太ももをがっちりとさせたい、他の筋トレの効果をアップさせるために下半身を鍛えたい、という方に人気なのは、スクワットです。スクワットには自重の他に、ダンベルやバーベルで負荷を強くするトレーニングメニューがあります。
バーベルを使ったスクワットメニューは2つです。1つがバーベルを後ろから両肩にかつぐようにして行う「バッグスクワット」。そしてもう1つが、バーベルを体の前で持って行う「フロントスクワット」です。
ここではそのフロントスクワットについて、正しいやり方や注意点、効果を大きく得るためのコツなどを紹介していきます。
フロントスクワットは下半身の筋トレに効果的なメニューですが、注意事項がやや多く複雑な筋トレでもあります。ここで確認し、正しいやり方で行うようにしましょう。
1. フロントスクワットの正しいやり方
フロントスクワットはバーベルを肩の前部に担いで行う筋トレです。通常のバックスクワットに慣れている方は最初はやりにくいと感じるかもしれません。
動作は複雑なメニューですので、正しいやり方を覚えましょう。
- 両足を肩幅に開いて、背筋を伸ばして直立する
- ラックにかけてあるバーベルのバーが胸とアゴの間に来る位置で、両手の手首を返してバーを握る(オーバーハンドグリップ)
- バーベルをラックから外して胸を張って立つ
- 上半身が前傾しないように体幹部に力をこめ、そのまま膝を曲げて腰を下ろしていく
- 太ももが床と平行になるまでしゃがんだら、お尻の筋肉を使ってゆっくりと元の体勢に戻る
- 10回を1セットとし、3セット行う
バーベルを体の前で持つことにより、バランスが不安定になりやすいです。しっかりとバランスをとるため、体幹に力を入れ背中をまっすぐにキープしましょう。
つま先はやや外側に向けて、呼吸を止めないように意識します。
2. フロントスクワットの注意点3つ
では、フロントスクワットの注意点を3つ紹介します。
- 膝を前に出すイメージを持つ
- 背筋を伸ばす
- 軽い重量で行う
2-1. 膝を前に出すイメージを持つ
フロントスクワットはバーベルを持ったままですとんと真下へ屈むトレーニングですので、一般的なバックスクワットに比べ膝が前に出ません。
そのため、上体を下ろす際には膝を前方へと出すことを意識する必要があります。そうすると大腿四頭筋伸びて負荷が乗りやすくなり、筋トレの効果を高められます。
ただし、注意しなければならないのはつま先よりも前には出ないようにすることです。つま先より前に出れば膝には大きな負担がかかるため、膝を前に出すイメージを持ったまま膝を曲げていく、というのが正解でしょう。
2-2. 背筋を伸ばす
フロントスクワットでは重量を体の前で持ちますので、背中が曲がって上体が前傾するとバーベルを落としてしまう可能性が高まります。
さらに背中が丸まっていると腰に変な形で負担がかかってしまいますので、ケガの原因にもなります。危険ですので背中はまっすぐに伸ばすことを意識してください。
顔が下を向いていると腰が引けて上体は前傾しやすくなります。顔を上げ、腰を反らさずに背中を伸ばすようにして行いましょう。
2-3. 軽い重量で行う
フロントスクワットでは、通常のバックスクワットで扱うよりも軽い重量で行ってください。重量が重すぎればフォームを崩しやすくなります。
不安的な動きで筋トレをしてもメインターゲットの筋肉への刺激が弱くなってしまいますので、つらいだけでメリットがありません。フォームを覚えることを目的とし、軽すぎるかなと思うくらいの重量で行い、慣れに従って徐々に重さを増やしていきましょう。
3. 筋トレ効果を高めるフロントスクワットの4つのコツ
フロントスクワットを正しくこなすために、コツが4つありますので紹介します。
- やりやすいバーベルの握り方を探す
- バックスクワットよりも上体をまっすぐにする
- お尻を後ろへ突き出すイメージで行う
- 呼吸は意識し止めないようにする
3-1. やりやすいバーベルの握り方を探す
フロントスクワットでは体の前でバーベルを握りますが、持ち方は2種類あります。
1つ目は手首を返して肘を前に突き出す、オーバーハンドグリップという持ち方。そして2つ目は、体の前で両腕を交差させ、鎖骨と肩の上にバーベルを乗せて親指で抑える持ち方です。
オーバーハンドグリップが一般的な持ち方で、最も安定しています。しかしこの方法では手首に柔軟性が必要です。手首や肩の関節が硬ければなかなか難しい持ち方ですので、そのような方は両腕を交差させる持ち方がおすすめです。
ただし、両腕を交差させて鎖骨と肩でバーベルを持つ方法では、猫背になりやすくなります。オーバーハンドグリップで行うときに比べ、より体感部へ力を入れて上体を安定させなければなりません。
自分はどちらの方がやりやすいかを探してみましょう。初心者にはバランスを保ちやすいオーバーハンドグリップがおすすめなので、まずは手首や肩の柔軟性を高めてからトライするのが良いでしょう。
3-2. バックスクワットよりも上体をまっすぐにする
バックスクワットではバーベルを担ぎ、上半身を前傾させることでバランスを取ります。しかしフロントスクワットでは上体を前傾させればバーベルを落としてしまいます。
そのため、上半身をしっかりと起こしておきましょう。
顔を正面に向ければ背中を伸ばしやすいですが、アゴを上げ過ぎてしまうと腰が反ってしまいます。腰を反るとケガを誘発してしまいますので、アゴは上げず、顔は正面を向くと覚えてください。
3-3. お尻を後ろへ突き出すイメージで行う
フロントスクワットでは、常に足の真ん中に重心がこなければいけません。しかし、体のゆがみなどが原因で重心が前にかかってしまう方が多いです。
体の重心を真ん中にするために、お尻を後ろへ突き出すイメージでトレーニングを行ってください。バーベルが地面に対して垂直に動いているかを確認しましょう。
3-4. 呼吸は意識し止めないようにする
フロントスクワットでは、体幹部に強い負荷がかかります。苦しいときには呼吸を止めてしまう方が多く、フロントスクワットでも力を振り絞るために呼吸を止めてしまいがちです。
しかし、呼吸を止めているときには変な場所に力が入っているものです。血圧が上がる危険性もあるうえに正しいフォームではないことが多いため、体幹に力をいれている間は呼吸を止めないように意識しましょう。
何度やっても呼吸を止めて力を入れてしまうという方は、重量が重すぎる可能性が高いです。重量を下げ、息をとめずに出来る負荷を確認してください。
4. フロントスクワットとバックスクワットの違い
バーベルを持って負荷をかけながらスクワットをする、という共通点はありますが、フロントスクワットとバックスクワットには違いが数点あります。
違いを知って、自分の目的に合わせてトレーニングを変えながら効果的に下半身を鍛えてください。
2つのスクワットメニューの違いは、以下の3つです。
- 上体の角度の違い
- 重さがかかる場所の違い
- 膝への負担の少なさの違い
4-1. 上体の角度の違い
フロントスクワットはバックスクワットに比べ、上体をまっすぐにして行います。その体勢をキープしなければならず、体幹の筋肉も同時に鍛えられます。
多くのスポーツでは体幹の筋力があればパフォーマンス力がアップしますので、下半身の筋トレだけでなく体幹の筋トレとしてもフロントスクワットはおすすめです。
4-2. 重さがかかる場所の違い
バックスクワットは背中にバーベルを背負うように持つため、重さは僧帽筋に直接かかります。対してフロントスクワットは、鎖骨と肩甲骨の上にバーベルを乗せます。重さがかかる場所が違うため、最初はバランスを取るのが難しいでしょう。
バックスクワットをやってきた方がフロントスクワットをするには、まず軽い重量からスタートさせ、感覚をつかむようにしてください。
4-3. 膝への負担の少なさの違い
フロントスクワットはその特性上、重量を重くできません。さらに上体をまっすぐにして屈みますので、膝が前に出にくくなります。そのため、バックスクワットに比べると膝への負担が少なくすみます。
しかし可動域を広く使って動くため、通常のスクワットと同じように下半身の筋肉へ刺激を与えられる便利なメニューです。
膝に不安を持つ方は、バックスクワットよりフロントスクワットでの下半身強化がおすすめです。
5. フロントスクワットの重量設定や回数設定は?
では、フロントスクワットで効果を出すために、適切な重量設定や回数設定はどうすれば良いでしょうか?
重量設定と回数設定について、それぞれ紹介していきます。
5-1. フロントスクワットの重量設定
既に、フロントスクワットではバックスクワットよりも重量を軽くする必要があることを述べました。
これはバランスのとりやすさもありますが、人間の体は後ろ側の方が筋肉量は多い、ということも理由です。ケガをしないように、フロントスクワットではバックスクワットの7割程度の重量を目安にしてください。
普段40kg程度のバーベルを持っている方であれば、25kgから30kgの重量にしましょう。これでは軽いかな?と思う程度の重量で始め、慣れてきたら重量を増やしてください。
5-2. 1セット回数
最初は1セットが5回となる程度の重量にします。目安は上で述べた通りにバックスクワットの7割程度ですが、回数で見れば5回できる程度の重量がちょうど良いでしょう。
その後、慣れに従って1セットの回数が1回から2回程度できる重量にしていき、合計で3セットを行います。
6. バーベルだけじゃない!フロントスクワットのいろいろなやり方
フロントスクワットで使うのは、バーベルだけではありません。ここではバーベル以外のやり方として、ケトルベルとスミスマシンを使ったフロントスクワットを紹介しましょう。
6-1. ケトルベルを使ったフロントスクワット
ダンベルに取手がついた器具をケトルベルと呼びます。一般的なダンベル運動とは違い、ケトルベル1つを両手に持った状態でスクワットを行います。
- 両手でケトルベルを持ち、アゴの前で持つ
- 上半身を起こして背筋を伸ばし、まっすぐに立つ
- 両肘を持ち上げ、ケトルベルが床に対して垂直に動くようにする
- ゆっくりと腰を下ろしていく
- 床と太ももが水平になる程度まで腰をおろしたら、またゆっくりと膝を伸ばして真上へと体を上げていく
- 10回を1セットとし、合計3セット行う
こちらも腰が反らないように、アゴは上にあげすぎないようにしてください。動きが不安定にならないように、ケルトベルは体から離さないようにします。負荷を強くしたい場合には、回数を増やしていきましょう。
フォームが正しいかを確認するためには、鏡などを利用すると便利です。
6-2. スミスマシンを使ったフロントスクワット
大抵のジムに置いてある機械、スミスマシンは、バーベルの両側がレール上を動くことで軌道が固定された機械です。初心者でも安全に筋トレが可能ですので、フォームの崩れが心配な方は利用してトレーニングを行いましょう。
- スミスマシンの重量を調節する
- 脚は肩幅に開いて、バーベルの真下に足が来るように立つ
- 鎖骨と肩の上にバーベルのバーを置き、股関節を曲げながら腰を落としていく
- 限界まで腰を下げたら、お尻の力を使って体を上へあげていく
- 10回を1セットとし、合計で3セット行う
バーベルの軌道が安定しているマシンですのでフォームは崩れにくいですが、体幹部に力をしっかり入れて行いましょう。こちらも同様に、背中をまっすぐにしようとするあまりに腰を反らないように注意してください。
まとめ:フロントスクワットで膝に負担が少なく下半身を鍛える!
フロントスクワットは上体を起こしたままで行うスクワットですので、膝に負担が少なく、初心者や膝・腰に不安がある方でもおすすめの筋トレです。
バックスクワットに比べると重量を軽くする必要がありますが、背中をまっすぐにして行えば太ももなどの下半身の筋肉だけでなく、体幹へも強力な刺激を与えられます。ただし、正しいやり方には注意点も多いため、最初はトレーナーなどについてもらってフォームをしっかりと覚えましょう。
バックスクワットとフロントスクワットを交互に行い、効果的に下半身を鍛えていってください。
【合わせて読みたい筋トレ方法】
- 下半身の部位別ストレッチを紹介!やり方や注意点など
- 内転筋の効果的な鍛え方。内太ももを鍛えるストレッチ&筋トレ
- 太ももの筋肉を鍛えて下半身を効果的に引き締める方法
- 太ももを痩せるための効果的な運動方法を実践して美脚を目指そう
- ヒップアダクションの効果的に使い内ももの引き締めを目指す
- 女性の大腿四頭筋の筋トレで美脚を作ろう
- 麺棒で太もものマッサージでむくみやセルライトを撃退
- 女性の太もも痩せは「お尻&内もも」を鍛えた方が良い
- 下半身の自宅で手軽にできる自重トレーニングで美脚を目指す方法
- 大腿四頭筋の筋トレ!自宅で行う効果的な自重トレーニングとは
- サイドランジで内転筋を効率的に鍛える
- マシンによる内転筋の鍛え方内もも痩せに効果的なトレーニング
- ハムストリングを自宅で効果的に鍛える自重トレーニング10選
- ハムストリングスのストレッチで太もも裏を効果的に柔軟しよう
- レッグカールで効果的にハムストリングを鍛える
- 外もも痩せで美脚を作るダイエットメニューを教えます
- ナロースクワットで集中的に鍛えるやり方から注意点
- ダンベルスクワットで下半身を効果的に鍛える
- バーピートレーニングを正しく行う筋トレ方法を解説
- デッドリフトのやり方と種類を徹底解説
- レッグプレスの下半身に効果的なジムの筋トレメニューを解説
- レッグエクステンションの効果とマシンを使った筋トレ方法