筋トレを続けているけれど、どうにも上半身の迫力が足りないとか、酷い肩凝りはマシになっているけれどやはり凝りを感じる、という方。そんな悩みの解消には、背中の筋肉・僧帽筋を鍛えることが一番です。
僧帽筋を鍛えることで、上半身のたくましさが増し、肩凝りは減ります。
ここではそもそも僧帽筋とはどのような筋肉か、そしてメリットや具体的なトレーニングメニューを紹介していきます。
1. 押さえておきたい僧帽筋の基本知識
僧帽筋は背中の筋肉です。首から肩甲骨まで広がっており、首周辺の筋肉では最も力が強く大きい部位です。
上・中・下の3つのパートにわかれており、それぞれに役割が違います。つまり、1つの筋肉で複数の役割を持つ大切な筋肉部位なのです。
- 僧帽筋上部・・・物を持ち上げたり肩をすくめたりするとき使う。背中の上側、表面に広がっている大きな筋肉。
- 僧帽筋中部・・・背伸びをしたり深呼吸をしたりといった動きに使う。僧帽筋の中で最も大きなパートで、ここを鍛えると肩甲骨が安定する。
- 僧帽筋下部・・・物を引っ張ったり引き寄せたりするときに使う。僧帽筋の中で1番使われるパートのため、トレーニングメニューも豊富。
ここを鍛えることで、次に紹介するようなメリットがあります。
2. 僧帽筋を鍛えるメリット4つ
筋トレはつらく苦しいことが多いため、得られるメリットを知っておくとモチベーションの維持に役立ちます。
僧帽筋を鍛えることで得られるメリットは4つ、以下の通りです。
- 頭痛や肩こりの改善
- たくましい上半身になる
- 四十肩などの予防
- 姿勢が良くなる
2-1. 頭痛や肩こりの改善
土木系など体を動かす仕事内容であれば別ですが、一般的に大人になると日常生活ではあまり僧帽筋を使うことがありません。特にデスクワークの方はあまり肩を動かさないため、血行が悪くなって酷い肩凝りとなっていきます。肩凝りが悪化すれば頭痛にもつながり、一日中しんどさや痛みとたたかう羽目になるでしょう。
僧帽筋を鍛えるとよく動かすので、血流が促進されます。さらに運動によって体温も上がるため、肩凝りや頭痛といった症状は改善されていきます。
2-2. たくましい上半身になる
平坦で薄っぺらい体はたくましくは見えませんが、僧帽筋を鍛えると肩周辺に厚みがでてきます。引き締めるところは引き締め、厚みをだすべきところはきっちりと出すようにすると、どんな服でも似合うようになります。
上半身全体の筋肉のボリュームをアップさせるためにも、僧帽筋を鍛えていきましょう。
2-3. 四十肩などの予防
40代や50代の方がよく悩まされる肩凝りの「四十肩」。これも僧帽筋の衰えが原因の1つであると言われています。
つまり今から僧帽筋を鍛えれば、くるかもしれない四十肩を予防可能です。
2-4. 姿勢が良くなる
正しく美しい姿勢を保つために、背中の筋肉は非常に重要です。特に首は重い頭を支えています。首と首から肩につながる筋肉が衰えると、クッションとしての役割が弱まり姿勢はどんどん悪くなってしまいます。
僧帽筋を鍛え、正しく美しい姿勢を保てるようにしましょう。
3. 僧帽筋を鍛えられるトレーニングメニュー9選
ではいよいよ、僧帽筋を効果的に鍛えられる筋トレメニューを9選で紹介します。それぞれの正しいやり方やコツ、注意点を説明しますので、参考にして筋トレに励んでください。
- チンニング(懸垂)
- ダンベルシュラッグ
- バーベルシュラッグ
- ダンベルショルダープレス
- アップライトローイング
- ベントオーバーローイング
- バーベルデッドリフト
- バックプレス
- シーテッドローイング
3-1. チンニング(懸垂)
チンニングは背中全体を鍛える筋トレとして、代表的なメニューです。ちょっとやり方を変えるだけでさまざまな部位に刺激を送れますが、ここでは僧帽筋をメインターゲットにしたチンニングを紹介します。
ジムはもちろんのこと、公園や自宅でもトレーニングが可能です。正しいフォームを覚えて、思い立ったときにやってみましょう。
- バーや鉄棒、背が高くて頑丈な家具を、拳1つ分外側を両手で握る
- 背筋を伸ばして胸を心持ち張ってぶら下がり、両足は後ろで曲げて軽くクロスさせる
- 肩甲骨同士を合わせるようなイメージで、肘を曲げて体を持ち上げていく
- アゴがバーを越えたところで2秒キープ
- ゆっくりと肘を伸ばして2)の体勢に戻る
- 3~5を10回繰り返す
- インターバルで30秒休憩を取る
- 残り2セットを行う
バーを握るときには、手の甲が自分の方をむく順手にしましょう。背中は伸ばし、肩甲骨を寄せて僧帽筋の力で体を持ち上げます。慣れて回数・セット数共にこなせるようになったら、手幅をもう少し広げてやってみてください。
3-2. ダンベルシュラッグ
シュラッグは、肩をすくめる動きの筋トレメニューです。足を使った自重バージョンとダンベルバージョン、バーベルバージョンがありますが、ここではダンベルとバーベルでのやり方を紹介します。
ダンベルシュラッグは僧帽筋の筋トレ入門編。まずはこのメニューをこなせるようになってから他の筋トレにうつっていくのも良い方法です。
- 肩幅に足を開いてまっすぐに立つ
- ダンベルを両手に持ち、自然に腕を下ろして体の横へつける
- 背中をまっすぐに伸ばし、ダンベルを持ったまま肩を上げてすくめる
- 限界まで肩をすくめたら、そのまま2秒キープ
- ゆっくりと肩を下げ、2の状態に戻る
- 3~5までを10回繰り返す
- インターバルで60秒休憩を取る
- 残り2セットを行う
肩は単純にすくめるだけです。腕の力を使ってダンベルを持ち上げないようにしましょう。ダンベルは軽めのものからスタートし、正しいフォームで繰り返せるようになったら重量を増します。絶対に背中を丸めてはいけません。トレーニング中は胸をはり、背中をまっすぐにしておきましょう。
3-3. バーベルシュラッグ
続いてバーベルバージョンです。ダンベルに比べると可動域は狭いですが、高負荷で筋トレができます。高負荷であるため、より僧帽筋へ刺激を送れるメニューです。
- 両足は肩幅に開き、背筋を伸ばして立つ
- バーベルを体の前で持ち、軽く太ももに触れさせる
- 肘を伸ばしたままで、肩をすくめてバーベルを持ち上げる
- 限界まで肩をすくめたら、そのまま2秒キープ
- ゆっくり肩を下げ、2の状態に戻る
- 3~5までを10回繰り返す
- インターバルで60秒休憩を取る
- 残り2セットを行う
トレーニング中、背筋は一直線に伸ばしたままにします。息を吐きつつバーベルを持ち上げ、息を吸いながら下ろしていきましょう。
3-4. ダンベルショルダープレス
ダンベルショルダープレスは肩の筋肉・三角筋をメインターゲットとした筋トレメニューです。しかし、やり方を少し変えるだけで僧帽筋の筋トレメニューにすることができます。ケガの可能性があるので、負荷は軽めで行ってください。
- ベンチや椅子を用意し、しっかりと座って体を安定させる
- 両手にダンベルを持ち、両耳のあたりまで持ち上げる
- 背中を伸ばし、肩甲骨を寄せながらダンベルを上へ持ち上げていく
- 肘を伸ばし切らない程度にダンベルを持ち上げたら、そのまま2秒キープ
- ゆっくりとダンベルを下ろし2の状態に戻る
- 3~5までを10回繰り返す
- インターバルで60秒休憩を取る
- 残り2セットを行う
背中を丸めてしまうとケガの可能性が増えます。必ず背筋はまっすぐに伸ばしたままで行いましょう。ダンベルを耳の横で構えるとき、肘の角度が90度になっているか確認してください。顔は常に前をむき、呼吸を忘れないようにします。
3-5. アップライトローイング
ウエイトを胸下まで上げ下げする筋トレです。動きが簡単で、ダンベルでもバーベルでもケトルでも効果がさほど変わりません。好きなアイテムで行ってください。
- 両足は肩幅程度に開き、両手でバーベル、ダンベルもしくはケトルを持つ(ここではバーベルで説明)
- バーベルは手のひらが自分側、手の甲が上をむくように順手で、手幅は肩幅より狭くして握る
- 肘を外側へ曲げながら、バーベルを持ち上げていく
- 曲げた肘がアゴの位置程度まで上がったら、そのまま2秒キープ
- ゆっくりとバーベルを下へおろしていく
- 3~5までを10回繰り返す
- インターバルで60秒休憩を取る
- 残り2セットを行う
肘を曲げてバーベルを上げるとき、肩甲骨を寄せるイメージで行いましょう。肩は上げずにそのままで、肘だけを持ち上げていきます。上げるときより下げるときに、動作をゆっくりしてください。
3-6. ベントオーバーローイング
ベントオーバーローイングは筋トレ中級者以上が取り組むメニューですが、トレーナーなどに付き添ってもらい初心者でも挑戦していきましょう。
正しいフォームを意識して行えば、僧帽筋に強い刺激を送れます。
- 両足は肩幅に開き、体の前に置いたバーベルを腰幅より少し広めの手幅で握る
- お尻を軽く後ろへ突き出し、腰を45度曲げる
- 背中をまっすぐにし、肩甲骨を合わせるイメージでバーベルを体に対し垂直に引き上げる
- ゆっくりとバーベルを床へ戻す
- 3~4までを8回繰り返す
- インターバルで60秒休憩を取る
- 残り2セットを行う
8回くらいで息があがる程度の重量で行います。背中を伸ばし、肩は少し後ろへ下げて顔は斜め下を見るようにしましょう。
3-7. バーベルデットリフト
全身の筋肉を鍛えられ、筋トレBIG3のひとつでもあるバーベルデッドリフト。背中の筋肉、脊柱起立筋をメインとして、僧帽筋や大臀筋、大腿四頭筋などに強い刺激を送れるメニューです。
- 床に置いたバーベルのバーがスネに当たる位置に、肩幅より狭く足を開いて立つ
- 足幅よりも拳1つ分広めの手幅でバーベルを握る
- 背中を伸ばして胸を張った状態で、バーベルを握ったまましゃがむ
- バーベルを持ったままで体を起こし、立ち上がる
- 立ち上がったらそのまま1秒キープ
- 同じ軌道でゆっくりと3の状態へ戻る
- 4~6までを10回繰り返す
- インターバルで60秒休憩を取る
- 残り2セットを行う
バーベルを持ち上げるときには、腕ではなく足と背中の筋肉を使って持ち上げます。背中は常にまっすぐに伸ばしておきましょう。膝はつま先より前に出さず、リストラップやベルトなども利用してケガを予防してください。
3-8. バックプレス
バックプレスはバーベルを背中に背負い、上げ下げする筋トレメニューです。僧帽筋がメインターゲットであり、しっかり刺激を与えられます。ただし、少々ケガを起こしやすいメニューでもありますので、負荷の設定は慎重に行ってください。
- 両足は肩幅に開き、まっすぐに立つ
- バーベルを持ち上げて担ぐようにし、首の後ろ、耳より上あたりで安定させる
- バーベルを斜め後ろの方へゆっくりと持ち上げていく
- 限界まで持ち上げたらそのまま2秒キープ
- ゆっくりと2の状態へ戻る
- 2~5までを10回繰り返す
- インターバルで60秒休憩を取る
- 残り2セットを行う
バーベルは腕の力でなく僧帽筋を使って持ち上げます。肘は外側へ広げないようにしましょう。また、バーベルを下げるときには耳より下にこないようにします。急に動くと筋肉を傷めてしまうため、すべての動作をゆっくりと行ってください。
3-9. シーテッドローイング
シーテッドローイングはジムにあるローイングマシンを使って行う筋トレメニューです。
- マシンに座り、足は肩幅程度に開く
- プレートに足を置いてバーを握る
- 背筋をまっすぐにし、バーをひっぱって肩甲骨同士を合わせるようにする
- 限界まで引っ張ったら2秒キープ
- ゆっくりと2の状態に戻す
- 3~5までを10回繰り返す
- インターバルで60秒休憩を取る
- 残り2セットを行う
負荷はいつもより少々高めに設定し、正しいフォームを心掛けて行ってください。呼吸を忘れないようにしましょう。
まとめ:僧帽筋を鍛えて上半身に厚みを出そう!
たくましい上半身が欲しいなら、背中の筋肉をしっかり鍛えることです。特にボリュームある上半身になるためにおすすめなのは、肩甲骨周辺の筋肉、僧帽筋を鍛えること。肩こりや頭痛も改善されます。
ここで紹介した9つの筋トレメニューに、取り組んでみてください。高負荷のものもありますので、ケガをしないように重量設定は慎重に行いましょう。しっかりと継続すれば、1年後には見違える上半身になっているはずです。
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