛に悩まされていることが多いです。
ぎっくり腰などの腰痛の原因はインナーマッスルの衰えであることが多いため、下半身の筋トレやストレッチをしてしっかりと伸ばし刺激を与え、腰痛予防をしましょう。
筋肉を伸ばすと血行促進もでき、特にむくみやすい足から不要な水分や老廃物を取り除けます。女性の多くが悩む冷え性などの改善にもつながりますので、じっくりと筋肉を伸ばして血流を改善してください。
では次から、部位別に効果的なストレッチメニューを紹介していきます。
2. 股関節に効果的!筋肉をほぐすストレッチ
股関節が柔らかくなれば、姿勢がよくなったりO脚が改善されたりといったメリットがたくさんあります。
まずは股関節に効果があるストレッチ、以下の3つをやっていきましょう。
- 二―アップ
- 膝回し
- 前かがみストレッチ
2-1. ニーアップ
「二―アップ」は、筋トレメニューの「ニーレイズ」をアレンジしたストレッチメニューです。寝ながら行いますので、就寝前や起床時などにそのままベッドの上でやってみましょう。
- ベッドやマットなどの上に仰向けで寝ころぶ
- 右足の膝を折ってあげ、両手で膝をつかむ
- 右ひざを胸まで近づける
- ゆっくりと限界まで胸に近づけたら、そのまま20秒キープする
- 両手を離し、右膝を元に戻す
- 反対側も同様に行う
20秒キープすることで、股関節周辺の筋肉をじっくりと伸ばします。呼吸はゆっくりとすること、反対側の足はのばしておくことがポイントです。
慣れてきたら、立ち上がって直立のままでやってみてください。
2-2. 膝回し
こちらも寝転がったままでできる股関節のストレッチですので、二―アップをした後に寝ころんだままでトライするのがおすすめです。
- ベッドやマットに仰向けに寝転ぶ
- 両足を少し開けたままで両膝を持ち上げ、右手は右膝、左手は左膝を持つ
- 手で膝のお皿を持ち、内回りに10回まわす
- 次は外回りで10回まわす
股関節を伸ばすというよりは、硬くなった筋肉を緩めるストレッチです。膝をぐるぐると回すだけの簡単な動きですので、毎日の習慣にしていきましょう。
2-3. 前かがみストレッチ
股関節の周辺にある腸骨筋や小腰筋などを伸ばすストレッチです。二―アップや膝回しをした後に、起き上がって座った状態でやりましょう。
- ベッドやマットの上で足を伸ばして座る
- 両足を開き、両膝を立てる
- 両膝の間に上半身をいれるように膝を体へと近づける
- 両手を膝の下へいれるようにし、上半身を前傾させて股の筋肉の伸びを感じる
- そのままで20秒キープ
- 元の体勢に戻り、もう1度同じことをする
20秒ずつ合計で40秒、しっかりと股の筋肉を伸ばしてください。背中は丸めずにできるだけ伸ばしたままで前傾させ、反動をつけずに筋肉を伸ばします。無理に刺激を与えず、強い痛みを感じたらやめましょう。
3. お尻に効果的!筋肉をほぐすストレッチ
お尻は人間がもつ筋肉の中でも大きく、大臀筋という筋肉は単一の筋肉では最大のものです。日常生活でもよく使う場所ですので、ストレッチをしてほぐし、伸ばしていきましょう。
お尻のストレッチで効果的なものは、以下の2つです。
- 深層筋のストレッチ
- 寝ながら膝をつけるストレッチ
3-1. 深層筋のストレッチ
「深層筋のストレッチ」は、片足をもう片足の上へのせてお尻の筋肉を伸ばすストレッチです。
正しいやり方、フォームを維持するために、スマートフォンや鏡を利用してください。必要なら、慣れるまでは人に体勢を確認してもらうのもおすすめです。
- マットなどを敷いた上に座る
- 両膝を立て、両手は体より後ろへついて体重を後ろへかける
- 右足を曲げて上げ、左太ももの上に乗せる
- その状態で軽く体を前へ倒す
- ゆっくりと限界まで倒したら、20秒キープする
- 元の体勢に戻し、次は左足を右足の太ももに乗せ同じことをする
それぞれ20秒ずつやりますが、痛みがあれば我慢してまで伸ばす必要はありません。できる範囲で筋肉をほぐしましょう。
3-2. 寝ながら膝をつけるストレッチ
お尻の筋肉をほぐすストレッチでも中々のばせないのが、中臀筋や大腿筋膜張筋です。「寝ながら膝をつけるストレッチ」ではこれらの筋肉を伸ばせますので、思いついたときに寝ころんでやってみてください。
- マットなどを敷いた上に仰向けで寝ころぶ
- 右足を左足の上を通ってまたがせ、体の右側の床へ膝をつける
- 床につけた右膝を左手で抑えて浮かないようにする
- そのままで20秒キープ
- 膝を抑える手を離してゆっくりと元の姿勢に戻る
- 左側も同様に行う
- 左右を交互に1回ずつやり、それぞれ2回行う
顔は上を向いたままで両肩は地面につけて行い、お尻の外側が熱くなってくるのを感じてください。足と一緒に全体的に転がってしまうのではなく、あくまでも足だけを動かすイメージです。
4. 太ももに効果的!太ももをしっかり伸ばせるストレッチ
では、太もものストレッチへいきましょう。太ももも大きな筋肉ですし、日常生活でよく使われるところです。忘れずにほぐして伸ばし、筋トレの効果も上げていってください。
紹介する太もものストレッチは、太もも前にある大腿四頭筋と内転筋を伸ばすもの2つと、太ももの後ろにあるハムストリングを伸ばすもの2つです。
4-1. 太もも前を伸ばすストレッチ
寝ながらできるストレッチです。テレビを見ながらや就寝前などに、気楽にやってください。
- マットや布団、ベッドなどにうつぶせで寝ころぶ
- クッションや枕を太ももの下に敷く
- 右手で右足の甲をつかみ、膝を曲げてかかとをお尻に近づける
- ぐーっと近づけたら、そのままで20秒キープ
- 元に戻し、左側も同様に行う
動作を早くしてしまわないように気を付けましょう。じっくりと伸ばし、かかとをお尻に近づける段階に応じて伸びる場所が少しずつ変わるのも感じてください。
4-2. 大股開きストレッチ
大きく体を開けてひねる動きで、股関節と太ももの内側にある内転筋をほぐしていきましょう。
- マットの上に両手両足を開いた「大」の字になって立つ
- 両手はそれぞれの膝に添え、相撲のシコのような体勢になる
- 大きく息を吸い、吐きながら左の膝を覗き込むように上半身を左へとひねる
- 3のとき、右肩が地面に近づくようにぐっと下ろす
- そのまま10秒キープ
- ゆっくりと2の体勢に戻る
- 反対側も同様に行う
ストレッチ中は呼吸を止めないように注意してください。上半身をひねり、気持ち良いと感じる程度に伸ばしていきます。立っているとき、足先は外側へと向けてください。
4-3. 太もも裏を伸ばすストレッチ
太ももの裏側にあるのは、ハムストリングです。あまり無理に伸ばすとつってしまうことがありますので、ゆっくりと丁寧にケアしていきましょう。
- イスや台を用意し、その上に座る
- 膝は軽く曲げ、片足だけを前へ伸ばす
- 上体を少しずつ前傾させていく
- 両手は前に出した足に沿って伸ばし、かがみこむような形になる
- 太もも裏に痛みが出る前に前傾を止め、20秒キープ
- ゆっくりと体勢を元へ戻す
- 反対側の足も同様に行う
上体を前傾するときには、背中からお尻までは一直線になることを意識してください。丸めないように注意しましょう。前へ伸ばした足のつま先は上げません。
4-4. 片足上げストレッチ
寝ころんでできるハムストリングのストレッチです。道具が不要ですので、気が向いたときに実行していきましょう。
- ベッドやマットなどの上に仰向けで寝ころぶ
- 右膝を上げてふくらはぎと床が平行になるようにする
- 両手で右太もも裏をつかみ、膝を伸ばして足を上へまっすぐに伸ばす
- お尻からかかとまでが一直線になるように上へあげたら、そのままで30秒キープ
- 膝を曲げて足を下ろす
- 左側も同様に行う
膝はできる限りまっすぐに伸ばします。膝を曲げているときものばしているときも、足は足首が直角になるようにしましょう。
5. ふくらはぎに効果的!第二の心臓のためのストレッチ
下半身には大切なところが多いですが、ふくらはぎも「第二の心臓」と呼ばれる重要な場所です。下半身の血流に深く関わっているため、時間をかけてストレッチしていきましょう。
ここで紹介するふくらはぎのストレッチは、以下の2つです。
- アキレス腱伸ばし
- 両足伸ばし
ウォーキングやマラソンをする前には、特に念入りにほぐしてください。
5-1. アキレス腱伸ばし
王道のストレッチはアキレス腱伸ばしです。壁やてすりなどを使って体を安定させますので、自宅だけでなく会社などでもストレッチが可能です。
隙間時間にふくらはぎを伸ばしてください。
- 脚の幅を拳1つ分あけ、壁を前にしてまっすぐに立つ
- 両足は全面を地面につけたまま、壁に向かって右足を大きく1歩踏み出す
- 壁に両手をついて体を支えながら、右膝を曲げてゆっくりと体を前傾させていく
- 左足のふくらはぎが伸びているのを感じたところで20秒キープ
- ゆっくりと元へ戻す
- 左足も同様に行う
注意点としては、ストレッチの間、両足が地面から浮かないようにすることです。足の裏が地面から離れてしまえば、ふくらはぎをしっかりと伸ばせません。
5-2. 両足伸ばし
「アキレス腱伸ばし」は片方ずつするものですが、両足伸ばしは一気に両方のアキレス腱を伸ばせます。床に手をつく必要があるため会社でするのは難しいですが、自宅で夜のリラックスタイムなどにやっていきましょう。
- マットなどを用意し、その上に膝をついて座る
- 両手をマットにつけ、四つん這いの形になる
- 膝を浮かせてお尻を上へ持ち上げる
- 膝をゆっくりと伸ばし、かかとからお尻までが一直線になるようにする
- そのまま20秒キープ
- ゆっくりと膝を曲げ、元の体勢に戻る
- 足先を外側に向けて同様に行う
- 足先を内側に向けて同様に行う
中央・外側・内側とそれぞれに20秒ずつやり、3段階でふくらはぎを伸ばしていきましょう。足の裏は地面から離さず、足からお尻までをまっすぐにします。
5-3. 片膝立てストレッチ
夜眠る前にすることで、1日のむくみを解消するストレッチです。下半身の血流を促進し、就寝中の回復をスムーズにしていきましょう。
- マットの上に正座する
- 左ひざを立てる
- 息を大きく吸い、吐きながら上半身を前傾させていく
- ふくらはぎの伸びを感じながら20秒キープ
- ゆっくりと元の正座に戻る
- 右ひざも同様に行う
注意点は、ストレッチ中に足の裏を地面から離さないことです。自分の体重をかけて前傾していき、ふくらはぎをしっかりと伸ばしましょう。
まとめ 下半身ストレッチで筋肉をケア!しなやかな体になろう
運動不足や筋トレのし過ぎ、そのどちらも筋肉は硬くなってしまいます。筋肉が硬いといざというときにちゃんと動けませんし、血流が悪くなるなど全身への影響も大きいです。
筋トレとは違い、ストレッチは毎日継続してやる体のケアです。起床後や就寝前など、自分が継続できる隙間時間をみつけ、トライしてください。
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