チンニングとは、日本語でいう懸垂です。背中全体をバランスよく鍛える筋トレメニューとしてよく知られていますが、実は難易度の高いメニューでもあります。フォームやコツを理解して、しっかりと取り組んでいきましょう。
ここではチンニングの正しいやり方、そして7つのバリエーションを紹介します。モチベーションを保つためのメリットや、自宅でトレーニングを行うために便利なアイテムも紹介しますので、参考にしてください。
1. チンニングで得られる嬉しい“5つの効果”とは?
筋トレはその効果を得るために、つらく苦しい工程も耐えて行います。しかしモチベーションが減ってしまえばどんどんトレーニング頻度が減り、せっかくつきだした筋肉もダメになってしまうでしょう。
筋トレを長期間継続して行うためには、得られる効果やメリットをしっかりと理解しておくことも大切。ここではまず、チンニングによって得られる効果を5つ紹介していきます。
- 筋力アップ
- 基礎代謝アップ
- 姿勢改善
- 肩凝り解消
- V字型の体になる
1-1. 筋力アップ
チンニングでは上半身のほぼすべての大きな筋肉を使います。そのため、全体的な筋力アップが期待できるでしょう。
負荷は自分の体重ですが、最強の自重トレーニングとも呼ばれるメニューです。難易度も高いため、集中して行えばわりと短期間で筋力アップが望めます。
1-2. 基礎代謝アップ
上半身にはさまざまな大きい筋肉があるため、全体を鍛えることで基礎代謝をアップさせられます。基礎代謝が上がれば「痩せやすい体」となり、自然と消費カロリーも上がって体形のキープもしやすくなるでしょう。
ただし、目的がダイエットであるならチンニングだけでは少々足りません。有酸素運動も取り組んで、脂肪を燃焼させながら筋力をつけ、痩せやすい体へと近づけていきましょう。
1-3. 姿勢改善
チンニングでは体がぶら下がった状態であるため、体幹を鍛えることもできます。体幹を鍛えれば正しく美しい姿勢を維持しやすくなりますので、姿勢の改善効果は大きいです。
姿勢が良くなれば自信があるようにみえますし、内臓も正しい位置で働くようになって良いこと尽くしです。
1-4. 肩凝り解消
チンニングでは肩周辺の筋肉にも刺激を与えていきます。肩周辺の筋肉を鍛えると血流がよくなって老廃物も排出を促されるため、肩凝りが改善していきます。
肩凝りや腰痛が酷い方は背中や腰、肩周辺の筋肉が衰えている可能性もあります。しっかりと鍛えて、肩凝りを解消していきましょう。
1-5. V字型の体になる
チンニングは背中の筋肉・広背筋を強く鍛えていきます。広背筋を鍛えると得られるのが、逆三角形の体。チンニングをすることで腕や背中の筋肉が鍛えられ、バランスのよいV字型体形となっていきます。
シャツやスーツが似合うようになるため、いつも堂々として格好よく目立つ体となります。
2. チンニングの正しいやり方!効果的な筋トレメニュー7選
チンニングにはさまざまなバリエーションがあります。ここでは以下の7つのバリエーションで、それぞれの正しいやり方や注意点、コツなどを紹介していきましょう。
- チンアップ
- プルアップ
- L字型懸垂
- ワイドグリップチンニング
- ナローグリップチンニング
- タイプライターチンニング
- 片手チンニング
2-1. チンアップ
チン「あご」アップ「上へあげる」という意味の筋トレメニューです。手のひらを自分に向けた逆手で行う、通常バージョンのチンニング。広背筋と上腕二頭筋をメインターゲットで鍛えていきましょう。
- 自分の身長より高い鉄棒などの前に立つ
- 手のひらが自分の方を向くようにして、肩幅程度に手幅を取りバーを握ってぶら下がる
- 両足は膝を曲げて後ろで軽くクロスさせる
- 肘を曲げて上半身をゆっくりと持ち上げていく
- あごがバーと同じ高さになるまで持ち上げたら、2秒キープ
- ゆっくりと、肘を伸ばし切らない程度に体を下ろしていく
- 4から6までを10回繰り返す
- インターバルで30秒休憩を取る
- 残り2セットを行う
体を持ち上げるとき、肩甲骨を寄せて胸を張りましょう。バーを胸に近づけるイメージで行うと、正しい軌道になります。下ろすときには重量に逆らうようにゆっくりとおろし、呼吸を忘れないようにしてください。
2-2. プルアップ
プル「引く」アップ「上へあげる」という意味の筋トレメニューで、通常のチンニング・チンアップとは手の向きが違うパターンです。チンアップよりも難易度は上がりますので、まずはチンアップの回数をこなせるようになってからトライしてみましょう。
- 自分の身長よりも高い鉄棒などの前に立つ
- 手の甲が自分に向くようにして(順手)、肩幅よりもやや広めの手幅でバーを握ってぶら下がる
- 肘を曲げ、あごがバーと同じ高さになるくらいまで体を持ち上げたら2秒キープ
- 腕の筋肉を意識しながらゆっくりと体を下げていく
- 3から4までを10回繰り返す
- インターバルで30秒休憩を取る
- 残り2セットを行う
呼吸は、体を持ち上げるときに吐き、下げるときに吸いましょう。足はチンアップと同じように体の後でクロスしておくと邪魔になりません。
2-3. L字懸垂
背中や肩周辺、腕の筋肉だけでなく腹筋もしっかり鍛えたい、という方は、チンニングのバリエーションの1つ「L字型懸垂」がおすすめ。両足をあげたまま懸垂をすることで、お腹もしっかりと鍛えていきましょう。
- 手は自分の好きな方向にして肩幅程度の手幅でバーを握り、ぶら下がる
- 両足をそろえて持ち上げ前へ出し、体を横から見たらLの形になるようにする
- そのままの体勢であごがバーを越えるまで体を持ち上げていく
- あごがバーを越えたところで2秒キープ
- ゆっくりと体を下げていく
- 3~5までを10回繰り返す
- インターバルで30秒休憩を取る
- 残り2セットを行う
やり始めたばかりのころは、なかなか10回続けることが難しいでしょう。無理はせずにすこしずつ回数を増やしていき、最終的に1セット10回できるようになるまで頑張ってください。太ももがすぐにつってしまう方は、インターバルの間にこまめにストレッチをしましょう。
力を入れようとして呼吸を止めてしまうかもしれませんが、それでは効果が半減してしまいます。持ち上げるときには息を吐き、下げるときには息を吸うと意識して行ってください。
2-4. ワイドグリップチンニング
より背中に強烈な刺激を与えたいときには、手幅をかなり広くとって行うワイドグリップチンニングです。周囲の人から憧れられる背中を作っていきましょう。
- 手は好きな方向で肩幅よりもかなり広くしてバーを握る
- 足は膝で曲げて後ろで交差させ、ぶら下がる
- 肩甲骨を背中に寄せる意識で、バーが胸につくまで体を引き上げていく
- 限界まで体を引き上げたところで2秒キープ
- ゆっくりと肘を伸ばして体をおろしていく
- 3から5までを10回繰り返す
- インターバルで30秒休憩を取る
- 残り2セットを行う
バーを握るときには強く握りしめず、指をひっかけるイメージで行ってください。顔はできるだけ前をむき、肩は上げないようにしてトレーニングをしましょう。顔を上下させると、それに呼応して腰も曲がってしまいます。正面をむき、それを固定するようにしてください。
2-5. ナローグリップチンニング
ナローはワイドの反対で「狭い」という意味。チンニングをするときの手幅を、通常バージョンよりも狭くして行います。胸や二の腕に非常に効果的。難易度はやや高めになりますので、チンアップとプルアップが完全にできてからトライしてください。
- 好きな握り方で、手幅を拳1つ分程度にしてバーを握る
- 足は膝で曲げて後ろで交差させ、ぶら下がる
- 腕の力ではなく肩甲骨を寄せる意識で、バーが胸につくまで体を引き上げていく
- 限界まで引き上げたらそのまま2秒キープ
- ゆっくりと肘を伸ばして体を下げていく
- 3から5までを10回繰り返す
- インターバルで30秒休憩を取る
- 残り2セットを行う
ナローグリップでは力を込めにくいため、手が滑りやすくなります。グローブなどを活用してください。手首を痛めないために、手首はまっすぐにしておきましょう。
2-6. タイプライターチンニング
通常バージョンのチンニングのように上へ体を引き上げるのではなく、左右交互に引き上げていくのがタイプライターチンニング。難易度は高めで、ある程度筋力がついてからでないと正しいフォームを維持するのは難しいでしょう。必ず順手や逆手のチンニングができるようになってからトライしてください。
- 手は好きな方向で肩幅よりもかなり広めの手幅にし、バーに指を引っかけるようにして握る
- 足は後ろで交差させ、ぶら下がる
- ぶら下がった状態で、右手の方に向かって体を引き上げる
- 右に引き上げている間、左の肘はまっすぐにのばしたままにする
- あごがバーと同じ高さになるまで引き上げたら、そのまま2秒キープ
- ゆっくりと3の状態に戻る
- ぶら下がった状態で、次は左手の方へ向かって体を引き上げる
- 左に引き上げている間、右の肘はまっすぐに伸ばしたままにする
- あごがバーと同じ高さになるまで引き上げたら、そのまま2秒キープ
- ゆっくりと3の状態に戻る
- 3から10までを5回繰り返す
- インターバルで30秒休憩を取る
- 残り2セットを行う
片側へ引き上げて、元の体勢に戻したときの反動を使って反対側を行ってはいけません。1つ1つの動作をしっかりと行ってください。
2-7. 片手チンニング
片手で行うため負荷がかなり大きくなり、その分得られる効果も段違いというトレーニングメニューが、片手チンニングです。非常にきついメニューで、筋トレ上級者の中でもできる方は少数です。いきなりやってみようとするとケガをしてしまいますので、以下の段階を完璧にこなしてから取り組みましょう。
- 両手を使ったチンニング(チンアップ・プルアップ)が連続で30回程度できるようにする
- 両手で体を引き上げ、片手で下げる練習を行う
- 2が20回以上できるようになれば片手を使ってチンニングをし、難しいときは両手にしてチンニングを行う
- 徐々に片手だけでチンニングができるようにしていく
- 片手だけでチンニングができるようになったら、片手ずつ10回×3セットを目指す
片手チンニングのバーの握り方は、順手でも逆手でも構いません。握っていない方の手は、腰の後に回しておきましょう。鼻がバーの上にいく程度まで体を引き上げ、限界を感じるところで数秒キープします。
このトレーニングでは、インターバルは60秒とってください。
3. 自宅でチンニングを可能にするアイテムとは?
チンニングはぶら下がれる場所があればどこでもトレーニング可能ですが、やはり耐久性を考えて公園やジムにいこうと考える方が多いでしょう。
しかし自宅でいつでも思い立ったときに行いたいなら、おすすめのアイテムがあります。以下の2つです。
- 懸垂バー
- 懸垂マシン
3-1. 懸垂バー
懸垂バーは、よくある突っ張り棒と同じ形をしています。ドア枠に突っ張らせ、いつでも即席で「公園の鉄棒」を作ることができる優れたアイテムです。
100kgまでの耐荷重、伸縮は65cmから105cmですので、どんなドア枠でも大丈夫。安全ストッパーもありますのでトレーニング中に棒が取れてしまうといった危険性もありません。
価格も2000円程度とお手頃ですし、棒状なので収納場所にも困ることはないでしょう。
3-2. 懸垂マシン
自宅に筋トレルームがある、というような方は、懸垂マシンがおすすめです。本格的な懸垂が可能で、しっかりと筋肉に刺激を与えられます。
1畳ほど場所をとること、1万円以上の商品が多いことから、初心者の方にはあまりおすすめしません。普段から頻繁にチンニングをしているという方で、自宅をジム化したいと考えるならぴったりのアイテムです。
まとめ:チンニングでバキバキの上半身に!自宅でもトレーニング可能な最強自重トレーニング
チンニング(懸垂)は、最強の自重トレーニングと呼ばれています。負荷は自分の体重だけですが、難易度は高め。ある程度筋肉がついていないと1回もできない人も少なくありません。
ここで紹介したチンニングのトレーニングメニューは、順番を追うごとに難易度は増していきます。そのため、紹介順に取り組むことがおすすめです。最終的に片手でのチンニングができるようになれば、すでに上半身はかなり出来上がっているはずです。
多くの男性・女性が憧れる、たくましく厚い背中を作っていきましょう。
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