首・肩こりの改善に役立つ僧帽筋のストレッチ方法をご紹介。僧帽筋の構造と機能の説明から、固くなった僧帽筋ほぐすストレッチと、自宅でできる筋トレ、ストレッチで得ることができるメリットを解説。首・肩のこりや猫背などの姿勢の改善におすすめです。
仕事やプライベートでのパソコンや、スマートフォンの長時間の使用は、肩こり・猫背・ストレートネックなどを引き起こすこともあります。これらの辛い症状の主な原因は、長時間同じ姿勢を保つことにより、僧帽筋がかたくなることに大きく関係します。僧帽筋を柔軟にしていく効果的なストレッチ方法や、筋トレ方法等をご紹介しますので、首・肩・背中の調子がもう一つと感じる方は、ぜひ参考にしてみてください。
1. 僧帽筋とはどのような筋肉なのか
「僧帽筋(そうぼうきん)」とは背中にある大きな筋肉で、後頭部から肩にかけて広がり背中の中央まで走り、菱形の形をしています。
僧帽筋の名の由来は、僧(お坊さん)のかぶる帽子に筋肉の形が似ているからですが、この場合の僧とは日本のお坊さんではなく、カトリック教会の一派であるカプチン会の修道士のことです。
修道士の服についている長頭巾(フード)に形が似ていたことが名の由来とされています。因みに、僧帽筋の英語名は「Trapezius muscle」で台形(Trapezoid)に由来しています。
2. 僧帽筋の構造と働き
僧帽筋は大きな筋肉のため、上部・中部・下部に分類されます。
上部は、後頭部から首・肩・鎖骨付近までにあります。 肩を上げたり、すくめたりした時に後頭部や背骨に肩甲骨を近づける働きがあります。
中部は、背中の上部から肩にかけてある筋肉です。胸を張ったり、肘を後ろに引いたりするときなどに肩甲骨を背骨に引き寄せる働きがあります。
下部は、背中の中央から腰までにある部分で、肩甲骨を引き下げる働きがあります。
肩甲骨を寄せたり、上げたり、下げたり、回したりするときなどの、肩甲骨の動きと僧帽筋は深い関係があります。
3. 僧帽筋をストレッチして得られるメリットとは
僧帽筋はほとんどの肩甲骨の動きに関連します。僧帽筋をストレッチすることにより、厄介な首・肩こりの改善や、姿勢の矯正、バストアップなどのさまざまなメリットを得ることができます。
3-1. 首・肩・背中のこりの改善
肩甲骨の動きが悪くなりかたくなってしまうと、首や肩がこったり、背中に痛みを感じたりします。肩甲骨を動かす筋肉である、僧帽筋をストレッチしてほぐし、肩甲骨の動きを良くしていくと、これらの辛い症状の改善につながります。
3-2. 猫背・姿勢の改善
僧帽筋をストレッチして、凝り固まった筋肉をほぐしていくと、猫背の改善や姿勢の矯正にもつながっていきます。
猫背になると、肩甲骨が外側に広がり首が前かがみになってしまいます。首・肩・背中の筋肉である僧帽筋をストレッチすることにより、肩甲骨と首の位置が正しい位置に近づき、猫背や姿勢も良くなっていきます。
3-3. バストラインのアップ
長時間のデスクワークなどにより姿勢が悪くなると、僧帽筋が凝り固まってしまって肩が前に出てきてしまいます。肩が前かがみになると、胸を背中から引っ張り上げる力が減ってしまうため、胸が垂れてしまいます。ストレッチで背中の筋肉を整えると姿勢も良くなり上向きのバストラインを作ることができます。
3-4. 小顔作りにも効果的
僧帽筋の上部は首から肩にあります。この部分が凝り固まってしまうと顔の弛みにつながります。僧帽筋をほぐし、血行・リンパの流れを改善していくことにより、すっきりとしたフェイスラインに近づき、小顔作りにも効果が期待できます。
3-5. 太りにくい体質になる
僧帽筋は大きな筋肉なので、ストレッチして筋肉をほぐし、更に筋トレで背中の筋肉を鍛えていくと、代謝が改善されます。筋肉量が増え代謝が良くなると、脂肪を燃焼しやすい体質になるので、太りにくい体になります。
3-6. スポーツのパフォーマンスUP
僧帽筋をストレッチして筋肉が柔らかくなると、肩甲骨の可動域が広がります。肩甲骨は、肩・腕の動きに関係するので、これまで以上に腕を広範囲に動かすことができるようになります。肩・腕の動きに幅がでて、より柔軟な動きもできるようになるのでスポーツのパフォーマンスUPにつながります。
4. 僧帽筋に効果的なストレッチ5選
僧帽筋の各部(上部・中部・下部)のストレッチから、バストアップと小顔作りに効果的なストレッチ方法をご紹介します。
4-1. 僧帽筋上部のストレッチ
僧帽筋の上部(首から肩)にかけてのストレッチをご紹介します。僧帽筋に加え、肩甲骨から首の骨にある肩甲挙筋にも効くストレッチです。
僧帽筋上部のストレッチのやり方
- 足を肩幅程度に広げて立つか、椅子に座り背筋を伸ばします。
- 右腕を後ろに回し、腰あたりに手の甲が付くようにします。
- 左手を、右側の耳の上に当てます。
- 左手を引きながら、ゆっくりと頭を左斜め前に倒してストレッチします。
- 僧帽筋上部のストレッチを感じたら20秒キープします。
- ゆっくりと元の位置に戻します。
- 反対側も、2~6と同様に行います。
- 2~6を1セットとし、左右共に2セット行います。
僧帽筋上部のストレッチの注意点は
- ゆっくりと呼吸をしてリラックスした状態で行う。
- 背中を丸めないようにする。
- 頭は無理に倒さないようにする。
4-2. 僧帽筋中部のストレッチ
僧帽筋中部は肩甲骨周辺にあたる筋肉です。このストレッチは、肩甲骨まわりの筋肉をほぐす柔軟体操としても使えます。どこでも簡単にできるストレッチですので、この機会に覚えてデスクワークの合間などにぜひやってみて下さい。
僧帽筋中部のストレッチのやりかた
- 足を肩幅程度に広げて立つか、椅子に座ります。
- 右腕を前に伸ばします。
- 左手首を右腕に当て、胸元に引き寄せ十字を作ります。
- 左腕で右腕を引きながら、ゆっくりと頭を左斜め前に倒します。
- 上半身全体を左斜め前に倒し、ストレッチします。
- 僧帽筋中部のストレッチを感じたら20秒キープします。
- ゆっくりと元の位置に戻します。
- 反対側も、2~7と同様に行います。
- 2~7を1セットとし、左右共に2セット行います。
僧帽筋中部のストレッチの注意点は
- ゆっくりと呼吸をしてリラックスした状態で行う。
- 伸ばす腕は、肩より低い高さでストレッチする。
- 無理に上半身を前に倒さないようにする。
4-3. 僧帽筋下部のストレッチ
僧帽筋下部は、わき腹から背中の中心、そして腰に走る筋肉です。簡単にできるストレッチなので、デスクワーク中に背中や腰にこりを感じた時などにぜひ行ってみて、筋肉をほぐしてみて下さい。
僧帽筋下部のストレッチのやりかた
- 足を肩幅程度に広げて立つか、椅子に座ります。
- 両手を頭の後ろで組みます。
- 両肘を閉じて顔の方へ寄せます。
- ゆっくりと頭を前に倒し、体を丸めていきます。
- 僧帽筋下部のストレッチを感じたら20秒キープします。
- ゆっくりと元の位置に戻します。
- 2~6を1セットとし、2セット行います。
僧帽筋下部のストレッチの注意点は
- ゆっくりと呼吸をしてリラックスした状態で行う。
- 首から背中にかけてのストレッチを意識する。
- 腕の力で頭を倒さないようにする。
4-4. バストアップストレッチ
バストアップと肩・首のこりの予防にも役立つストレッチです。肩甲骨が広がり姿勢が前かがみになると、バストラインも弛んでいきます。固くなった僧帽筋をストレッチして柔軟性を高めていくことにより、上向きで綺麗なバストラインが作られていきます。
バストアップストレッチのやり方
- 足を肩幅程度に広げて立つか、椅子に座ります。
- 両手を伸ばして背中の後ろで組みます。
- 顔を上に向けて肩甲骨を寄せて腕を伸ばします。
- 3の状態をキープしながら肩を後方へ8回まわします。
- 2~4を1セットとし、3セット行います。
バストアップストレッチの注意点は
- 肘は曲げないようにする。
- 肩は大きく回すように意識する。
- 手のひらを付けて行うとさらに効果的。
4-5. 小顔作りストレッチ
小顔作りに効果的なストレッチ方法です。首から肩にかけての僧帽筋を伸ばすことによりスッキリしたフェイスラインに近づきます。
小顔作りストレッチのやり方
- 足を肩幅程度に広げて立つか、椅子に座ります。
- 手の甲を下にして両手をお腹の前で重ねます。
- 息を吐きながら肩甲骨を寄せて胸を開いていきます。
- 顎を上に向かって突き出しながら、上に引っ張ります。
- ゆっくりと息を吸いながら元の状態に戻します。
- 3~5を15回行います。
- 2~6を1セットとし、3セット行います。
小顔作りストレッチの注意点は
- しっかりと肩甲骨をよせる。
- 顎から、鎖骨までのストレッチを意識する。
- 背中が反りすぎないようにする。
5. 僧帽筋の筋トレ4選
僧帽筋をストレッチし更に筋トレで鍛えると、美しい背中作りにも効果があります。家庭で簡単にできるトレーニング方法をご紹介しますので、ぜひチャレンジしてください。
5-1. シュラッグ
「シュラッグ」は、主に僧帽筋の上部を鍛えるトレーニングです。通常ダンベルやバーベルを用いますが、これらの器具の代わりにペットボトルを使うこともできます。2リットルならそのまま握って行えますし、エコバッグなどにペットボトルを入れても可能です。
肩をすくめるだけの非常にシンプルな動作のトレーニングですので、しっかりと僧帽筋を使いながら行わないと効果が薄くなります。僧帽筋を意識しながら行いましょう。
シュラッグのやり方
- ペットボトルを握り、足を肩幅より少し開いて立ちます。
- 両肩をすくめるように、肩を上げていきます。
- 僧帽筋の収縮を感じられるところまで上げたら、数秒間状態をキープします。
- ゆっくりと肩を下げながら元の位置にもどします。
- 2~4を10回~15回行います。
- 1~5を1セットとし、3セット行います。
シュラッグの注意点は
- 僧帽筋を意識して行う。
- 腕の力でペットボトルを上げないようにする。
- しっかりと僧帽筋が収縮できる重量を使用する。
5-2. デクラインプッシュアップ
「デクラインプッシュアップ」は、椅子に両足をおいて行うプッシュアップです。胸の筋肉である「大胸筋」、腕の筋肉である「上腕三頭筋」と僧帽筋を鍛えることができます。
通常のプッシュアップよりもハードなトレーニングなので、筋トレになれていない人は、床に足や膝をつけて行ってみましょう。
デクラインプッシュアップのやり方
- 椅子やベンチなど足をのせられるものを用意します。
- 椅子に足を置き、手は肩幅より大きく広げ腕立て伏せの状態を作ります。
- 顔を上げ、体をまっすぐにした状態を保ちながら、ゆっくりと体を下ろしていきます。
- 限界まで下ろしたら、ゆっくりと体を上げていきます。
- 3と4を10回行います。
- 2~5を1セットとし、3セット行います。
デクラインプッシュアップの注意点は
- 背中が反らないようにする。
- 顔は前に向ける
- 僧帽筋を意識する。
5-3. ラットプルダウン
「ラットプルダウン」は通常トレーニングジムでラットマシンを使用するトレーニングですが、水入りのペットボトルやダンベルを使っても行うことができます。使用する器具の重さによりトレーニング効果も変わりますが、自宅でも背中の筋肉を鍛えることができます。
ラットプルダウンのやり方
- 床にあぐらをかいて座ります。
- 両手に器具を持ちます。
- 背筋を伸ばし、両腕をすこし顔より前方に出し伸ばします。
- 腕は肩幅よりもやや広めに広げます。
- 肩甲骨を引き寄せるように両腕を引いて、わき腹につけます。
- ゆっくりと両腕を伸ばし元の位置に戻します。
- 3~6を15回行います。
- 3~7を1セットとし、3セット行います。
ラットプルダウンの注意点は
- 肩甲骨を意識して行う。
- 腕の力で器具を上げ下げしない。
- 顔は上げた腕と同じ方向を向くようにする。
5-4. バックエクステンション
バックエクステンションは、背中の中心を縦に走る筋肉である脊柱起立筋に効果のあるトレーニングです。器具を必要としない上にトレーニング動作もシンプルなので、筋トレ初心者でも自宅で手軽に行うことができるトレーニングです。
バックエクステンションのやり方
- 床にマットやバスタオルを敷きうつ伏せになります。
- 両手は耳の横に添えます。
- 腰を中心にして、胸と両足をゆっくりと上げていきます。
- みぞおち辺りが床から離れるぐらい上げ、背筋の収縮を意識します。
- ゆっくりと元の位置に戻します。
- 3~5を10回行います。
- 2~6を1セットとし、3セット行います。
バックエクステンションの注意点は
- 腰を傷めるので上半身は上げすぎない。
- 背筋を意識し、反動は使わない。
- 頭は後ろに反らないようにする。
6. 僧帽筋をストレッチしてスッキリ背中と快適な日常生活を手に入れていきましょう!
僧帽筋のストレッチとトレーニング方法をご紹介しました。僧帽筋が凝り固まると、首・肩こりなどの辛い症状だけでなく、体形にもさまざまな影響が出てきます。凝り固まった僧帽筋をほぐして、すっきりとした綺麗な背中と、辛い症状のない快適な日常生活を目指して頑張っていきましょう。
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