男性の体の中で魅力的な部分の一つが、鍛え上げられ引き締まった上半身じゃないでしょうか。男らしい上半身を作る為に、胸や腹筋を鍛える男性も多いかもしれません。しかし、かっこいい逆三角形ボディーを得るには、背中のトレーニングが大事になってきます。背中の筋肉「広背筋」は背中にある大きな筋肉です。広背筋を鍛えるトレーニングが「ベントオーバーローローイング」。ポピュラーなトレーニングですが、一方で背中に効かせるのが難しいトレーニングでもあります。わかりやすく解説していきますので、毎日のトレーニングお役立てください。
1. ベントオーバーローイングについて
ベントオーバーローイングのトレーニング内容と、トレーニングのターゲットになる筋肉部位について触れていきます。
1-1. 広背筋に効果のあるトレーニング種目
ベントオーバーローイングとは、バーベルやダンベルなどを使い主に背中の筋肉である「広背筋」を鍛えるトレーニングです。トレーニング方法はとてもシンプルで、前傾姿勢を作り、バーベルやダンベルを下から広背筋を使って引き上げることを繰り返すだけです。
ただ、正しいフォームで行わないと、筋トレの効果が薄いことや腰を傷めることなどもおこります。シンプルですが、正しいフォームを身につけるのが難しいトレーニングでもあります。
1-2. 広背筋とはどのような筋肉なのか
広背筋は背中の筋肉の一つで、脇の下から腰まであり逆三角形の形をしています。広背筋を鍛えることにより、広くて逆三角形の背中を作り上げることができます。広背筋は、肩の動きに大きく関係しており、腕を回したり、引き下げたり、内側に寄せたりするときに働きます。また、骨盤を引き上げるときにも機能します。
広背筋は腰の付け根付近から両脇下の部分を占めますが、上部を占めるのが「僧帽筋」という筋肉です。僧帽筋は、後頭部から両肩に広がり、背中の中心付近までに走る筋肉で、菱形の形をしています。僧帽筋を鍛えると、背中に厚みが生まれ、男らしくワイルド感のある背中を作り上げることができます。
1-3. なぜ広背筋に効果的なのか
ベントオーバーローイングの他に背中の筋肉を鍛えるトレーニングには、デッドリフト、シーテッドローイング、チンニング、ラットプルダウンなどがあります。これらのトレーニングの中で高重量が扱えるのがベントオーバーローイングとデッドリフトですが、デッドリフトは背中だけでなく、お尻や太腿の筋肉を鍛える種目です。
また、デッドリフトでは背中を鍛えることはできますが、肩甲骨を完全に引き寄せて広背筋を収縮させることができません。
ベントオーバーローイングではバーベルで広背筋を集中的に鍛えることができますので、広背筋を効果的に鍛えることができるトレーニングと言えます。
2. ベントオーバーローイングは難しいトレーニング
ベントオーバーローイングは広背筋のトレーニングとして行われることが多くありますが、同時に難しいトレーニングとしても知られています。以下のポイントを知ることでトレーニングの効果も違ってくるでしょう。
2-1. フォームを維持することが難しい
ベントオーバーローイングの難しいところの一つがフォームです。トレーニング方法としては、上半身を前傾させた状態から器具を引き上げますが、背中の筋肉である脊柱起立筋と、腿の裏の筋肉であるハムストリングスにある程度の筋力がないと、高重量を扱う時にフォームを維持することが難しくなります。
ハムストリングスや背中がきつくなり背中を丸めた状態でトレーニングを行うと、腰に負荷がかかり痛めてしまいます。
背中の筋肉は、肩・腕・お尻などと関係しているので、高重量を扱えるようになる為には、これらの筋力がいるようになります。
広背筋をしっかりと鍛える為には、無理のない重量を扱って正しいフォームをしっかりと身につけることが大事なポイントになります。
2-2. 広背筋への効かせ方がわからない
身体の全面にある、筋肉(胸・肩・腕)と違い、背中の筋トレは、目で見ながらトレーニングをすることができません。
背中の筋トレでは、鏡でチェックをしながらフォームや筋肉の状態を確認できない為、はじめのうちはトレーニングが効いているのかよく分かりません。
広背筋へ効かせる為には、腰から腕の付け根(脇の下部分)を収縮させたり伸ばしたりしないといけません。肩甲骨を腰の方向へ引き寄せたり、広げたりしてみて広背筋の動きをチェックしてみましょう。
もし、広背筋の動かし方がわからない場合は、左手を右の脇の下に当てて肩甲骨を下へ引き寄せると、右側の広背筋の収縮を感じることができます。肩甲骨を動かし、広背筋に力を入れてみて感覚をつかんでみましょう。
3. 広背筋に効くベントオーバーローイングの注意点・ポイント
ベントオーバーローイングはやり方次第では、広背筋に効かなくなることもあります。ここであげる注意点とポイントを押さえておきましょう。
3-1. 器具は垂直に引き上げない
ベントオーバーローイングのやり方では、器具を垂直に引き上げる方法もありますが、垂直に引き上げてしまうと肩がすくむような状態になる為、背中の上部にある僧帽筋が刺激されます。僧帽筋を鍛えるのが目的ならば垂直に引き上げても良いでしょうが、広背筋を鍛えたいのであれば効果が薄くなります。
広背筋に効かせる為には、肩甲骨を引き下げるように動かしていくことが大事です。器具の軌道は地面に対し垂直よりも、お腹に向かってやや斜め上に引き上げると効果があがります。
3-2. 器具を強く握らない
器具を強く握りしめてしまうと、腕に余分な力と意識が向いてしまい、肩甲骨の動きへの意識が薄れてしまいます。また、知らず知らずのうちにトレーニングの目的が器具を引き上げることに変わってしまう恐れもあります。
器具を軽くにぎり腕への意識を減らすことにより、背中に対する意識も高くなっていきます。
3-3. スタートポジションに注意する
ベントオーバーローイングのスタートポジションは、胸を張ってお尻をやや突き出した状態から上体を前屈させていき、お尻や腿の裏側に張りを感じるところまで傾けた状態です。
スタートポジションのときに背中を丸めた状態で行うと、腰に負荷がかかりすぎて、怪我の原因になります。また、広背筋への刺激も抜けてしまいトレーニングの効果がありません。反対に、背中を反りすぎても腰を傷めてしまいますので注意しましょう。
4. ベントオーバーローイング【基本】~【応用】のトレーニング方法のご紹介
ベントオーバーローイングの【基本】的なやり方から、ダンベルやトレーニングチューブを使用するバリエーション【応用】までをご紹介していきます。正しいフォームを身につけて逞しい背中を作り上げて行きましょう。
4-1. 【基本:バーベル】ベントオーバーローイング
基本的なベントオーバーローイングのやり方です。肩甲骨への使い方、バーベルを引く方向を注意しながら行いましょう。
【基本:バーベル】ベントオーバーローイングのやり方
- 腕は肩幅よりやや広めに広げてバーベルを握り、足は肩幅程度に広げて立ちます。
- 手は下にさげて胸を張り、背筋を伸ばします。
- お尻をやや後ろに突き出し、上半身を前に倒していきます。
- 腿の裏側に張りを感じるところまで倒します。
- 肩甲骨を使いながらバーベルをお腹の方向に引き上げます。
- ゆっくりとバーベルを元の位置に戻します。
- 5と6を10回行います。
- 2~7を1セットとして3セット行います。
【基本:バーベル】ベントオーバーローイングの注意点は
- バーベルは強く握らない。
- 背中は伸ばしておく。
- 肩甲骨を使うようにする。
4-2. 【応用:バーベル】スミスマシンベントオーバーローイング
スミスマシンでもベントオーバーローイングができます。スミスマシンは、マシンのレールに沿ってバーが軌道するので高重量を使用しても安定したフォームでトレーニングを行うことができます。バーの軌道が固定されているので、最初はバー使って、フォームを確認してみましょう。
【応用:バーベル】スミスマシンベントオーバーローイングのやり方
- バーベルをマシンの床近くに設定します。
- 腕は肩幅よりやや広めに広げてバーベルを握り、足は肩幅程度に広げて立ちます。
- 手は下にさげて胸を張り、背筋を伸ばします。
- お尻をやや後ろに突き出し、上半身を前に倒していきます。
- 腿の裏側に張りを感じるところまで倒します。
- 肩甲骨を使いながらバーベルをお腹の方向に引き上げます。
- ゆっくりとバーベルを元の位置に戻します。
- 6と7を10回行います。
- 2~7を1セットとして3セット行います。
【応用:バーベル】スミスマシンベントオーバーローイングの注意点は
- バーベルを引き上げるときは、肩甲骨を使うようにする。
- バーベルは強く握らない。
- 背筋は伸ばしておく。
4-3. 【応用:ダンベル】ベントオーバーローイング
ダンベルで行うベントオーバーローイングのやり方です。バーベルの時と同様に、スタートポジションとダンベルを引く方向に注意し、肩甲骨を意識しながら行いましょう。また、肘を使ってダンベルを上げすぎないようにしましょう。
【応用:ダンベル】ベントオーバーローイングのやり方
- 足を肩幅に広げ、親指が正面を向くようにダンベルを握り立ちます。
- 手を下にさげて胸を張り、背筋を伸ばします。
- お尻をやや後ろに突き出し、上半身を前に倒していきます。
- 腿の裏側に張りを感じるところまで倒します。(約45度)
- 肩甲骨を寄せるように、ダンベルを引き上げます。
- ゆっくりとダンベルを元の位置に戻します。
- 5と6を10回行います。
- 2~7を1セットとして3セット行います。
【応用:ダンベル】ベントオーバーローイングの注意点は
- 肩甲骨でダンベルを引き上げるようにする。
- ダンベルを腕や肘で上げない。
- 背筋を伸ばしておく。
4-4.【応用:ダンベル】インクラインベントオーバーローイング
インクラインベンチを使い、ダンベルで行うベントオーバーローイングのやり方です。インクラインベンチにもたれながら行うので、前傾姿勢を保つ必要がありません。肩甲骨の動きに集中しながらトレーニングができます。
【応用:ダンベル】インクラインベントオーバーローイングのやり方
- インクラインベンチの角度を45度程に調節する。
- ダンベルを握り、インクラインベンチに胸を付けてもたれます。
- 手を下にさげて胸を張り、背筋を伸ばします。
- 肩甲骨を寄せるように、ダンベルを引き上げます。
- ゆっくりとダンベルを元の位置に戻します。
- 4と5を10回行います。
- 2~6を1セットとして3セット行います。
【応用:ダンベル】インクラインベントオーバーローイングの注意点は
- 肩甲骨でダンベルを引き上げるようにする。
- ダンベルを腕や肘で上げない。
- 背筋を伸ばしておく。
4-5.【応用:チューブ】ベントオーバーローイング
トレーニングチューブを使ったオーバーローイングのやり方です。バーベルやダンベルほど負荷をかけることはできませんが、自宅でも手軽に行うことができます。スタートポジションとチューブを引く方向に注意し、肩甲骨を意識しながら行いましょう。
【応用:チューブ】ベントオーバーローイングのやり方
- 足を肩幅に広げ、チューブを踏みます。
- 手を下にさげてチューブの長さを調節します。
- お尻をやや後ろに突き出し、上半身を前に倒していきます。
- 腿の裏側に張りを感じるところまで倒します。
- 肩甲骨を寄せるように、チューブを引き上げます。
- ゆっくりとチューブを元の位置に戻します。
- 5と6を10回行います。
- 2~7を1セットとして3セット行います。
【応用:チューブ】ベントオーバーローイングの注意点は
- 肩甲骨でチューブを引き上げるようにする。
- チューブを腕や肘で引き上げない。
- 背筋を伸ばします。
5. ベントオーバーローイングでかっこいい男の後ろ姿を作り上げて行きましょう
ベントオーバーローイングを行う上での注意点から、基本的なトレーニング方法とバリエーションをご紹介しました。
ベントオーバーローイングに限らず、背中の筋トレでは肩甲骨の動かし方がポイントになります。肩甲骨を使いながら広背筋を収縮・ストレッチさせて鍛えていき、かっこいい逆三角形をした後ろ姿を作り上げて行きましょう。
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