自分で見ることはできないけれど、他人に強い印象を与えることで大きな役割を果たすのが、背中。広く厚く、硬そうな背中は頼りがいがあるようにも見え、憧れる男性も多いです。
美しく格好良い背中を作るためには、背中の筋トレが必要。しかし、いろんな種類があってどれから手を出していいかわからないと悩む方もいるでしょう。
おすすめなのは、「バックエクステンション」です。シンプルな動きですが、しっかりと筋肉に刺激を与えてくれます。ただし、間違ったやり方をすればケガを引き起こし、腰を痛めることも。
ここではバックエクステンションの詳細や正しいやり方、注意点などを紹介していきます。
1. バックエクステンションはどんな筋トレ?
バックエクステンションは「背中」という意味の英語「バック」に、「伸張」という意味の英語「エクステンション」を組み合わせた筋トレメニュー。背中を伸ばしつつ上へ持ち上げるトレーニングです。
床にねそべり背中を反るように後ろへと曲げていきます。初心者でもすぐにトライできるメニューで、背中を鍛えたい方に人気があります。
ただし、メインターゲットがインナーマッスルであるため、なかなか効果を感じなかったりやり方があっているのか不安に思ったりする方も多いです。やり方や効果を確認して、モチベーションを保ちましょう。
1-1. 背中のインナーマッスルが鍛えられるトレーニング
人間の背中は、大きくわけて3つの筋肉で構成されています。「僧帽筋」・「広背筋」・「脊柱起立筋」です。バックエクステンションはこの中で、脊柱起立筋がメインターゲットになります。
脊柱起立筋は頭から骨盤までつながる8つの筋肉群の総称で、背中の内側にある筋肉、つまりインナーマッスルです。背筋を伸ばして美しい姿勢をキープする役割があり、全身の健康に大きく影響します。
外から刺激を与えることがなかなか難しいインナーマッスル。筋トレでしっかりと刺激を与えていきましょう。
1-2. 背中の筋肉の役割紹介
メインターゲットの脊柱起立筋の他に、僧帽筋と広背筋があります。
僧帽筋・・・首から肩、肩甲骨に広がる筋肉で、肩をすくめたり首を前へ倒したりするときに使う
広背筋・・・人体で最も面積の大きな筋肉で、脇の下からお腹にかけて広がり、肩甲骨を動かすときに使う
脊柱起立筋はインナーマッスルのため、鍛えても外見上さほど変化はありません。しかし僧帽筋を鍛えれば盛り上がったボリュームある肩を作れますし、広背筋を鍛えれば格好良いVの字の体形になれます。
また、バックエクステンションは背中だけでなくお尻の筋肉や、太ももの裏側の筋肉などにも負荷を与えられます。いずれも日常生活でよく使う筋肉ですので、しっかり鍛えたい部位です。
1-3. バックエクステンションの種類や種目
バックエクステンションは2つのバリエーションがあります。1つは自分の体重を負荷として使う「自重」、もう1つはしっかりウェイトも高められる「マシン」です。マシンにも「台」と「専用マシン」の2つがありますので、方法としては3通りです。
日常生活で使われにくい筋肉を伸ばす動作を含む種目を、「エクステンション系」といいます。
たとえば、背中を鍛えるバックエクステンション、腕を鍛えるトライセプスエクステンション、太ももを鍛えるレッグエクステンションなどです。
それぞれのインナーマッスルに働きかけられるメニューですので、目的に合わせてトレーニングをしていきましょう。
1-4. バックエクステンションで負荷を強くしたいなら?
一般的にバックエクステンションといえば自重トレーニングですが、さらに負荷を強めたいと考える方もいます。
その場合にはマシンを使うか、自重のバックエクステンションを行うときにアンクルウェイトを利用してください。
アンクルウェイトは足首につけるおもりです。重さは0.5kgから3kgくらいまでありますので、まずは軽いものから試し、徐々に重くしていきましょう。
専用のマシンでは負荷を調節できますし、台を使ったバックエクステンションではプレートを抱えることでウェイトを重くできます。
マシンや台を使う際には、念のため、トレーナーなどに相談をして重量を決めてください。さらにトレーニングの間は、ついてもらうようにしましょう。
2. バックエクステンションで得られる効果3つ
では、バックエクステンションにはどのような効果があるでしょうか。トレーニングで得られる大きな効果は、以下の3つです。
- 姿勢改善
- 腰痛の改善と予防
- スポーツのパフォーマンス向上
2-1. 姿勢改善
もともと、日本人は他の人種に比べて背中の筋肉が弱いと言われます。そのため猫背になりやすい体であり、姿勢の悪い方が多いです。
姿勢がよいと自信を持っているように見えますし、何より立ち姿が美しいです。姿勢改善を目指すなら、脊柱起立筋を鍛えましょう。
バックエクステンションをすることで猫背が改善し、まっすぐな背中が手に入ります。
2-2. 腰痛の改善と予防
立っていても座っていても寝ていても痛みがあり、日常生活に大きな影響がでるのが「腰痛」です。腰痛は脊柱起立筋が衰えたり硬くなったりした結果、腰の筋肉も固まることから引き起こされます。
バックエクステンションは背中、腰周辺の筋肉を鍛えますので、腰痛を改善し予防する効果もあります。腰に不安を抱えている方は、バックエクステンションに積極的に取り組んでいきましょう。
2-3. スポーツのパフォーマンス向上
脊柱起立筋はインナーマッスルですので、鍛えれば体幹を強化できます。体幹はあらゆるスポーツで使うため、それぞれのスポーツにおいてパフォーマンスの向上がのぞめます。
見た目がよくなるうえにスポーツの成績も向上しますので、運動をしている方はしっかり鍛えましょう。
3. バックエクステンションの正しいやり方(自重編)
自分さえいればいつでもトレーニングを開始できるのが、自重トレーニングのメリットです。自重・マシン・台を使った3通りの方法があるバックエクステンション、まずは自重トレーニングのやり方を紹介します。
現在すでに重度の腰痛持ちという方は、自重トレーニングでは悪化させてしまう場合があります。腰に痛みがある方は、マシンでの取り組みがおすすめです。
3-1. 正しいやり方(自重)
- マットやカーペットなどの上でうつ伏せになる
- 両腕は体に沿わせて後ろへ伸ばす
- 両足は肩幅の半分程度に開いて伸ばす
- 足先と首を糸で上から釣られているように持ち上げ、お腹と太ももで体を支えて背中を反る
- そのままで3秒キープ
- 3秒ほどかけ、ゆっくりと上半身と足先を床へおろす
- 3~6を20回繰り返す
- インターバルで30秒休憩を取る
- 残り2セットを行う
このバージョンでは両手は後ろへ流していますが、前に伸ばしたり頭の後で組んだりしてやる方法もあります。自分が取り入れやすいもので行ってください。
3-2. 注意点や重量・回数
トレーニングをする上での注意点は、膝をまげないようにすることです。膝を曲げると脊柱起立筋が使われず、インナーマッスルを鍛えられません。あくまでも足先だけを少し浮かすようにしてください。
また、呼吸を止めないようにしてください。うつ伏せ寝から始まるバックエクステンションは無意識に呼吸を止めてしまいます。酸素が体内に回らないと危険ですので、意識をして呼吸を繰り返しましょう。
バックエクステンションを自重でやるときには、負荷はさほど強くありません。そのため、力が余っているようであれば1セットを30回くらい行ってください。
1回にかける時間をできるだけ長くして、連続して何回こなせるかを測ってみましょう。
4. バックエクステンションの正しいやり方(マシン編)
すべてのジムではありませんが、バックエクステンションが行えるマシンを置いてあるジムもあります。また、専用のマシンは置いてなくてもバックエクステンションを行う専用の台はある、というジムも多いです。
マシンがなければ自重で取り組むしかありませんが、現在腰痛を持っている方はマシンの方がおすすめです。まずジムに連絡をして、マシンがあるかを聞いてみてもいいでしょう。
続いて、台を使ったバージョンとマシンを使ったバージョンの正しいやり方をそれぞれ紹介します。
4-1. 正しいやり方(台)
- バックエクステンション専用の台の上にのり、足置き場に足を、太もも置き場に太ももを置く
- 体はまっすぐにして背筋を伸ばし、両手は胸の前で組む
- 腰で体を折り、上半身を下へ垂らす
- 腹筋と太ももの後ろ側に力を入れ、上体を後ろへと持ち上げる
- 2の状態まで上半身を持ち上げたら、2秒キープする
- 2~5までを15回繰り返す
- インターバルで30秒休憩を取る
- 残り2セットを行う
2のスタートポジションから上半身を下へ垂らすとき、重力にそって、だらんと、下げてはいけません。腹筋に力をいれ、持ち上げるときと同じくらいのスピードでゆっくりと下ろしましょう。
4-2. 注意点や重量・回数(台)
腰への負担を減らすために、腹筋に力をいれて腰を支えます。上体を持ち上げたとき、太ももの後ろ側のハムストリングとお尻の筋肉がしっかりと収縮していることを感じましょう。
重量はまず自重で行いますが、楽にできる場合にはプレートを胸の前で抱いて行ってください。いきなり負荷を強めず、軽いプレートから慎重に上げていきます。
15回を目安で3セット行いますが、足りないと感じる方は20回に増やしても構いません。
4-3. 正しいやり方(専用マシン)
- マシンの重量やシートの高さを調節する
- 腰がマシンの黄色の回転軸のところに来るようにシートに座り、背筋をまっすぐに伸ばす
- シート横にあるグリップを握る
- 息を吐きながら、上半身をゆっくりと後ろへ倒していく
- 息を吸いながら上半身を前へ起こす
- 4~5を10回繰り返す
- インターバルで30秒休憩をとる
- 残り2セットを行う
4-4. 注意点や重量・回数(専用マシン)
マシンなのでケガをする可能性は低くなっていますが、注意点はこちらも2つあります。
1つ目の注意点は、背中をまっすぐにしたままでトレーニングを行うことです。自重であれば背中を反らせる必要がありますが、マシンでは背中をまっすぐに保ったままで行うように作られています。
そのため、背中をそらすと負荷のかかり方がおかしくなってしまううえ、ケガをしやすくなります。背中は丸めず反らせず、まっすぐにしておきましょう。
2つ目の注意点は、腕の力を使わないで後ろへ倒していくことです。グリップをあまり強く握ってしまうと、つい腕の力で倒れようとしてしまいます。しかしそれでは脊柱起立筋を鍛えられません。グリップは体が左右に揺れることを阻止するためにありますので、意識して強く握らないようにしてください。
筋肉を大きく厚くしたい方は、8回から12回で限界がくるようにします。まずは軽い重量からスタートし、10回程度で限界がくるように調節して使ってください。
5. 初心者がミスしやすいポイント2つ
寝ころんでいる状態から背中を反らして腕と足、頭を上げるという簡単な動きのバックエクステンション。そのため、初心者の方は本当にこれで大丈夫かと不安になる方もいるでしょう。
ここでは、特に初心者がミスしやすいポイントを2つ紹介します。
- 動作が速過ぎる
- 腰を反らしすぎる
ミスをしていないかを1度確認し、じっくり取り組んでください。
5-1. 動作が速過ぎる
反りかえったあとにパッと上半身と脚をおろして元に戻すと、腰を痛める原因になります。反りかえった状態で3秒キープしたら、同じく3秒かけてゆっくりと上半身と脚を戻しましょう。
動作が速過ぎると背中の筋肉の緊張も途切れてしまいます。ゆっくりと行うことがポイントです。
5-2. 腰を反らしすぎる
張り切って行おうとするあまり、腰を反らしすぎてしまう事もよくあるケースです。アゴを上げて上半身を持ち上げると腰への負担がアップします。アゴは下げ、視線は斜め下にして上半身を持ち上げてください。
6. バックエクステンションの前後に行うべきストレッチ3つ
筋トレ前にはしっかりとストレッチを行い、メインターゲットの筋肉をほぐして伸ばしておく必要があります。ストレッチを行えばケガも予防できますので、適当に行わず真剣に取り組みましょう。
ここでは脊柱起立筋をメインターゲットとしているバックエクステンションの前後に行いたい、おすすめのストレッチを3つ紹介します。
- キャット&カウのポーズ
- 腰ねじりストレッチ
- 体ひねりストレッチ
6-1. キャット&カウのポーズ
ヨガで行われている「キャット&カウのポーズ」は、背中の筋肉をほぐして伸ばすときに最適です。肩こり・腰痛・背骨の歪みと姿勢を改善するポーズで、リラックス効果もあります。
- 両足を腰幅に開いて四つん這いになり、足の甲を地面につけて寝かせる
- 手は肩幅か、それより少し広めにして床につく
- 息を吐きながら背中を丸め、頭を下げておへそを覗き込むようにする
- 息を吸いながら背中をそらして胸を開き、顔を上げて目線を上へする
- 呼吸に気を付けながら3と4を5回繰り返す
コツは、背中を丸める猫のポーズのときには肩甲骨を離し、背中を反らす牛のポーズのときには肩甲骨を寄せるようにすることです。背骨の1本ずつに隙間をあけるようなイメージを持って取り組んでください。
動きと呼吸をゆっくりとすることで、よりリラックス効果が得られます。筋トレ前後のみならず、朝起きたときや就寝前にもおすすめのストレッチです。
6-2. 腰ねじりストレッチ
椅子に座って腰をひねるストレッチです。簡単なうえに職場などでもできますので、腰に不安がある方は普段からマメに行ってください。
- 椅子に座って背筋を伸ばす
- 右手を左膝の横に置いて太ももに沿え、左手を背中へ回して椅子の右端をつかむ
- お腹から胸、首の順番で体をゆっくりと左へとひねる
- 深く呼吸をしながらひねり切った状態で20秒キープ
- 手を入れ替え、反対側も同様に行う
- 左右1ずつを1回とし、全部で3回行う
ひねっている間も背筋は伸ばしたままです。両足は太ももをぴったりと合わせた状態で行いましょう。
6-3. 体ひねりストレッチ
床に寝ころんだ状態で行うストレッチです。体を大きくひねり、腰回りの筋肉をほぐすことで腰痛を改善・予防していきます。筋トレ前にもおすすめです。
- 両腕を体の横にそって自然にのばし、仰向けで寝ころぶ
- 左足を右足の上を通ってクロスさせ、腰から下をゆっくりとひねる
- 重ねた左足の膝を軽く曲げて、上から右手でつかんで抑える
- 左腕を伸ばしたままで床の上をスライドさせ、耳と同じ位置まで上げる
- 顔を左手の方へむけてひねる
- その状態で20秒キープ
- ゆっくりと1の状態に戻る
- 左右を反対にし、同様に行う
ストレッチの最中は、静かにゆっくりと呼吸を繰り返しましょう。痛気持ち良いと思える程度にし、強い痛みがあるのに無理に膝を押さえつけたりはしないようにしてください。
7. バックエクステンションと組み合わせるおすすめ筋トレメニュー
バックエクステンションは背中を鍛えるメニューですが、他の筋トレと合わせるとさらに効果がアップします。続いては、バックエクステンションとの組み合わせがおすすめの筋トレメニューを紹介しましょう。
目的別に、相性の良い筋トレがあります。自分の目的に合わせてトレーニングしてください。
7-1. 格好良い背中をつくりたい人の場合
格好良い背中を作るためには、僧帽筋・広背筋・脊柱起立筋をバランスよく鍛えなければなりません。バックエクステンションは脊柱起立筋をメインとしますので、僧帽筋や広背筋をメインとした筋トレと組み合わせましょう。
- 僧帽筋をメインターゲットとする筋トレダンベルラッグ、ケーブルローイング、チンニング
- 広背筋をメインターゲットとする筋トレダンベルデッドリフト、ラットプルダウン
- 僧帽筋と広背筋に同時に刺激を与える筋トレ
ワンハンドローイング、チンニング
そして、背中の全ての筋肉を同時に鍛えるのに最適なのは、「ダンベルデッドリフト」です。バックエクステンションを前準備として行い、ダンベルデッドリフトを続けて行うことがおすすめ。しっかり背中を鍛えるために、組み合わせを参考にして取り組んでみましょう。
7-2. 腰痛を予防したい人の場合
腰痛予防は、背筋を鍛えるだけでは少し足りません。背筋の他に、腹筋も大切な要素です。背筋と腹筋がしっかりと鍛えられていれば、天然のコルセットとして腰を支えてくれます。
腹筋のトレーニングをバックエクステンションと組み合わせてみましょう。
おすすめなのは、シットアップ、プランク、ヒップリフト、ニートチェストなどです。自重でできるものばかりですので、バックエクステンションの前後に取り入れていきましょう。
まとめ:バックエクステンションで気軽に背中のインナーマッスルを鍛える!
バックエクステンションは、自分の体重を負荷にして行う背中のトレーニングです。普段なかなか鍛えるチャンスがない、背中のインナーマッスル(脊柱起立筋)を鍛えられます。
脊柱起立筋を鍛えれば真ん中にすっと線の通った美しい背中が手に入ります。さらに姿勢がよくなり、全身の健康にも大きな影響を与えます。
背中にボリュームを出す僧帽筋と、背中全体を逆三角形の体形にする広背筋。脊柱起立筋は、この2つの筋肉と一緒に鍛えたい重要な筋肉です。スポーツをしている方はパフォーマンスアップの効果もあるでしょう。
自宅でいつでも気軽にできるトレーニングですので、正しい方法で毎日取り組みましょう。1カ月も続けていたら、背中がすっきりと引き締まってくるはずです。
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