広背筋を効率よく鍛える方法。逆三角形の体を作るトレーニングメニュー

広背筋は背中にある大きな筋肉です。脇下あたりから腰まで広がっています。水泳選手などの体形が見事な逆三角形になっていることはご存じだと思いますが、あの体形を作るには広背筋を鍛える必要があります。

すっきりとしているのにたくましく、頼りがいがある背中を作るには広背筋が大切。ここでは、広背筋をしっかりと作るための具体的な筋トレメニューや、鍛えるメリットなどを紹介していきます。

しっかりと筋肉を追い込んで、誰もが見惚れるような背中を手に入れましょう。

1. そもそも広背筋(こうはいきん)とは?

広背筋は背中を作る筋肉の1つで、人間の体の中で面積が最も大きく、肩甲骨を寄せるときに使用します。広背筋をフルに使う体勢は、肩を落として肩甲骨を寄せているとき。手でモノなどを前や上方から引っ張る働きをする筋肉で、水泳や柔道、レスリングなどでよく使われます。

ここを鍛えると、腰にかけて引き締まった逆三角形の体形が手に入ります。面積が大きいため見た目の変化もよくわかり、どんどん変わっていく背中と体形に夢中になるでしょう。

ただし、場所的に普段見えない筋肉部位であること、そして普段の行動で意識して使うことがあまりないため、トレーニング中は、あまり実感がわきにくい部位です。

2. 【広背筋トレーニング決定版】効果的な筋トレメニュー6選

では、効果的に広背筋を鍛えられる以下の筋トレメニューを紹介します。

  • チンニング
  • ワンハンドローイング
  • ベントオーバーローイング
  • シーテッドローイング
  • ダンベルデッドリフト
  • ラットプルダウン

肩から腕を前後へふる動き、肩関節を水平外転させる動きと内旋させる動きで、広背筋にどんどん強力な刺激を送っていきましょう。

2-1. チンニング

チンニングは日本語で懸垂といわれているトレーニングで、最強の自重トレーニングともいわれています。自分の体重を負荷にして、しっかりと広背筋を苛め抜いていきましょう。

  1. 懸垂スタンドか自分より高い鉄棒の下に立つ
  2. 手幅は肩幅よりも広くして、順手(手の甲が自分の方を向く)でバーを握る
  3. 背筋を伸ばし、軽く体を持ち上げる
  4. 肩甲骨を寄せるイメージで、アゴがバーを越えるまでゆっくりと体を持ち上げていく
  5. 限界まで持ち上げたらそのままで60秒キープ
  6. ゆっくりと3へ戻る
  7. 3~6までを10回繰り返す
  8. インターバルで30秒休憩を取る
  9. 残り2セットを行う

インターバルを挟んで筋肉を休めることで、効率的に肥大化させられます。反動で体を持ち上げる「チーティング」はしないようにしましょう。顔は正面かやや上を向きます。

2-2. ワンハンドローイング

ワンハンドローイングはダンベルを使って強い負荷を与えられる筋トレメニューです。徹底的に広背筋を追い込めるので、しっかりと鍛えたいという方におすすめです。

  1. ベンチや椅子などを用意する
  2. 右手にダンベルを持ち、左手と左膝をベンチの上へのせ体を安定させる
  3. 視線は前へ向け、ベンチと上体が水平になるように前傾する
  4. 肩甲骨を内側へと寄せるイメージで、息を吸いながらダンベルを引き上げる
  5. 肘が90度になるまで持ち上げたら、そのままで2秒キープ
  6. ゆっくりとダンベルを下げ、元の体勢に戻る
  7. 4~6を10回行う
  8. インターバルで90秒休憩を取る
  9. 左右を交代し、同じように行う
  10. 左右それぞれを1セットとし、残り2セットを行う

ダンベルは軽めのものから使い、できるに従って徐々に負荷を強くしていきます。ベンチに手と膝を置く時、手は肩の真下にくるようにしましょう。

2-3. ベントオーバーローイング

バーベルを使って背中へ高負荷をかけましょう。比較的広背筋を意識しやすい筋トレですので、初心者でも取り組みやすいメニューです。ただし、初心者はケガ防止のため、トレーナーなどについてもらって行ってください。

  1. バーベルの負荷を普段よりも軽くする
  2. 足は肩幅に開き、バーベルを握る
  3. 両膝を軽く曲げ、上体を前傾させる
  4. 肩甲骨を寄せるイメージで、バーベルを持ち上げていく
  5. しっかりと背筋を伸ばし、股関節に向けてバーベルを引き上げる
  6. 限界まで上げたら、ゆっくりとバーベルを下ろす
  7. 2~6までを10回繰り返す
  8. インターバルで3分間休憩を取る
  9. 残り2セットを行う

背筋はまっすぐにしたままで動かさず、腰に負担がかからないようにしましょう。バーベルを床へ下げたとき、腕を伸ばし切らないでください。膝を前に出さず、お尻と太ももで姿勢を維持していきます。

かなり強力な負荷をかける筋トレメニューです。インターバルはしっかりと取ってください。

2-4. シーテッドローイング

シーテッドローイングはプーリーという器具を使って行うトレーニングです。ジムに器具があれば、ぜひ試してみてください。マシンに座ってバーを自分の方へ引っ張る動きで、広背筋に負荷を与えます。

  1. プーリーマシンに座り、足を伸ばして体を固定する
  2. 足幅は肩幅程度に開き、膝を軽く曲げる
  3. 両手でハンドルを握り、背筋を伸ばす
  4. 上体を前傾させ、背筋をのばしたままで両肘を引いてハンドルを腹部まで引き寄せる
  5. 限界まで引き寄せたら、肘をのばして元の体勢に戻る
  6. 3~5までを10回繰り返す
  7. インターバルで1分間休憩を取る
  8. 残り2セットを行う

ハンドルを戻すときには、同じ軌道でゆっくりと戻しましょう。呼吸を忘れずに行ってください。

2-5. ダンベルデッドリフト

「つらくて心が折れる」と言われることで有名な「デッドリフト種目」ですが、ダンベルデッドリフトは最も可動域が広く、広背筋を効果的に鍛えられます。

背中の広背筋だけでなく、下半身や体幹も鍛えられる全身の筋トレメニューですので、積極的に行っていきましょう。

  1. 足幅は肩幅程度に開いて膝を曲げ、両手でダンベルを握る
  2. 顔は正面を向き、背筋を伸ばす
  3. 背筋をキープしたままでゆっくりと膝を伸ばし、ダンベルを持ち上げる
  4. ダンベルを持ち上げたら胸を張ってそのまま2秒キープ
  5. ダンベルが床につかないところまで、ゆっくりと膝を曲げながら下ろす
  6. 3~5までを10回繰り返す
  7. インターバルで90秒休憩を取る
  8. 残り2セットを行う

背筋を伸ばしていないと腰へ負担が集中してしまいます。スタートポジションの時点から背筋は伸ばしておきましょう。膝はつま先より前に出ないようにし、ダンベルは背中と下半身を使って持ち上げます。

トレーニングに慣れてきたら負荷を強めますが、ダンベルからバーベルに変えても良いでしょう。

2-6. ラットプルダウン

どこのジムにも大抵は置いてあるマシンで、広背筋専用のマシンがラットプルダウンです。チンニングをする筋力はまだないという方、筋トレの超初心者である方が、段階的に背中を鍛えられるのでおすすめです。

  1. マシンの負荷を調節する
  2. シートや足のパッドを調節してシートに座る
  3. 胸を張って背中を反らせる
  4. バーを両手で握り、息を吐きながら肩甲骨を寄せてバーを引き寄せる
  5. バーを持った手が肩くらいになるまで引き寄せたら、2秒キープ
  6. 息を吐きながら、ゆっくりと戻す
  7. 4~6までを20回繰り返す
  8. インターバルで90秒休憩を取る
  9. 残り2セットを行う

バーを引くときには、腕ではなく肩で引くイメージを持って行ってください。力を入れようとして呼吸を忘れがちになりますので、息を吸うことと吐くことは敢えて意識をしましょう。

3. 広背筋トレーニングで注意すべきポイント4つ

メリットを確認したら、続いては広背筋のトレーニングをする上で注意すべき4つのポイントも見ていきましょう。

注意して筋トレを行い、効果をしっかりと上げるポイントは、以下の4つです。

  • 常に広背筋を意識して行う
  • 軽めの負荷から始める
  • 腕と肩の筋肉を使わないようにする
  • 正しいフォームで行う

3-1. 常に広背筋を意識して行う

広背筋だけでなくすべての筋トレで必要なことですが、自分が行っているトレーニングでどこの筋肉に負荷をかけているのかを知っておきましょう。

今の動きで体のこの部分に負荷がかかっているとイメージすることで、最大限の刺激を与えられます。意識するかしないかで結果が出るスピードが違うといわれていますので、効果を上げるためにもトレーニング部位を意識して行ってください。

3-2. 軽めの負荷から始める

他の筋肉部位をメインターゲットにしたトレーニングに比べると高重量を扱える背中の筋トレですが、最初は軽めの負荷から始めていきましょう。刺激の強さを自分で感じ、徐々に負荷を強くして適切な重量を知らなければなりません。

負荷が強すぎると腕や肩に余計な力が入りますし、弱すぎると筋肉を肥大化させられません。広背筋を意識して刺激を感じ、自分にとってベストな負荷を見つけてください。

3-3. 腕と肩の筋肉を使わないようにする

背中を鍛えようとするとき、疲れや癖で腕や肩の筋肉を頻繁に使ってしまう方がいます。しかし本来のメインターゲットである広背筋に正しく負荷を与えるには、腕や肩の筋肉をあまり使ってはいけません。

極力他の筋肉部位へ刺激が逃げてしまわないように注意して、トレーニングを行いましょう。

3-4. 正しいフォームで行う

正しいフォームでトレーニングを行うことは、全ての筋トレに共通する必須項目です。しかし背中は力が出しやすいため、筋トレでは高重量のものを扱うケースが増えます。

ダンベルやバーベルなども扱いますので、正しいフォームでトレーニングを行わないと簡単にケガへ直結します。できるだけ早く正しいやり方を覚え、フォームが崩れないように気を付けながら行いましょう。

4. 広背筋を鍛えるメリット6つ

広背筋はなかなか意識しにくい筋肉ですので、鍛えるときにもトレーニングにダレたり飽きたりしてしまいがちです。そのためトレーニングのやる気を失う前に、広背筋を鍛えればどんなメリットがあるのかを知っておきましょう。

頑張った先にはこんなご褒美がある、と思えば力もわいてくるもの。ぜひ以下6つのメリットを確認してください。

  • 体が逆三角形になる
  • 姿勢が良くなる
  • 体が疲れにくくなる
  • 基礎代謝の向上
  • 重いものが楽に持てる
  • 腹筋がわれやすくなる

4-1. 体が逆三角形になる

広背筋は人間の体の中でも大きな筋肉の1つです。普段は意識しにくい場所にある筋肉部位ですが、鍛えれば見た目の変化が大きいため効果を実感しやすいでしょう。

腰に向かって引き締まって細くなり、洋服が似合うスタイリッシュな体形になります。引き締まっていることが見て分かる背中になるので、女性にもモテます。

4-2. 姿勢が良くなる

日本人は諸外国の人に比べて背中の筋肉が弱く、意識していないと猫背になりがちです。それは体質ですから仕方ない分はありますが、筋トレで胸やお腹、腕ばかりを鍛えていれば筋肉が前ばかりについてどんどん姿勢が悪くなっていきます。

それを阻止するために広背筋を鍛えて上体を後ろへと引っ張り、背筋が伸びた状態を維持しやすくしましょう。

4-3. 体が疲れにくくなる

背中の筋肉を刺激することで、肩凝りや猫背の改善だけでなく代謝を上げて疲れにくい体へと変化していきます。

緊張しがちで肩こりが酷い方やデスクワークの方は、背中の筋肉を鍛えて肩凝りを改善する必要があります。全身の血流をよくして体内に酸素を配給させ、疲れにくい体を作っていきましょう。

4-4. 基礎代謝の向上

大きな筋肉を鍛えると、体の代謝が向上します。代謝を上げると筋肉を維持するだけで消費されるエネルギーが自然と増えますので、何もしていなくても脂肪が燃焼され、痩せやすい体になります。

広背筋は人体で最も面積が大きな筋肉です。しっかりと広背筋に負荷をかけ、基礎代謝を向上させていきましょう。

4-5. 重いものが楽に持てる

普段あまり意識することがない筋肉、広背筋。しかし重いものを持ったり腕を振ったりといったときに使っています。腕の筋肉だけでなく、背中の筋肉も重いものを持ち上げることには必要です。

広背筋を鍛えれば、今までよりも重いものが楽に持てるようになるでしょう。男らしさを誇示したい方は、ぜひ鍛えてください。

4-6 腹筋が割れやすくなる

少し意外に感じる方も多いですが、背中の筋肉広背筋を鍛えると、腹筋が割れやすくなります。広背筋は肩と側面からお腹を引っ張り上げるため、広背筋に刺激を与えると腹筋を絞り込めるからです。

姿勢もよくなり、お腹周辺の筋肉が引き締まって割れやすくなっていきます。背中を鍛えるときにはお腹も同時に鍛えていきましょう。そうすれば効果が出やすくなります。

5. 筋トレの前後に!広背筋を効果的に伸ばすストレッチ2選

筋肉の中には回復が早い部位と遅い部位がありますが、広背筋を含めた背中の筋肉群は、修復速度が遅い部位です。そのため、筋トレ前後にはしっかりとストレッチをして筋肉をケアしていきましょう。

次は手軽にできる背中の筋肉ストレッチを2つ紹介します。

  • お手軽背中ストレッチ
  • 上半身を伸ばせるバランス上々柔軟体操

5-1. お手軽背中ストレッチ

座った状態でじっくりと背中の筋肉を伸ばしていくストレッチです。ベッドの上などでもできますので、寝る前や起きがけにもやってみてください。

  1. マットやベッドなど柔らかいものの上にあぐらをかいて座る
  2. お尻から頭までをしっかりと伸ばす
  3. 右手を頭の上まで上げ、左手で右手の手首をつかむ
  4. 手首をつかんだままでゆっくりと左前へ体を倒していく
  5. 背中の下部分がのびているのを感じながら20秒キープ
  6. 手首を離して元の体勢に戻り、反対側も同様に行う

ストレッチも筋トレも同じですが、呼吸を止めないように意識しましょう。体を真横に倒すのではなく、やや前に倒していきます。お尻が上がらないように気を付けてください。

5-2. 上半身を伸ばせるバランス上々柔軟体操

広背筋だけでなく、大胸筋・三角筋・肩甲骨も一緒に伸ばせるストレッチです。椅子に座って行うため、会社でもストレッチが可能ですから、しっかりと覚えて毎日の習慣にしてしまいましょう。

  1. 椅子にあぐらをかくか、浅めに腰かける
  2. 椅子に浅く腰かける場合、両足は肩幅程度に広げる
  3. 上半身を左へひねり、背中を丸めて右手を左足の外側へ伸ばす
  4. そのままで10秒キープ
  5. 元の体勢に戻ってから、今度は右手を右上へと胸を開いて伸ばす
  6. 5のとき、体は前を向いたままで視線は右手の先を見る
  7. そのままで10秒キープ
  8. ゆっくりと体勢を戻し、左側も同様に行う

手を伸ばすときには無理をせず、痛みを感じない範囲で行ってください。ストレッチのポイントは体をできるだけ前に向けたままで行うことです。特に最後に胸を開いて手を後方へと伸ばすときには、上半身も一緒に振り返ってしまいがちです。あくまでも体は前を向く、と気を付けましょう。

6. 広背筋トレーニングメニューのおすすめのセット

筋トレに慣れている方は自分なりのメニューの組み合わせがあるものですが、初心者の方であれば紹介された筋トレをどうやって組み合わせればいいか悩むでしょう。

筋トレ初心者の方に、おすすめの筋トレメニューの組み合わせを紹介します。まず何をすればいいか分からないという方は、1度この通りに筋トレを行ってみてください。

6‐1.ウォームアップを行う

体を温めて可動域を確保するため、ストレッチや軽いランニングなどを10分程度行ってください。筋トレの効果を向上させたり、ケガを予防したりといった狙いがあります。

広背筋のトレーニングでは、肩甲骨や肩関節の動きが重要です。上半身のウォームアップはしっかりと行っていきましょう。

6‐2.筋トレを行う

体の広い範囲を使う筋トレメニューから順番に行えば、効率的です。

  1. チンニングを3セット(セット間のインターバル1分)
  2. ベントオーバーローイング3セット(セット間のインターバル1分)
  3. シーテッドローイング3セット(セット間のインターバル1分)
  4. ダンベルデッドリフト3セット(セット間のインターバル1分半)
  5. プロテインなどを摂取する               筋肉をしっかりと作るためには栄養補給も欠かせません。プロテインシェイクなどを作り、エネルギーを補給してください。
  6. ストレッチで筋育を伸ばす               筋トレの後には必ずストレッチをしましょう。これにより、翌日以降に出てくる筋肉痛のレベルは各段に違ってきます。しっかりと伸ばして、筋肉をケアしておきましょう。
  7. 休息日を取る

筋肉に高負荷をかける筋トレをした翌日には、同じ部位のトレーニングは行わないようにしましょう。傷ついた繊維が修復するのにかかる時間は24時間から48時間程度です。

たとえば月曜日に背中の筋トレをしたなら、火曜日はトレーニングを休み、水曜日には下半身の筋トレをするといったように刺激を与える部位を変えていきましょう。

休息日をどれだけしっかりと取れるかで、肥大スピードは違ってきます。

まとめ:広背筋は筋トレでガチガチにできる!

たくましくもすっきりとしていて、見事な逆三角形の背中。そんな男らしい背中に憧れるなら、広背筋を筋トレで鍛えていきましょう。

ここでは広背筋のおすすめ筋トレメニューを紹介しました。普段意識しにくい筋肉部位ですが、筋トレのメリットなどを理解してトレーニングを継続していってください。

背中の筋トレでは高重量を扱えるため、ケガの可能性も上がってしまいます。フォームは正しく行い呼吸を忘れず、初心者の方はトレーナーと一緒にやるようにしましょう。


【合わせて読みたい筋トレ方法】