肩甲骨まわりの筋肉を鍛えるトレーニング方法をご紹介。肩甲骨まわりにある各筋肉の働きや、鍛えることによって得られるメリットなども解説。トレーニングを効果的に行うポイントや注意点も説明しています。カッコよくスッキリとした背中作りにおすすめです。
1. 肩甲骨とは?どんな働きをするのか?
肩甲骨とは、背中の肩周辺にある大きな逆三角形をした骨のことです。まるで翼のように背中の左右についており、主に肩と腕の上げ下げをしたり、回したりする時などの動きに連動します。
肩甲骨は鎖骨にしかつながっておらず、さまざまな筋肉によって支えられています。体幹に固定されていないので広範囲に可動できますが、肩甲骨が固くなり動きが悪くなると猫背になったり、肩こりが起きたりするなど、さまざまな悪い影響を及ぼす恐れも出てきます。
日常的にデスクワークやパソコン、スマートフォンなどの使用時間が多くなると、肩甲骨が固くなり、動きが悪くなっていきます。
2. 肩甲骨まわりの筋肉とは
可動範囲が広い肩甲骨は、数多くの筋肉と関わりあっています。肩甲骨の周りにある主な筋肉をご紹介します。
2-1. 僧帽筋(そうぼうきん)
僧帽筋は、後頭部から肩、背中の中心へと走る、背中の大きなアウターマッスルで、肩甲骨を後頭部や、背骨に近づける働きがあります。
広範囲に広がる大きな筋肉の為、動かす部分によって肩甲骨の動きも変わってきます。僧帽筋の上部を動かすと肩甲骨が首や後頭部に近づき、下部を動かすと肩甲骨が下がり背中が反っていきます。
2-2. 菱形筋(りょうけいきん)
「菱形筋(りょうけいきん)」は、背骨と肩甲骨に繋がった菱形の形をした筋肉で、僧帽筋の下に位置します。主に、肩甲骨を背骨側に引き寄せる働きがあり、肩甲骨を引き寄せて、背筋をシュッと伸ばす時に働きます。
2-3. 小円筋(しょうえんきん)
「小円筋(しょうえんきん)と」は、肩甲骨の下側から上腕骨につながる筋肉で、肩関節に関わるインナーマッスルの一つです。主に腕を外側に回す時に機能する筋肉です。
2-4. 大円筋(だいえんきん)
「大円筋(だいえんきん)」とは、肩甲骨の下側から上腕骨につながる筋肉です。肩関節に関わる筋肉で、腕を後ろに動かしたり、上げたり、内側に寄せたりする時に働きます。
2-5. 棘上筋(きょくじょうきん)
「棘上筋(きょくじょうきん)」とは、肩甲骨の背面にある棘状の突起から上腕骨につながる筋肉で、肩関節に関わるインナーマッスルの一つです。腕を外に開くときに働きます。棘上筋は、腕を上げる時の全ての動作に関係します。
2-6. 前鋸筋(ぜんきょきん)
「前鋸筋(ぜんきょきん)」は、肋骨から肩甲骨の内側につながる大きな筋肉です。鋸のようにギザギザした形が名前の由来になっており、主に肩甲骨を前に押し出す時に働きます。腕を前に出すときに肩甲骨をサポートする筋肉です。
2-7. 肩甲挙筋(けんこうきょきん)
「肩甲挙筋(けんこうきょきん)」とは、首の骨の一つである頚椎(けいつい)と肩甲骨の上部に繋がっている筋肉です。僧帽筋の下に隠れている筋肉で、腕を高く上げたり、後ろを振り向いたりするときなどに働きます。
3. 肩甲骨まわりを鍛えて得られるメリット
肩甲骨まわりを鍛えると一体どのようなメリットがあるのか。ここでは、肩甲骨まわりを鍛えることで得られる主なメリットをご紹介致します。これらのメリットを意識してトレーニングのモチベーションを上げていきましょう。
3-1. 姿勢の改善
背中の筋肉と姿勢は、大きく関連します。背中の筋肉が衰えてしまうと、姿勢が悪くなる原因を引き起こします。また、肩甲骨の周りの筋肉が弱り、開きっぱなしになると猫背にもなっていきます。肩甲骨まわりを鍛えることにより、背筋が伸び姿勢が良くなっていきます。
3-2. 肩こりの改善
肩こりの原因はさまざまですが、姿勢の悪化や筋肉が固くなり血行障害がおきる時にも生じます。肩甲骨まわりには、肩、首などの動きに関係する筋肉がありますので、これらの筋肉を鍛えていくことにより、固くなった筋肉もほぐれていき血行も良くなっていきます。血行が良くなることにより肩こりの改善にもつながります。
3-3. 背中のラインがスッキリに
出勤前や出かける前などに、鏡で体の正面をチェックすることは多いでしょうが、背中まであまり意識して確認することは無いかもしれません。普段から目にすることが少ない背中ですが、背中にも脂肪がついています。肩甲骨まわりを鍛えることにより背中が引き締まっていき、脂肪が落ちていくと、背中のラインも整えられてスッキリとした後ろ姿に近づいていくでしょう。
3-4. 逞しい背中になる
背中には僧帽筋の他に「広背筋」「脊柱起立筋」などの筋肉があります。広背筋も大きな筋肉で、背中の中心から脇や腰に掛けて広がり翼のような形をしています。脊柱起立筋は、背中の中心を縦に走るインナーマッスルです。これらの筋肉を鍛えていくと逆三角形の背中を作り上げて行くことができます。
また、肩甲骨まわりの筋肉の中でも大きな筋肉である僧帽筋を鍛えると厚みのある逞しい背中になっていきます。
4. 肩甲骨まわりの筋トレメニューのご紹介
ここでは肩甲骨まわりの筋トレメニューをご紹介します。自宅で簡単にできるものから、ジムでしっかりと鍛えることができるトレーニング方法などがあります。正しいフォームを身につけて背中の筋肉を鍛えていきましょう。
4-1. リバーススノーエンジェル
「リバーススノーエンジェル」は自宅で器具を使わずに簡単に行えるトレーニングです。背中の筋肉である「僧帽筋」「広背筋」「脊柱起立筋」に効果があります。特別な器具を使用しないため、男性だけでなく、女性にも気軽に取り組めますので、ぜひチャレンジしてみて下さい。
リバーススノーエンジェルのやりかた
- 床にマットなどを敷きうつ伏せになる。
- 両腕を前に伸ばし、腕と胸と足を軽く浮かせます。
- 両腕は伸ばしたままで、大きく円を描くように動かしながら後ろにやります。
- 腕を後ろにやったら肩甲骨をしっかりと寄せます。
- ゆっくりと両腕を前に戻します。
- 3~5を10回行います。
- 2~6を1セットとし、3セット行います。
リバーススノーエンジェルの注意点は
- 肩甲骨を意識しておこなう。
- 視線は下にしておく。
- 背中を反りすぎないようにする。
4-2. チンニング
「チンニング」とは、学生時代に経験した人も多い「懸垂」のことです。鉄棒やチンニングマシンなどを使用して行います。肩甲骨のまわりにある僧帽筋、大円筋から、背中の大きな筋肉である広背筋、肩の筋肉である三角筋に効果があります。自重トレーニングの中でも高い負荷をかけることができます。
チンニングのやりかた
- 鉄棒または、チンニングマシンの前に立ちます。
- 両腕を肩幅より少し広げてバーを握ります。
- 背筋をまっすぐ伸ばします。
- 背中の筋肉を意識しながら体を引き上げていきます。
- 顎あたりまで上げたら、数秒間状態をキープします。
- ゆっくりと元の状態に戻します。
- 4~6を8回行います。
- 2~7を1セットとし、3セット行います。
チンニングの注意点は
- 背中の筋肉を意識して体を引き上げるようにする。
- 反動は使わない。
- 腕の力で体を上げないようにする。
4-3. ワンハンドローイング
「ワンハンドローイング」とは、トレーニングベンチに片手と片膝をつき、もう片方の手でダンベルを引き上げるトレーニングです。肩甲骨を動かすことにより広背筋と僧帽筋を鍛えることができます。ダンベルを引き上げるときは腕ではなく、肩甲骨で上げるように意識しましょう。
ワンハンドローイングのやり方
- トレーニングベンチに片方の膝をのせ、同じ側の手をついて上体をやや倒します。
- 空いている方の手でダンベルを持ち、肩は床と水平にして背中は伸ばします。
- 肩甲骨を収縮させながらダンベルを引き上げます。
- 肩甲骨を下へ広げながら、ダンベルを下ろします。
- 3と4を10~15回行います。
- 反対側の手でも1~5と同様に行います。
- 1~5を1セットとし、左右共に3セット行います。
ワンハンドローイングの注意点は
- 腕だけでダンベルを上げない。
- ダンベルを上げすぎないようにする。
- 肩甲骨の収縮とストレッチを意識して行う。
4-4. ダンベルデッドリフト
「ダンベルデッドリフト」とは、ダンベルを使って行うデッドリフトです。デッドリフトは背中の筋肉を鍛えるトレーニングとして人気があり、広背筋、僧帽筋、脊柱起立筋の他に、腿の裏側にある筋肉のハムストリングスにも効果があります。ダンベルを持った状態からゆっくりと腰を下ろし、ハムストリングスのストレッチが感じられたら、上体を上げ元の位置に戻す動作を繰り返します。
シンプルなトレーニングですが、フォームが悪いと腰を傷めてしまうので、しっかりと正しいフォームを身につけていきましょう。
ダンベルデッドリフト
- 両手でダンベルを握り肩幅程に足を開き立ちます。
- 胸を張り背筋を伸ばします。
- ダンベルを腿の前面に持ってきながら、腕が床に対して垂直の状態で腰を下ろしていきます。
- 腰を下ろす時は、背中を丸めずにお尻を後ろに突き出すように膝を曲げていきます。
- ハムストリングのストレッチを感じるところまで腰を下ろしたら、ゆっくりと腰を上げていきます。
- 上体が上がったら、しっかりと肩甲骨を寄せて刺激を与えます。
- 3~6を10回行います。
- 1~7を1セットとし、3セット行います。
ダンベルデッドリフトの注意点は
- 背中が丸くなっていると腰を傷めるので、背筋を伸ばして行う。
- 上体を起こしたときはしっかりと肩甲骨を寄せる。
- 頭は下げずに、視線を前にして行う。
- 腕の力で持ち上げないようにする
4-5. ダンベルシュラッグ
「ダンベルシュラッグ」は、ダンベルを握って立った状態で両肩をすくめ、僧帽筋の上部を鍛えるトレーニングです。非常にシンプルな動作のトレーニングですが、しっかりと僧帽筋を使いながら行わないと効果が薄くなります。肩を上げたり下ろしたりするときは、僧帽筋を意識しておきましょう。
ダンベルシュラッグのやり方
- ダンベルを持ち、足を肩幅より少し開いて立ちます。
- 両肩をすくめるように、肩を上げていきます。
- 僧帽筋の収縮を感じられるところまで上げたら、数秒間状態をキープします。
- ゆっくりと肩を下げながら元の位置にもどします。
- 2~4を10回~15回行います。
- 1~5を1セットとし、3セット行います。
ダンベルシュラッグの注意点は
- 僧帽筋を意識して行う。
- 腕でダンベルを上げないようにする。
- しっかりと僧帽筋が収縮できる重量を使用する。
4-6. シーテッドローイング
「シーテッドローイング」は、ケーブルマシンを使うトレーニングです。ケーブルを引っ張りながら広背筋、僧帽筋を鍛えるトレーニングです。
ケーブルに、Vバー、ストレートバー、Dグリップなどのアタッチメントを取り付けて行います。
ジムによって多少マシンが異なることもありますが、トレーニングの動作自体は基本的に同じなので、トレーニングジムで見かけたらぜひチャレンジしてみて下さい。
シーテッドローイングのやり方
- マシンのケーブルに好みのアタッチメントを取り付ける。
- 重量を調節する。
- マシンに座り、胸を張ってアタッチメントを握ります。
- 上体を後ろに倒さずに、肩甲骨を意識しながらケーブルを引きます。
- 肩甲骨をしっかりと寄せることができたら、ケーブルをもとの位置に戻します。
- 4と5を10回行います。
- 3~6を1セットとし、3セット行います。
シーテッドローイングの注意点は
- 背中が傾かないようにする。
- 肩甲骨、広背筋を意識して行う
- 反動は使わないようにする。
5. 肩甲骨まわりの筋肉を鍛えてスッキリとしたカッコいい後ろ姿を手に入れていきましょう!
普段は肩甲骨まわりの筋トレを意識することは無いかもしれませんが、鍛えることにより理想の体型に近づくだけでなく、肩こりや姿勢の改善にも期待ができます。
まずは、できそうなメニューから取り組んでみて無理のないペースでトレーニングに励み、スッキリとしてカッコいい後ろ姿を目指し頑張っていきましょう。
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